Sightsong

自縄自縛日記

森山大道と須田一政

2007-05-23 00:17:48 | 写真
日本の写真史に屹立する両氏の写真展を続けて観た。

森山大道『プロヴォーク』以来の、また須田一政『紅い花』などの、銀塩の粒子が目立つハイコントラストなモノクロ写真のイメージだった。しかし、今回の森山展はカラー、須田展はさまざまな作風であり、こちらの固定観念を裏切ってくれた。

須田一政「ニホンノ風景」(銀座ニコンサロン)。本人のメッセージを読むと、着地点を見出せない日本が念頭にあるようだ。夜のローコントラストな長時間露出が意外であり、すべて眼が喜ぶ。この人にかかると、街角のディテールや人の動きが突然ぬめぬめとし始める。那覇・国際通りの雑踏も1点あったが、こんな不気味な国際通りははじめてだ。この世を妖怪の世界と見ているとしか思えない。

須田一政は、最近、ニッツォのスーパー8カメラで撮影した8ミリフィルムを35ミリに複写した「OKINAWA」という作品群も発表している。随分オリジナルプリントを観たかったのだが、大阪でのみ展示されたので行けなかった。いろいろな表現手段を試す姿勢が一貫してあるということなのだろう。ただ、どれを観てもミクロなものへの執着、たとえばサルバドール・ダリがよく描いた群がる蟻の絵、あんな感じのパラノイア的な印象がある。

森山大道「SOLITUDE DE L'OEIL 眼の孤独」(丸善日本橋店)。森山大道の写真展は、この界隈では、2004年の丸の内オアゾ開店記念以来だと思う。北国や東京や香港などの飲み屋街、風俗店が、ざっくりざっくりと切り取られている。全てカラーだと、白黒のときの眼に刻印されるようなディテールとマチエールが身を潜め、スタイリッシュになるのが不思議だ。ただ、演歌的、人情が底にあるように思えた。




2004年の森山展


森山大道氏(2004年) Pentax LX、XR Rikenon 50mm/f1.7、何かのカラーネガ

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