Sightsong

自縄自縛日記

大宮浩一『石川文洋を旅する』

2014-08-16 19:32:07 | 沖縄

ポレポレ東中野に足を運び、ようやく、大宮浩一『石川文洋を旅する』(2014年)を観る。

石川文洋さんは、那覇・首里生まれ。幼少時に、沖縄戦が始まる前に「本土」へと引っ越し、戦後を迎える。やがてカメラマンとなり、米軍に従軍してベトナム戦争を取材した人である。

沖縄は、日本に侵略・支配され、併合(琉球処分)後も現在に至るまで構造的な差別の対象であり続けている。沖縄戦においても「本土」の「捨て石」とされたにも関わらず、ベトナム戦争時には、明らかに大義のない米軍の出撃基地となり、沖縄からベトナムへ飛んだ兵士は、ベトナムにおいて民間人を虐殺した。

この、二重にも三重にも構築された、犯罪的かつ馬鹿げた組織の活動。沖縄-日本、沖縄-アメリカ、アメリカ-ベトナムの間に走る亀裂という「現場」に身を置いた石川さんだからこその発言には、何度も自らを省みながら、耳を傾けなければならないだろう。

石川さんは、アメリカの複数の大統領やマクナマラといったエリートがなぜこのような間違いを犯したのか、それは「現場」を知らないからだと断言する。いままさに迫る危機がこれではないか。

●参照
石川文洋写真展『戦争と平和・ベトナムの50年』
石川文洋講演会「私の見た、沖縄・米軍基地そしてベトナム」
石川文洋『ベトナム 戦争と平和』
金城実+鎌田慧+辛淑玉+石川文洋「差別の構造―沖縄という現場」
石川文洋の徒歩日本縦断記2冊
石川文一の運玉義留(ウンタマギルウ)


ウォーン・マーシュの『Warne Marsh』と『Music for Prancing』のカップリング盤

2014-08-16 08:34:01 | アヴァンギャルド・ジャズ

ウォーン・マーシュ『Warne Marsh』(Atlantic、1957年)と『Music for Prancing』(Mode、1957年)のカップリング盤を入手。

『Warne Marsh』
Warne Marsh (ts)
Ronnie Ball (p) (1,3)
Paul Chanbers (b)
Philly Joe Jones (ds) (1,3)
Paul Motian (ds) (2,4-6)

『Music for Prancing』
Warne Marsh (ts)
Ronnie Ball (p)
Red Mitchell (b) 
Stan Levey (ds)

このテナーサックス奏者、昔はまったくピンとこなかった。音は立っていないし、何だかもそもそしてハッキリしていないし、出てくるべきと思えるところで陰に隠れているし。特にインプロヴィゼーションの天才リー・コニッツと組んでいたりすると、何のためにそこにいるのかわからないとさえ思っていた。

そんなわけで、気が向いて実に久しぶりに聴いたのだが、これがまた素晴らしく聞こえて仕方がない。人間の耳と脳なんて不思議なものである。(わたしが駄目だっただけか?)

はっきりせず布や板をかきむしるような音色は、他の人に出せない個性に他ならない。でかい音で聴くとこれがまた快感。ヘンなところで出てきたり引っ込んだりする節回しは、レスター・ヤングやスタン・ゲッツらのテナーの系譜にあるものかもしれない。

決めつけと思いこみはよくない。