5月5日
トンレサップ湖は、カンボジアの中央に位置する大きな湖である。
伸縮する湖といわれ、雨季の面積は乾季の3倍にまで膨れ上がるらしい。
私達の訪れた4月末は5月から雨季にはいるという乾季の最後の時期で、この湖は最高に干からびた状態になっていた。
わたしたちのイメージする湖とは大違いで、ここはまるで泥水のたまり場。
すごい騒音のエンジンをつけた古いボートでゆくクルージングは、水質が不安なのと泥水よけに傘を持たせられる。
沖にでるまで、湖水に入って作業をする人の膝下までしかない、なにもボートに乗らなくてもと思うほどの浅い水深をすすむので、スクリューはまるで川底の泥を撹拌するためにあるようなもので、しかも途中で泥にはまってボートが止まってしまうし……
湖の中央は水上生活者の生活圏となっている。
これは水上生活者の子弟の通う学校。
ガイドブックには水上で暮らすベトナム人が通う学校とある。
教会もある。
韓国語の看板もたくさんみかけたので、韓国の方も住んでいるのだろう。
どうしてベトナム人がここに住んでいるのか、詳しくわたしには理解できていないが……
いろいろ問題のあったポルポト政権成立直後からベトナムとの対立が悪化するようになり、1978年にベトナム人がカンボジア領内に侵攻し、翌年プノンペンを解放したとある。
このことではベトナム戦争直後のことなので、世界的にかなりベトナムは批判を浴びたらしいが、ガイドさんはベトミンの協力で戦争に勝てたという言い方をしていた。
その時の兵隊さんがここ残って住むようになったという。
ベトナム南部のデルタ地帯も同じく水上生活者が多く住んでいるので、環境的には変わりがないのであろう。
生きるためには環境は選ばないのか、環境に順応するのか、淡々と生活しているようにみえる。
わたしのボートには船頭さんのお子さんが、おとなしく船にのっていたが、退屈なのか眠ってしまった。
40℃にもなる強い日差しをもろにあびて汗を額に浮かせながらひたすら寝ている姿はいじらしく、日本の過保護な子供たちに比べてなんとたくましいことと思ってしまった。