Sightsong

自縄自縛日記

オーネット・コールマン&プライム・タイム『Skies of America』1987年版

2017-07-26 22:22:21 | アヴァンギャルド・ジャズ

オーネット・コールマン&プライム・タイム『Skies of America』(Jazz Time、1987年)を聴く。ヴェローナ・ジャズ祭(1987/6/27)において、オーネットとプライム・タイムとが、地元のオーケストラと共演した「アメリカの空」の記録2枚組である。

Ornette Coleman (as, tp, vln)
Bern Nix (g)
Charles Ellerbee (g)
Albert McDowell (b)
Chris Walker (b)
Grant Calvin Weston (ds)
Denardo Coleman (ds)
with Symphony Orchestra of Verona Arena

いつもと変わらず肩の力が抜けた泥臭いアルトを吹くオーネット、どうかしてるラリッた電気ファンクともロックとも得そうなプライム・タイム、さらにクラシックのオケと、まったく違う三者。かれらが、いや何と言おうか、ヘンに統制が取れた構成のもとキャラを維持したままサウンドを展開する。2枚目の「Part 2」ではオーネットはトランペットもヴァイオリンも演奏する。

誰かのキャラを前面に出しているときに、バーン・ニックスのギターがヘナっと入ってくると、また御大オーネットのアルトが肩から自然体でヘロっと入ってくると、あるいはデナードのものと思しき無定形のドラムスが爆走してくると、そのたびに将棋盤が傾けられ駒がずれる。もうどうでもよい、楽園万歳。

1998年に渋谷のオーチャードホールで演奏された「アメリカの空」もこんなノリで、緊張感などまるで保つことができず、頭がつぎつぎにクリーンナップされるものだった。そのせいか、周囲の観客を見ると、かなりの割合で意識を失っていた。また、シャーリー・クラーク『Ornette: Made in America』に収録された「アメリカの空」は、1983年、オーネットが生まれ育ったフォートワースにおける演奏であり、確かにプライム・タイムとともにイカレポンチの世界を爆発させていた。こうして聴くと、異質なものをわけのわからない形で強引に組み合わせた破壊力はすさまじく、プライム・タイムもここに居るべきだと思える。

あらためて1972年の「アメリカの空」初演を聴くと、オーネットのアルトは魅力的ではあるものの、(制作上の制約はあったことを差し引いても)生硬で、泥沼楽園感はさほどない。ところで、いまdiscogsを確認して気が付いたのだが、エド・ブラックウェル、チャーリー・ヘイデン、デューイ・レッドマンが、クレジットされない形で入っていたのだな。聴いていてもよくわからないが。

●オーネット・コールマン
オーネット・コールマン『Waiting for You』(2008年)
オーネット・コールマン『White Church』、『Sound Grammar』(2003、2005年)
シャーリー・クラーク『Ornette: Made in America』 再見(1985年)
シャーリー・クラーク『Ornette: Made in America』 オーネット・コールマンの貴重な映像(1985年)
オーネット・コールマン『Ornette at 12』(1968年)
オーネット・コールマンの映像『David, Moffett and Ornette』と、ローランド・カークの映像『Sound?』(1966年)
スリランカの映像(6) コンラッド・ルークス『チャパクァ』(1966年)
オーネット・コールマン『Town Hall 1962』(1962年)
オーネット・コールマンの最初期ライヴ(1958年)
オーネット・コールマン集2枚(2013年)


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