Sightsong

自縄自縛日記

オーネット・コールマンの映像『David, Moffett and Ornette』と、ローランド・カークの映像『Sound?』

2014-09-15 08:17:49 | アヴァンギャルド・ジャズ

『David, Moffett and Ornette』(リチャード・"ディック"・フォンテーン、1966年)は懐かしいフィルムで、昔、Rhapsody Filmのヴィデオを持っていた。VHSゆえすぐに画質が劣化し、そのうえ、ノイズ音が入るようになってしまった。ここまで繰り返し観たのだから、気持よくDVDに買い替えることができるというものだ。(もっとも、中古棚で見つけただけだが。)

なお、日本盤のジャケットに記載されているモフェットのスペルが間違っている。ときどきあることだが、なぜこんな基本的なチェックができないのだろう。

Ornette Coleman (as, tp, vn)
David Izenzon (b)
Charles Moffett (ds)

これは、映画『Who's Crazy?』の音楽を吹きこむためにパリにやってきたオーネット・コールマン・トリオを捉えたドキュメンタリーである。若き日のオーネットは、黒人ゆえの社会的な抑圧と、音楽上のアイデンティティについて語る。そのことは、アイゼンソン、モフェットも同じである。(かれらのしゃべりは聞きとりにくいので、DVD化で字幕が入ったことは大歓迎だ。)

演奏はもちろんカッコいい。スタイリッシュで、かつ、即興の生々しさが溢れている。

それにしても、この『Who's Crazy?』という映画を観ることはできないものか。吹き込むシーンでは、映画のイカレたフッテージが少しだけ挿入される。同時期のコンラッド・ルークス『Chappaqua』(1966年)において、オーネットの音楽が結局は使われなかったことを考えても、かなり貴重な作品の筈である。オーネットが登場する映画としては、シャーリー・クラーク『Ornette: Made in America』(1985年)があるが、これもアメリカでDVD化される模様であり(2014年11月)、とても嬉しい。

『Sound?』(リチャード・"ディック"・フォンテーン、1967年)は、ローランド・カークジョン・ケージの映像を交互に組み合わせた奇妙なドキュメンタリー。といっても、ふたりのコラボレーションはない。おそらくは、「変わった音楽」という切り口での作品なのだろう。

Roland Kirk (reeds)
不明 (b)
不明 (ds)
John Cage (composition, performance)
David Tudor (p) 

カークの演奏には、接するたびに圧倒されてしまう。確かに管3本同時吹きは見た目からして凄いのだが、それ以上に、混濁した音のなかから生命のカオスとでもいった力が創出されることこそが素晴らしいのである。「Here Comes the Whistleman」や「Nightingale Sang in Berkeley Square」の演奏がいい。

●参照
スリランカの映像(6) コンラッド・ルークス『チャパクァ』
シャーリー・クラーク『Ornette: Made in America』 オーネット・コールマンの貴重な映像
オーネット・コールマン『Waiting for You』
オーネット・コールマン『White Church』、『Sound Grammar』
オーネット・コールマンの最初期ライヴ
オーネット・コールマン集2枚


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