Sightsong

自縄自縛日記

波多江崇行+川下直広+小山彰太(Parhelic Circles)@阿佐ヶ谷Yellow Vision

2018-07-01 08:23:42 | アヴァンギャルド・ジャズ

阿佐ヶ谷のYellow Vision(2018/6/30)。

Parhelic Circles:
Takayuki Hatae 波多江崇行 (g)
Naohiro Kawashita 川下直広 (ts, vln, perc)
Shota Koyama 小山彰太 (ds)

ファーストセット。川下さんはヴァイオリンを中心にして間にテナーサックスを挟み、さらにその間には小さいパーカッション。そのヴァイオリンについて、ステージ前後に小山さんが絶妙な軽さだと絶賛していたのだが、軽さはともかく、擦れ音のよれ具合や倍音の具合が確かにとても良い。そして波多江さんのギター表現の振幅の大きさに驚かされる。細かな音を積み重ねてゆき、特に低音を中心としてさまざまな色がわさわさと混じりあったクラスターを創り出し、またときには静かに爪弾く。小山さんも川下さんの楽器の持ち替えや、サウンド全体のそのときの振れ幅に応じて、ノイズが敢えて残るようなドラム、鐘、シンバルを即妙に繰り出してくる。眼前で幻のような音絵巻が予想外に展開し、呑まれているうちに終わった。

セカンドセット。川下さんのノイズ多いテナーソロから始まる。しばらくはギターとのデュオが続いたのだが、ふたりの間がなかなか隙間が多くて素晴らしく、また波多江さんはそれに応じて、金属板でしなるような音、スライド、静かな爪弾きなど、やはり淡々と幅広い表現を行う。あとで訊くと、演奏中は、まるで外から自分自身をレコードのように観察して次の展開を考えているような按配だとのことであり、それゆえ過度にひとつのものだけに没入しない結果となるのかもしれない。川下さんがヴァイオリンに持ち替えると、ギターはあたたかいトーンとなった。ここで絶妙に小山彰太スタイルとしか言いようのないドラムス参入。騒めきの中でギターが浮上した。

30分が経ち、終わった途端に、小山さんがいきなりブラシで叩きはじめた。演奏再開、そしてやはり独特なドラムスによる独特なタイム感の創出。波多江さんはまるでジョー・パスのように歌を弾く。そのひとつひとつの音に揺らぎがあって、まさにこれも幻日環(パーヘリック・サークル)なのかもしれなかった。川下さんがヴァイオリンで入ってきて、「When I Fall in Love」のような旋律を弾く。その世界は昔のジャズでも昭和歌謡でもあった。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4

●波多江崇行
波多江崇行+川下直広+小山彰太『Parhelic Circles』
(2017年)

●川下直広
川下直広カルテット@なってるハウス(2017年)
波多江崇行+川下直広+小山彰太『Parhelic Circles』(2017年)
川下直広@ナベサン(2016年)
川下直広カルテット@なってるハウス(2016年)
渡辺勝+川下直広@なってるハウス(2015年)
川下直広『Only You』(2006年)
川下直広『漂浪者の肖像』(2005年)
川下直広+山崎弘一『I Guess Everything Reminds You of Something』(1997年)
『RAdIO』(1996, 99年)
『RAdIO』カセットテープ版(1994年)
のなか悟空&元祖・人間国宝オールスターズ『伝説の「アフリカ探検前夜」/ピットインライブ生録画』(1988年) 

●小山彰太
波多江崇行+川下直広+小山彰太『Parhelic Circles』(2017年)
立花秀輝『Unlimited Standard』(2011年)
2000年4月21日、高木元輝+不破大輔+小山彰太(2000年)
往来トリオの2作品、『往来』と『雲は行く』(1999-2000年)
高瀬アキ『Oriental Express』(1994年)


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