ジョイス・キャロル・オーツ『生ける屍』(扶桑社ミステリー、原著1995年)を読む。
Q・Pはかなりヤバい奴であり、自分にNoではなくYesだけで従うゾンビを作ろうとして、何人かにロボトミー手術を施す。施そうとする、ではない、施す。それはかなり原始的なもので、眼窩の(以下略)。
そんな感じで、何も起きないようでいて、凄まじいことが起きている。凄まじいことが起きているようでいて、日常の時間が流れている。
オーツはQ・Pの心理を淡々と描いている。異常なのかなんなのかよくわからない。しかも、奇妙な心の眼に写ったものが可視化されたような図や、社会に既にある図(つまり、どこかの本の中に)を用いたり、ゴシック体でなにやらの用語を強調したりして。横並びの情報処理とフェティシズムがまた怖い。
やはり読後のイヤなじわじわ感が半端ない。なんなんだ。
もうこの人の小説を読むのはしばらくやめようと思いつつ、また手を出してしまった。今度は本当にやめよう。
●ジョイス・キャロル・オーツ
ジョイス・キャロル・オーツ『Daddy Love』(2013年)
ジョイス・キャロル・オーツ『Evil Eye』(2013年)
ジョイス・キャロル・オーツ『とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢』(1996-2011年)
ジョイス・キャロル・オーツ『アグリーガール』(2002年)
林壮一『マイノリティーの拳』、ジョイス・キャロル・オーツ『オン・ボクシング』(1987年)
ジョイス・キャロル・オーツ『Solstice』(1985年)
ジョイス・キャロル・オーツ『エデン郡物語』(1966-72年)