Sightsong

自縄自縛日記

<フェンス>という風景

2009-08-14 07:00:00 | 沖縄

宜野湾市の佐喜真美術館は、普天間基地を一部返還させて造られている。地図上では、普天間基地の中にあるように見える。凹の字のように入り込んだ土地の周囲には比較的新しいフェンスがあり、やがて古いフェンスと接続する。

美術館の屋上から覗き込むと、真下にフェンスがある。その先が普天間基地だが、昔からの墓も見える。フェンスの綻びの横に、宜野湾市による看板が掲げられていた。このように書かれている。

米軍のフェンスが損壊される行為が続くと、今後の市民広場の利用ができなくなることもあります。

中二階で振り返る顔は何か。そしてフェンスが風景化したとき、権力は最大化する。

普天間代替というウソの看板を掲げている辺野古には、フェンスではなく、鉄条網があった。『ホテル・ハイビスカス』(中江裕司、2002年)は、これをあからさまに所与の風景として描いた。新作『さんかく山のマジルー/真夏の夜の夢』は観ていないが、何を隠蔽し書き換えようとしているのだろう。

風景を異物として意識上に浮上させるだけでは足りないという、仲里淳の発言があった(『インパクション』163号、「沖縄―何が始まっているのか」、インパクト出版会)。

― 基地のフェンスやその向こうが見えているからといって、実の視線や意識がボーダーを超えることとはならない。日常や身体にどれだけの<暴力>が浸透しているかを意識上に持ってこなければ、内実のない観念に終ってしまう。


普天間基地(2009年) Leica M4、Biogon 35mmF2、Rollei Retro400、イルフォードMG IV RC、2号


普天間のフェンス(2009年) Leica M4、Biogon 35mmF2、Rollei Retro400、イルフォードMG IV RC、2号


普天間のフェンス(2009年) Leica M4、Biogon 35mmF2、Rollei Retro400、イルフォードMG IV RC、2号


辺野古、キャンプ・シュワーブの鉄条網(2007年) Pentax LX、FA★24mmF2.0、Provia 400X、DP


高江、「H地区」ゲート(2007年) Pentax LX、24mm★F2.0、Provia400X、DP

参照
『インパクション』 沖縄―何が始まっているのか
高江・辺野古訪問記(1) 高江
高江・辺野古訪問記(2) 辺野古、ジュゴンの見える丘


オオタニワタリ

2009-08-14 01:03:55 | 環境・自然

ロイター記事に登場した。

樹や石に着生するシダ植物、オオタニワタリ。腐植土のベッドを作り、ひだひだの葉を伸ばしている様にはとても惹かれる。沖縄では珍しくもないのだろうと思っていたら、実は絶滅危惧種であった。沖縄本島に多いのはシマオオタニワタリで、葉の裏にある胞子が縁までの中ほどまでの幅しかないことが特徴だという。

なぜ「谷渡り」なのかといえば、「この植物が谷を渡るように分布するため」という由来らしいが、いまひとつ納得できない。(>> リンク

2009年、宜野湾市・佐喜真美術館近く


宜野湾、佐喜真美術館近くのオオタニワタリ Leica M4、Biogon 35mmF2、Rollei Retro400、イルフォードMG IV RC、2号フィルタ

2007年、今帰仁村・備瀬


フクギに着生したオオタニワタリ Leica M4、Carl Zeiss Biogon ZM 35mmF2、Tri-X、イルフォードマルチグレードIV(光沢)、2号フィルタ


フクギに着生したオオタニワタリ Leica M4、Carl Zeiss Biogon ZM 35mmF2、Tri-X、イルフォードマルチグレードIV(光沢)、2号フィルタ


表からみた胞子部分の拡大(フクギに着生したオオタニワタリ) Leica M4、Carl Zeiss Biogon ZM 35mmF2、Tri-X、イルフォードマルチグレードIV(光沢)、2号フィルタ

2006年、東村・新川川


東村、新川川のオオタニワタリ Leica M4、Pentax 43mm/f1.9、TMAX400、Gekko(2号)

参照
沖縄県今帰仁村・備瀬のオオタニワタリ
沖縄県東村・新川川のオオタニワタリ
科学映像館の熱帯林の映像