四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「口語短歌・水曜サロンの会」(その70)

2023年02月08日 05時57分01秒 | 短歌

「口語短歌・水曜サロンの会」(その70)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。


 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見等をお寄せ頂ければ幸いです。

【サロンの運営について】前回に続き掲載致します。
 運営等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。



     「咲き盛る 熱海桜」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】1月25日は日本全国雪景色でした。辺り一面が雪になると出かけることが
    出来ません。そこで筆者ブログ「世界文化紀行」日本の雪景色より
    詠んでみました。
☆さまざまな氷のオブジェ立ち並び 支笏湖ブルー幻想的に
   註)北海道千歳「支笏湖氷濤まつり」
☆氷瀑は時を止めたか凍りつき 荘厳にして神秘な世界
   註)茨城県「袋田の滝・氷瀑」
☆雪化粧小樽運河のガス灯は 異国情緒にあふれる夜景
   註)北海道「小樽運河」
                         浅間山明鏡止水さん

【解説】
 「日本の雪景色」、中でも観光地としても人気の「支笏湖氷濤まつり」「小樽運河」
 「袋田の滝・氷瀑」等は、新しい「歌枕」としての喚起力も強いですね。
 いずれの場所も訪れはしたものの、この雪の季節には行っていませんので、
 その変わりようは、まさに別世界との印象があります。
 いずれの歌も、氷と雪への賛歌となっていますが、自然の織り成す「荘厳にして
 神秘な世界」が印象深く詠われています。
 二首目を、視点を変えて詠ってみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★袋田に神の建てたる氷瀑の 神殿粛(しゅく)と時を止めたり


【詞書】2月は母の忌日になりますので、母の俳句や短歌をよく詠みます。
    母がまだ存命の冬、私は母に作った朝粥を見て「朝粥はオブラートめく寒がわり」
    と詠みました。でも何となく下五の季語を推敲したいと思い、母に幾つかの季語の
    中からどれがいいと聞くと、母は即座に「春うらら」を選びました。
    そして「朝粥はオブラートめく春うらら」が詠めました。
    喜んでいた母でしたが、その冬、母は春を待たずに逝ってしまったのでした。
☆侘助は母の優しき笑い皺 ほほゑみのまま逝きたる母よ
☆鉄瓶の湯気しなやかに如月の今日母の忌の白湯の甘さよ
☆朝粥は母の好みし塩加減 春を待たずに逝きたる母へ

                         みっちっちさん

【解説】
 2月は御母様の忌日になり、御母様の俳句や短歌をよく詠まれるとのこと。
 御母様は、作者の胸の奥に、そして詠まれた俳句や短歌の中に活き活きと
 存在していることと思います。俳句の推敲をお母様と一緒に行うことは
 娘にとっても、またお母様にとっても幸せなひと時だったことと思います。
 三首の歌はいずれも御母様への温つく深い想いが詠われ、しみじみと
 させられます。特に三首目の「朝粥は母の好みし塩加減」は、いわゆる
 「おふくろの味」をひき継ぐ娘の想いと、待たれる春を前に身罷った
 御母様への無念想いが滲む味わい深い詠歌となっていると思います。


【詞書】昨日は節分会、近くの寺社へ行きました。
    追い出された鬼はどこへ行くのだろう?と考えてみたときの歌です。
    また福豆を投げる人と目が合って、手を振ると私めがげて投げて
    くれたのを背伸びして上手くキャッチ出来たうれしさ~
☆鬼遣らいどこへ行くのか頭(づ)をかかえ涙一粒氷雨の街へ
☆節分会のコントロールよき福豆を見事キャッチの縁起のよろし

【詞書】咲き誇った蓮の花が朽ちた姿で風に逆らうことなく揺れているのを見て
    自分の姿と重ね合わせました。
☆飄々と風にゆだねて破れ蓮(やれはちす)あすの命のわからぬものを
                         夕庵 

【解説】
 今年は、三年ぶりと銘打って各地で「鬼遣らい」の行事が復活していますが、
 一首目は「追われた」鬼を思いやる優しさが「涙一粒」の表現に滲み、作者の
 お人柄が覗く良い歌と思います。
 三首目の「破れ蓮」。飄々と風に吹かれながらも、足下に蓮根と言う次世代を
 担う存在を育み、自らの使命を全うした矜持を胸に枯れていく。そんな蓮の
 生きざまを踏まえ「あすの命のわからぬものを」と詠いつつも作者の心意気が
 覗く歌と考えます。また、朽ちることを厭わず使命を全うしたもののもつ
 美意識も伺えます。
 「破れ蓮」の一般的な解釈の、寂しくわびしい風情を逆手にとっての歌と解釈
 したら、深読みでしょう。



     「白い山茶花」

【詞書】無題
☆背に一つホクロのあるをいとおしく
    抱きしめる度
  広き背中に

                         自閑(jikan314)さん
【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の解説です。
 日本の中世からの美意識として、艶が有り、それについて、学んでいた時に
 ふと出来た短歌です。
【投稿外コメント】自閑(jikan314)さんご自身のコメントです。
 2月4日は立春と言う事で、立春の歌を紹介します。古今集以来、春の初めの歌は、
 巻頭歌として特に重要視されました。
  みよし野は山もかすみて白雪のふりにし里に春は来にけり (後京極摂政太政大臣)
 「みよし野の」ではなく「みよし野は」とした所が優れていると本居宣長も評している
 九条良経の代表歌の一つです。
  ほのぼのと春こそ空に来にけらし天の香具山かすみたなびく (後鳥羽院)
 太上天皇としての気高さを感じる歌ですが、隠岐に流され、たぶん真っ先に削除した
 でしょう?
  山ふかみ春とも知らぬ松の戸にたえだえかかる雪の玉水 (式子内親王)
 私は式子内親王の歌でこの歌が一番好きです。初春をイメージ出来る印象的な歌です。
 松は、春を待つの掛詞です。
  かきくらし猶ふる里の雪のうちに跡こそ見えね春は来にけり (宮内卿)
 宮内卿と言う二十歳前の歌人が、如何に評価されていたか。この後に続く俊成、
 俊恵両巨頭の前に配置されています。
  時はいまは春になりぬとみ雪ふる遠き山べにかすみたなびく (よみ人知らず)
 新古今、万葉集中臣朝臣武良治の歌です。立春と霞は古くから歌われております。
  あらたまの年行き返り春立たばまづ我が宿に鴬は鳴け (大伴家持)
 万葉集大伴家持の歌です。これは節分の前日の宴で作られたものですが、春の到来を
 告げるのは、霞、梅、そして鶯となっております。
  としのうちに春はきにけりひととせをこぞとやいはむことしとやいはむ (在原元方)
  袖ひぢてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ (紀貫之)
 最後は古今和歌集です。この両歌には賛否が有ると思いますが、その後500年の
 勅撰集の歴史の冒頭となる記念すべき歌です。

【解説】
 日本の美意識も「雅」「幽玄」「侘び・寂び」さらに、最近の「映え」等、時代と共に
 変転を重ねて来たでしょうが、「艶」は平安の昔から現在に至るも私たちの意識の底に
 息づいていると考えます。
 平安時代中期の日記文学『蜻蛉日記』にも、「宇治川の水面が艶やかに光っていて…」
 との表現が見られます。それらも含め、学びの過程で琴線に触れた語を、そのまま
 詠歌に結実させる、作者の手並みの良さを改めて感じました。
 詠歌から艶やかな情景が浮かびますが、「背のホクロ」が一層の妖艶さを誘います。
 なお、「立春の歌」を紹介いただきありがとうございます。今回紹介させて頂いた
 「新年の歌」から引き続き、次回の「水曜サロン」に掲載させて頂ければ幸いです。


☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
【詞書】引き続き「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆枯れ野にも明日への備え 種いだき あまたの草の命息づく
                         ポエット・M
【詞書】曾孫の誕生の時の歌です。
    長い間待って、みんなの期待のなか、無事に生まれた喜びです。
★月満ちていのち溢れる産声のぷるぷる頬の春の赤子は
                         夕庵さん
★泣きつつも訴えなすや産声は 穏やかな世と迫る叫びも
                         ポエット・M

☆鬼遣らいどこへ行くのか頭(づ)をかかえ涙一粒氷雨の街へ
                         夕庵さん
★鬼遣らひどこへ行くのか頭(ず)をかかえくぐるは街の縄のれんかな
                         みっちっちさん
★縄のれん出て来た鬼は赤ら顔 頼光らとも肩組み歩む
  註)頼光は源頼光であり、鬼の王・酒呑童子を坂田金時らと討ったとの伝説あり。
                         ポエット・M

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆

☆氷雨をも まといて咲ける寒椿 散りたる花も艶やかにして
                         ポエット・M

【解説】
 久し振りに降った氷雨を浴びながら寒椿が咲いています。また、地に降り敷いた花も
 いくつか散見されます。咲いている椿も艶やかですが、散った後の花も鮮やかな紅色を
 湛え艶やかな命の息遣いさえ感じました。そんな花の艶やかさを詠ってみました。



     「早咲きの 河津桜」

「五行歌集 ―君へのレクイエム― 」鑑賞 嵯峨吹雪著 (13)
 
 3.白いブランコ(2)


   〇青春夢遊ばせる春の夜は
          星の煌めき白いブランコ
   〇亡霊は心のなせる業なるか
          さればなおさら永遠ならずや
                   嵯峨吹雪

   ああ〇子
     〇子の君よ
        永遠に
       他に呼ぶ名は
          あらざるものを

         星々が
           夜露の玉に
              眠るころ
            心をよぎる
               不吉な予感

                 突然に
                   身の毛がよだち
                       ぞっとする
                     首に冷たい
                        霊気を感じ

          誰(た)が漕ぐや
             風も無き夜の
                 星光(ほしかげ)に
               不気味に揺れる
                   白いブランコ

     ああもしや
       君の霊かと
         恐れつつ
        恐れを超えて
            心が疼く



     「日本水仙」

【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでの
 ヒント、質問、諸々の疑問点、さらにご意見等について触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、歌評、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せ頂ければ
 幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、
 反論、ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しい限りです。

【サロン参加者からのコメント】前回に続き掲載致します。
 自閑(jikan314)さんから紹介頂いた、正月の和歌です。

  はつ春のはつねの今日の玉菷手にとるからにゆらぐ玉の緒
                        (新古今集、万葉集)
 正倉院には、大伴家持がこの歌を詠んだ、孝謙天皇が養蚕の為に賜った玉箒
 (子日目利箒)が模造されております。
 新古今では、よみ人知らずとなっておりますが、古今和歌六帖からの撰歌
 だからです。
  正月(むつき)立つ春の初めにかくしつつ相し笑みてば時じけめやも
                             (万葉集)
 お互い共に正月には笑い合うのが一番ですね。大伴家持の歌です。
  千歳までかぎれる松もけふよりは君にひかれて万代やへむ
 壬生忠岑で公任三十六人撰や和漢朗詠集にも撰ばれた子の日の歌です。
  明日からは若菜摘まむとしめし野に昨日も今日も雪は降りつつ
                        (新古今集、万葉集)
 山部赤人の歌です。七草粥は、遥か昔からの行事ですね😃
  若葉指す野辺の小松を引き連れて元の岩根を祈る今日かな  (玉鬘)
  小松原末の齢に引かれてや野辺の若菜も年を摘むべき    (源氏)
 源氏物語若菜の題名となった和歌です。
  新しき年の初めの初春の今日降る雪のいや重け吉事    (万葉集)
 大伴家持が、天平宝字三年一月一日が立春と重なったと解されております。
 元旦からもう22日も過ぎてとは、思われたかと?和歌や俳句は、旧暦が
 基本で、22日は、旧正月です🎍ローマ教皇グレゴリオ13世が決めた
 元旦で、歌は詠めないと言う天邪鬼ですね😁

【ネット歌会について】
 「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式ではなく、
 「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」するという自然発生的な
 歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響くものがありましたら、それへの
 返歌として大いに詠んで頂き、コメント欄に記入して頂ければ幸いです。
 各位に記入して頂いた短歌を基に、編集し、掲載させて頂きます。
 従って、統一性や「お題」に向けた収斂性には欠けますが、面白いと思っています。
 当面は、手探りでやってみたいと思っています。さらに、良いアイデアがあれば
 各位よりお寄せ頂ければ嬉しいです。


     「咲き初める 白梅」

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
 (8) 最近心無い「スパムメール」等がコメント欄に届いています。
    誠に心苦しいのですが、今後コメントは「許可制」にさせて頂きます。
 (9) 投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
    ニックネームのみでIDのない方、あるいは匿名の投稿は内容により掲載
    できない場合もありますのでご了承願います。
                     了

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