四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「口語短歌・水曜サロンの会」(その79)

2023年04月12日 05時11分36秒 | 短歌

「口語短歌・水曜サロンの会」(その79)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 4月26日(水)掲載分を、都合により4月28日(金)に変更させて
     頂きたくお願い申し上げます。勝手な変更で申し訳ありません。

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「咲き初める 八重桜・白」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】2023年4月3日桜満開の松本城に行って来ました。前日の土・日曜日を
   避けた
おかげで観光客は比較的少なく気分よくお花見をすることが
   出来ました。
今回は快晴と言うこともあって「松本城」「桜」そして
   北アルプス常念岳・槍ケ岳等が
はっきりと見ることが出来ました。
   感激のあまり短歌を詠んでみました。

☆つわものの威信をかけた名城は 桜を愛でる陽春の輝き
☆花冷えの冠雪抱く常念岳 天守より眺める春の訪れ
☆春霞花筏にも喜びが 清しと集う水面の春も
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 桜満開の松本城と聞いただけでワクワクします。ましてその天守閣から見る
 北アルプスの
景観は何度見ても見飽きることはありませんね。なお、この
 お城は日本に5つある国宝城郭の
ひとつで、500年近い歴史をもつ現存する
 五重六階の城の中では日本最古とのこと。

 三首の歌には、お城と、それを囲む桜、さらにはアルプスの景観に対する
 作者のワクワク感と
感動がそのまま表現され共感します。短歌は、このような
 感動を詠むのに最適な表現手段とも感じます。

 一首目の歌につき、6家23人の城主が就いたと言われる城の歴史を織り込み、
 かつて「深志城」と呼ばれた史実も踏まえ詠んでみましたが…。

【ご参考】
 ★つわものの歴史も滲む黒壁に 映える桜よ ああ深志城

【詞書】忙し過ぎるのもほどほどに リスト「マゼッパ」を聴いて
☆私に働け!と
  出来ないものはできん!

   桜が散ったらやろう
                         自閑さん
【短歌説明】自閑さんご自身のせつめいです。
 YouTubeでクラシックを聴きながら、古典の勉強をしていると、リストの超絶技巧
 練習曲集
第4曲マゼッパが好きだと言うYouTuberがいました。
 聴いてみると、鍵盤🎹を指で叩きつけて、忙しく動かしていました。練習曲で
 これなら、本番は
もっときついだろう?ショパンのエチュードも似たようなもの
 ですが、これ程酷くは無いです😱

 ベヒシュタインと言うピアノは、リストの演奏に耐え得ると言う事で製作された
 そうです。こき使うなよ😃

 いつも拝見している方が、年度末の忙しさに、余りに仕事に力が入り過ぎている
 ので、
ほどほどにと言うアドバイスを込めて。
 下記URLにマゼッパを貼り付けていますので、私の「ピアノが酷使されている」と
 言う意味が
お分かりになるかと思いますので、御覧いただけば幸いです。
 このピアニスト辻井伸行氏は、
全盲とか。と言う事は、この音の暴風雨を、聞き分け、
 頭の中の楽譜を演奏している事に
なります。この奇跡を是非お聴きください。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/d76db1cfb8f72b7bd68b86bf1834a91f
【解説】
 年度末の業務の繁忙期に、「余りに仕事に力が入り過ぎているので、ほどほどにと」
 との
アドバイスを込めて詠ったとのこと。一呼吸おいての「桜が散ったらやろう」の
 結句が程よく
利いた歌になっていると考えます。「一行の空白」も歌を構成する
 大切な要素と考えます。

 フランツ・リストの「マゼッパ」はヴィクトル・ユーゴーの叙事詩『マゼッパ』に
 感銘を受けて作曲
したと言われていますね。でもこの曲はピアニスト泣かせの曲で
 あると共に、酷使される
ピアノも人の指もたまったものではありませんね。
 諸々の想いが詰まった歌であるにも関わらず、ユーモアのセンスも忘れない
 「詠み」に
今回も学ばせて頂きました。

【詞書】今週も桜が潔く散りゆく刹那を詠みました。
☆咲き満ちて刻満ちてなほ たましひの重さ今しも桜散りゆく
                         みっちっちさん
【解説】
 渾身の一首ですね。「咲き満ちて刻満ちてなほ」の一句、二句のリフレインと
 調べが
秀逸と思います。
 私たちは散りゆく桜を諸々の想いを託して見つめますが、桜は人のそんな想いに
 関わらず、自然の摂理に導かれ散り、実りへと移っていくのだと思います。
 しかし、散り際の美しさと、見事さには「たましひの重さ」を感じつつ見惚れる
 ことが
あります。そんな想いをこの歌から感じました。

【詞書】桜3首
☆見上げれば精魂込めて咲き尽くす 桜迫りて苦しくなりぬ
☆法要の報せもなくて姉の忌は桜吹雪のはかな手のひら
☆薄墨の桜ひとひら舞いおりて去年のあなたがそっと寄り添う
                         夕庵さん
【解説】
 「桜3首」はいずれも、桜にまつわる心に沁みる歌物語になっています。
 一首目の「精魂込めて咲き尽くす」様は、多くの皆さんが感じる染井吉野の咲き
 満る様子に重なると思います。その懸命さはまた、私たちにあの種の圧迫感を
 与えることも事実と思います。しかし、そんな桜に寄り添い、心をこめて
 詠んでいると感じます。
 三首目も「薄墨の桜ひとひら」「そっと寄り添う」の表現が利いた、味わい深い
 しみじみとした歌と
考えます。

【詞書】年が明けて、机の横に掛けたカレンダーに最初に書き込んだのが義母の
    葬儀日程でした。
96才の大往生が写真の富士山のように見えました。

☆新しき壁の暦は雪の富士義母の葬儀の日取り書き込む
                         I.SATOさん
【解説】
 お義母様は96才の大往生であったとのこと。昭和2年前後に生を受け、平成、
 令和と、文字通り三代にわたる激動の歴史を生き抜いてこられた方と思います。

 青春の最も多感な時期に価値観の大転換を経験され、厳しい自己変革も迫られた
 ことは
想像に難くはありません。

 それゆえに他者への真の優しさを秘めた方との想像ができます。
 そんな方への畏敬を「雪の富士」に重ねて淡々と詠まれた、詠歌は心を打ちます。
 お義母様にそのような温かな想いを寄せられることは、奥様にとっても幸せな
 ことと思います。

【詞書】この日曜日に高知県吾川郡仁淀川町に咲いている桜を見に参りました。
   残念ながら、桜は終わってしまっていましたが、その桜の里の仁淀川渓谷に
   しがみつくように建っている家並みに心を打たれました。
☆人の住む景色うつくし仁淀川渓谷に建つ家々の屋根
【詞書】その桜の里の近くには武田信玄の息子、武田勝頼一族が住み着いたと
   言われている大崎という村があります。
☆大崎の地に住み着きし信玄の息子、勝頼一族おもふ
【詞書】日曜日に行った仁淀川上流には安徳天皇の住まわれていたという越知
   という地名があり、そこには安徳水と呼ばれる水が湧いています。
☆落ち延びて越知にいました幼帝の安徳水の安徳天皇
                         suisenさん
【解説】
 二首目の「武田勝頼一族」落人伝説では、織田軍からの敗走後、当時の土佐の
 武将・香宗我部氏を頼って落ちのびたとのことですね。その後、この大崎村川井
 (現仁淀川町大崎)に入り、以後、名前を大崎玄蕃と変名し、この地で25年
 ほど活躍し、慶長14年(西暦1609年)8月25日64歳で逝去され、鳴玉神社に葬られた
 との記録が残っているようです。
 桜の花見がてら郷土の歴史と、そこに生きる人々の息吹に触れ、歌に表現する
 ことも「歌枕」を自ら作るうえで大切なことと思います。
 このような試みと、挑戦は大いにやって参りましょう。

【詞書】「イフェイオン」はハナニラのことなんですが、こっちの名前の方が好き
    なんです。響きが良くて…。
☆そこここに 今年も咲いたイフェイオン昼間の庭に星が輝く
【詞書】坂本龍一さん、ご冥福をお祈りします。40年は前ですが、姉が一時YMOに
    はまってて、その頃に数曲知りました。その中の一曲「ライディーン」が
    「響け!ユーフォニアム」で流れた時は衝撃でした。
☆「ライディーン」マーチングバンドの演奏のシーンがあった 好きなアニメに
                         ちがやねこさん
【解説】
 一首目の歌、イフェイオンは、星型の花びらが特徴的な植物で、桜の咲く今頃の
 季節にそこかしこに儚げに咲いています。詠まれているように真昼の庭に
 「星が輝く」ように咲いている印象的な花でもありますが、花の写生が生きて
 いる歌と考えます。
 二首目の『ライディーン』(RYDEEN)は、イエロー・マジック・オーケストラ
 (YMO)の2枚目のシングル曲で、「テクノポリス」と並ぶYMOの代表曲でしたね。
 「衝撃」を共有できて嬉しいです。出発点から強烈な影響力を放つ方だったと
 思っています。改めて、坂本龍一さんのご冥福をお祈りしたいと思います。

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  引き続き「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆花冷えの冠雪抱く常念岳 天守より眺める春の訪れ
                         浅間山明鏡止水さん
★滑落の常念岳を仰ぎ見る歌友は何処に眠り給うや
                         夕庵さん

☆咲き満ちて刻満ちてなほ たましひの重さ今しも桜散りゆく
                         みっちっちさん
★振り向けば今し椿の落ちたるを見ぬこととして空仰ぎたり
                         夕庵さん
【詞書】椿がぽとんと落ちるのを見るのは悲しいですが、いのちを精一杯燃やして
    逝った
亡き母を思い、私も頑張らねばと思います。
★いのち燃へ椿落つるを亡き母の檄かと思ひしばし佇む
                         みっちっちさん
【詞書】またまた母を思い出しました。
★老い母に湯をかけやれば曲がりたる背骨に沿いて流れてゆきぬ
                         夕庵さん
★病む母の口へ御粥を運びては 母の無償の愛に報はむ
                         みっちっちさん

☆法要の報せもなくて姉の忌は桜吹雪のはかな手のひら
                         夕庵さん
★姉恋を詠む人の手にひとひらの花あたたかくあれと願はむ
                         みっちっちさん
【詞書】みっちっちさん あなたの返歌に胸が詰まります。だんだん情の薄く
    なるのも
コロナから・・かも ありがとうございました。
★返歌する人の心の暖かさ 散る花にさえ命吹き込む
                         夕庵さん
★返歌して返歌されつつ あたたかき心返して返されてゐる
                         みっちっちさん

☆水明台の切り株台に座り見るお城のやうな老人ホーム
                         suisenさん
★いつの日か老人ホームへ行くのだろう煩わしさから逃れられずに
                         夕庵さん
★咲きたれば日がな老人ホームから眺めたかりしヒガンザクラを
★いつの日のいつは今かもしれなくて老人ホームの申し込みする
★認定を受けてをらざる老ひ人の入れぬホームは花に真向かふ
                         suisenさん

☆月影を浴びて散りゆく桜花 いのちの際の凜々しさも秘め
                         ポエット・M
★月影を踏みつつ帰りし日の遠く別れの言葉はついに言えずに
                         夕庵さん
★ひとことを告げざりし悔い秘め持つも 切なき宵に舞う花吹雪
                         ポエット・M

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆

☆これほどの花もちたるか花吹雪 虚空と大地 おおい なお舞う
                         ポエット・M
【解説】
 咲き満ちて散る。その花吹雪が大地を覆い、なお虚空を舞いゆく。その様は形容しがたく
 圧巻との言葉でも足りないほどの感慨に浸ることがあります。そんな様子を少し誇張気味
 ですが詠ってみました。



「五行歌集 ―君へのレクイエム― 」鑑賞 嵯峨吹雪著 (22)
  
7.折々の歌(1)
 
   尊さは貧しき歌に出で来たり
          花の香りを風に蒔く人   嵯峨吹雪

   友ありて
     奥様までも
        我が歌の
       フアンと聞けば
          有り難きかな

        ヴァイオリンの
          哀しき調べと
             我が歌を
            評せし君に
              永遠の幸あれ

                天さえも
                  泣ける友の
                    愛妻の
                   出棺まぎわに
                      泪雨ふる
         ただ一首
           詠んで献げし
              御礼にと
             友は五島に
               我を招けり

      あの名匠
        小津作品に
           出て来ても
          似合うでしょうね
              あなたの姿


     「咲き初める シャガ」

【短歌入門・質問・提案コーナー】
【投稿外コメント】
 自閑(jikan314)さんにご紹介頂いた桜に関する歌です。学びの一環として掲載致します。

  世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし(在原業平 伊勢物語、古今)
  花にあかぬ嘆きはいつもせしかども今日のこよひに似る時はなし(同 同、新古今)
 京都で、この歌に合う所はどこかな?と探し、東山円山公園の桜がライトアップ
 していたので、
見に行きました。
  もろともにあはれと思へ山桜花より外に知る人もなし(行尊 金葉)
 吉野の奥千本に行った帰り、宮滝に行けると言う誰もいない山道を降りると、一本の
 桜が咲いていて、ふと口に出ました。
  山里の春の夕ぐれ來て見ればいりあひのかねに花ぞ散りける(能因 新古今)
 印象派の絵画の様に感じます。合うかと滋賀の園城寺に行きましたが、大寺院で
 ちょっと違い過ぎました。
  さそはれぬ人のためとやのこりけむ明日よりさきの花の白雪(九条良経 新古今)
 後鳥羽院口伝によれば、良経は、この歌が自信作とのこと。大内の左近の桜の花見です。
  八重にほふ軒端の櫻うつろひぬ風よりさきに訪ふ人もがな(式子内親王 新古今)
 式子内親王は、大炊御門殿、今の京都裁判所と小学校辺りに住んでおり、隣に住む
 甥の惟明親王を花見に誘った歌です。京都裁判所の桜は、ソメイヨシノよりやや遅れる
 ので、京都御苑が散っていたら、見に行っては?
  桜散る木の下風は寒からで空に知られぬ雪ぞふりける(拾遺集 紀貫之)
 貫之と聞くと嫌悪を抱く方もいますが、花びらを空に知られぬ雪と表現した所が秀逸。

【ネット歌会について】
 「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式ではなく、
 「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」するという自然発生的な
 歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響くものがありましたら、それへの
 返歌として大いに詠んで頂き、コメント欄に記入して頂ければ幸いです。

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。なお、ブログの
   字数制限(コード30,000字)により、コメント等編集させて頂く場合もあります。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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