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Sightsong

自縄自縛日記

デイヴィッド・ビニー『Anacapa』

2016-08-16 23:38:58 | アヴァンギャルド・ジャズ

デイヴィッド・ビニー『Anacapa』(Criss Cross、2014年)を聴く。そのうちにと思っていたら、レコ屋の千円均一コーナーで発掘した。

David Binney (as, ts, ss, vo, synth, b)
Wayne Krantz (g)
Adam Rogers (g)
John Escreet (p, Rhodes)
Matt Brewer (b)
Obed Calvaire (ds)
Dan Weiss (ds, tabla)
Sergio Krakowski (pandeiro)
Louis Cole (vo)
Nina Geiger (vo)

実は大勢のミュージシャンたちがとっかえひっかえ登場する作品は得意ではないのだが、これは予想以上に面白い。というより傑作である。1曲ごとにさらりと工夫が凝らしてあって、聴きどころ満載なのだ。

ドラムスはアグレッシブなオベド・カルヴェールと繊細なダン・ワイスとが左右で叩いており、そのコントラストと移行するときの綾がいい。ギターもふたり。アダム・ロジャースは複雑に違いないコードで前へ前へと攻め、ウェイン・クランツはより音響的。リズムはドラムスだけでなく、『Pássaros : The Foundation Of The Island』でも激しい個性を示したセルジオ・クラコウスキが1曲でパンデイロを叩いているし、あちこちでの気持ちのいいユニゾンがリズムと同等のフェーズに併存している。また、ジョン・エスクリートのピアノは、それなしには軽いフュージョンと化してしまいそうなところに楔をさしている。

デイヴィッド・ビニーはというと、やはり燃えないサックス。ブロウ自体が燃えなくても、ヴォーカルや本人のシンセなどがあい混じるポップなサウンドの中で、複雑なラインによって、軽やかにサウンドの風景をどんどん移り変わらせてゆく。ああこれは快感。

●デイヴィッド・ビニー
ダニー・マッキャスリン『Fast Future』(2014年)
ダニー・マッキャスリン『Casting for Gravity』(2012年)