Sightsong

自縄自縛日記

プリマ・マテリア『Peace on Earth』、ルイ・ベロジナス『Tiresias』

2014-11-14 07:47:02 | アヴァンギャルド・ジャズ

ルイ・ベロジナスのサックス2枚。

■ プリマ・マテリア『Peace on Earth (music of John Coltrane)』(Knitting Factory、1994年)

Rashid Ali (ds)
Louie Belogenis (ts)
Allan Chase (ss, as)
Joe Gallant (b)
William Parker (b)
John Zorn (as: 1&3)

Prima Materiaはラシッド・アリを中心に結成されていたグループで、これは本人が活動を共にしたジョン・コルトレーンに捧げられた盤である。

アリのドラムスを聴くと、いつも、対象に絡みつき昇りゆく蛇をイメージさせられる。ここでも、小刻みでうねるようなパルスが音楽全体を覆っている。これがウィリアム・パーカーの音楽を駆動するベースと相まって快感の極みなのだ。

そして、サックス3人のなかでも目立つソロは、装飾音を並べ立てているようにしか聞こえないジョン・ゾーンよりもルイ・ベロジナスであって、かれは、雑念も何かの希求も無駄なものもすべて唾とともに吐き出してくる。

■ ルイ・ベロジナス『Tiresias』(Porter Records、2008年)

Louie Belogenis (ts)
Michael Bisio (b)
Sunny Murray (ds)

ラシッド・アリは2009年に鬼籍に入った。この盤は、それに先立つ2008年に吹き込まれているものの、同じ年に亡くなったベロジナスの父親とアリとに捧げられている。

ここでの聴きどころはサニー・マレイのドラムスである。アリと同様に水平軸のパルスを繰り出すマレイだが、アリとはまるで違った流儀でシンバルを多用し、全体を絶えず浮揚させ、天空の城を創り上げる。老いてもマレイは依然として素晴らしい。

ベロジナスは、サニー・マレイとは『Perles Noires Vol. I & II』において共演していた。アルバート・アイラーの影響を受けたと聞き、その際にはピンとこなかったのではあるが、なぜかいま聴くと納得させられる。ベロジナスの音は情念であり内臓でありど演歌である。


サニー・マレイ、メアリジェーン、1999年 PENTAX MZ-3、FA28mmF2.8、Provia400、DP

●参照
サニー・マレイ『Perles Noires Vol. I & II』(ベロジナス参加)
アシフ・ツアハー+ペーター・コヴァルト+サニー・マレイ『Live at the Fundacio Juan Miro』
サニー・マレイのレコード
エバ・ヤーン『Rising Tones Cross』
ラシッド・アリとテナーサックスとのデュオ
ジェフ・パルマー『Island Universe』(アリ参加)
アリス・コルトレーン『Universal Consciousness』、『Lord of Lords』(アリ参加)
アリス・コルトレーン『Huntington Ashram Monastery』、『World Galaxy』(アリ参加)
ロヴァ・サクソフォン・カルテットとジョン・コルトレーンの『Ascension』(アリ参加)


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