Sightsong

自縄自縛日記

アリス・コルトレーン『Huntington Ashram Monastery』、『World Galaxy』

2013-03-15 10:49:47 | アヴァンギャルド・ジャズ

アリス・コルトレーンの2 in 1盤で、『Huntington Ashram Monastery』(impulse!、1969年)、『World Galaxy』(impulse!、1972年)を聴く。

『Huntington Ashram Monastery』
Alice Coltrane (harp, p)
Ron Carter (b)
Rashied Ali (ds, perc)

『World Galaxy』
Alice Coltrane (p, org, harp, tamboura, perc)
Frank Lowe (sax, perc)
Reggie Workman (b)
Ben Riley (ds)
Swami Satchidananda (voice)
Leroy Jenkins (vl)
String section arranged by Alice Coltrane

『Huntington Ashram Monastery』はアリス初期のトリオ作。掻きならすハープも、結構まともなピアノも悪くない。ラシッド・アリの絡みついて登りつめるようなドラムスも、いつものことながら良い。

インパクトが大きい作品は、『World Galaxy』である。

冒頭曲は「My Favorite Things」。これがまたカッコ良い。アリスのオルガンに、焦燥感を覚えるスピードのレジー・ワークマンによるベース(やっぱり、前の盤におけるロン・カーターのたるんだ音とは段違い)。オルガンは、盛り上がるストリングスの中を走っていく。最後のクライマックスでの「ぎゅわわ~」音を、ついつい何度も聴いてしまう。

そして極めつけが、最後を締めくくる「A Love Supreme」。勿論、夫ジョンの名曲なのではあるが、そこで打ち出された精神性を、ここではヤバい領域にまで持ち上げる。

まずは、スワミ・サッチダナンダというヨガ行者により、「Love! Love is a sacred word! Love is the name of God!」などという朗読がなされる。60年代から、米国においては、インド哲学やヨーガなど東洋への憧憬が高まり、ビート詩人たちの活躍もその流れの中にあった。スワミは、ニューヨークで伝導活動を行っていたのである。アリスの作品群は、そのような東洋哲学や宗教への傾倒とは切り離せない。

ヤバいなどと言っておきながら実はこれもなかなか良い演奏なのだ。スワミの朗読後、アリスのオルガンによるテーマ曲演奏がおもむろに始まり、やがて、フランク・ロウのサックスがめきょめきょという感覚で突入してくる。実はこれまで聴いたことのあるヴァージョンは、インパルス・レーベルのコンピレーション盤に収録された編集版だけで(それで、このアルバムは買わずにおこうと怖れていた)、ロウのソロはカットされていた。しかし、大きな聴きどころのひとつはロウなのである。勿体ないことをした。

●参照
藤岡靖洋『コルトレーン』、ジョン・コルトレーン『Ascension』
ラシッド・アリとテナーサックスとのデュオ(コルトレーンとの『Interstellar Space』)
ロヴァ・サクソフォン・カルテットとジョン・コルトレーンの『Ascension』


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