Sightsong

自縄自縛日記

高松市美術館、うどん

2007-10-24 23:30:45 | 中国・四国

日帰りで高松市に行った。朝早い便しか取れなかったので、空いた時間に、高松市美術館を訪れた。

特別展は「巨匠ブールデル展」だった。ロダンと同時代の彫刻家だ。常設展だけよりはと思い観たが、やはり、別に自分の好みでもなかった。イサドラ・ダンカンのドローイングは手が不自然に長く、気に入ったが。

常設展の「讃岐漆芸にみるモダン」は目を見開くくらい素晴らしかった。まったく予備知識がなく観たのだが、漆を厚く塗り重ねてから彫る「彫漆」、漆に点彫りをしては色漆を塗って研ぎ出す「蒟醤」(きんま)など、讃岐漆器独特の手法をはじめて知った。

彫漆」は、わりに大きな彫りができるので、荒々しくもスコンとモダンにもなりうるのだった。中国清代の、色ガラスを重ねあわせてから精密に彫る「乾隆ガラス」が京都の京セラ美術館にいくつも展示されているが、それと並べても面白い展示になるだろうな、と、ふと思った。音丸耕堂の「彫漆双鯰之図料紙箱」(1934年)がソリッドな刻み感を残しているのに対し、磯井如真の「里芋之図 彫漆花瓶」(1936年)はもう少し丁寧に里芋の葉っぱの図柄を組み合わせて気持ち良い。

蒟醤」はあまりにもきめ細やかで、目が離せなくなる。磯井如真の息子である磯井正美の「蒟醤 石畳 箱」(1987年)はモダンで鮮やか、本当に素晴らしいと思った。太田儔の「籃胎蒟醤 短冊箱 夏ぐみ」(1996年)は、駒井哲郎の版画に生命が吹き込まれたようだ。

帰りに、『週刊朝日百科 人間国宝 漆芸』を買った。

もうひとつの常設展示は、「体感温度」と題されていた。汚泥の縫い目から枯木が左右シンメトリックに垂れ下がり、さらに上を泥の湯葉のようなものが覆う、菊畑茂久馬の「天動説 十五」(1985年)は、東京都現代美術館の所蔵品より数倍気に入った作品だ。昔から好きな香月泰男の「業火」(1970年)は、炎が牡蠣殻のように見え、シベリアシリーズと同様に怨念のイコンと化していた。はじめて知った小川百合の、暗闇で息をしているような本棚や階段の鉛筆画は、異彩を放っていた。

ところで高松といえばうどん。美術館の隣に、「かな泉」という店があったので、朝のうちに一杯食べた。セルフ方式で、かけうどん(中)160円+海老と小柱のかき揚げ150円。値段が信じられないほど旨い。この店は、帰りの高松空港にもあり、夕食としてまた食べたが、こちらはセルフでなく普通の値段だった。昼には、美術館近くの「源芳」でぶっかけうどんを食べたが、もっちりした柔らかめの麺で、これも旨かった。

当たり前かもしれないが、私の知っている、東京で食べることのできるうどんとはまったく違う旨さだ。いまはそれでもマシで、15年位前の学生のころは、「うまいうどん屋」を探すことが難しかった。千駄木の「うどん市」によく通っていた。高松に何日も居たら、うどんだけでも幸せだろうな。


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2 コメント

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Unknown (kincyan)
2007-10-27 23:39:34
やはり、うどんは四国ですか。昔に
比べれば東京にも讃岐うどんのチェーン
店が駅中等にできて、比較的おいしい
うどんが食べられるようになりました。
しかしラーメン派のうちの息子も、四国に
行ったときに食べたうどんは、おいしかった
と言っております。
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Unknown (Sightsong)
2007-10-27 23:51:36
kincyanさん
確かに、いまではお気に入りのうどん屋が、東京にもあります。しかしやはり当地ですね(笑)。
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