しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

脱走と追跡のサンバ 筒井康隆著 角川文庫

2014-05-21 | 日本SF
虚人たち」「虚航船団」と、筒井康隆をそれほど褒めていないわけですが…。
なんだか気になる作家であるのはヴォネガット同様で、ついつい手に取ってしまいました。
ストーリー等の関係性はかなり薄いですが「虚人たち」は本作の続編にあたるようですね。

‘06年SFマガジンオールタイムベスト国内長編43位、SFマガジン1970年10月号-1971年10月号連載。

筒井康隆作品としては初期に分類されるようですが、後のメタフィクション的作品につながるかなり実験的要素の強い作品であり、この作品を筒井氏の最高傑作と評する人もいるようです。
ただ現在は絶版で入手困難ですが....。

昨年ブックオフ(多分大森店)で105円で購入。

裏表紙も同じデザインとなっている

この装丁とともに本書の記憶は昔からありますが、読む気にはなりませんでした。

内容(表紙折り返し記載)
脱走してやるぞ!
どんなことがあっても、脱走してやる。このいやらしい世界から逃げ出してやる。こんなところにとじこめられていてたまるものか。
 まさに汚物の墓場の下水管を通り抜けマンホールからこっちの世界に入り込んだものの、いまやあっちの世界へ脱出だ! もう脱出するための行動しかのこされていないのだ。
 奇想天外な発想で現代をパロディ化し、現実と虚構の世界を渾然一体に描いた著者会心のSF長編小説。

とりあえずの感想、よくわかりませんが「面白い」という作品ではない。

中学生頃読んだらまずまちがいなく挫折しただろうなぁという内容です。

多元宇宙と内的宇宙が交差しながらドタバタしていくお話で、「虚人たち」と違いなんとかSFといえる作品ではある…かなぁ。

読んでいて現実がどんどん崩れていくところ、特に階段がなくなるところがディックの「ユービック」を思い出させたのですが....。
「ユービック」は1969年発刊で1年しか違わないので関係ないかなぁ?
筒井康隆なら原書で読んでいるかもしれませんが....。

本作60年代に流行ったニューウェーブSFのパロディという要素もあるようですので、当時のニューウェーブSFはこんな感じだったのかもしれませんね。
(「結晶世界」などニューウェーブの作品殆ど読んでいないのでわかりません)

「多元宇宙もの」と見せながら「内的宇宙」に話を持っていき、情報、時間や空間のあいまいさを抉り出して展開していく筆力と論理性は大したものだとは思いましたが….。
「虚人たち」同様、もう少しエンターテインメント性を持てなかったのかなぁ?
とは思いました。

例えば「おもしろさ」だけで比較すれば「ユービック」の方が確実に上でした。

そんなこんないいながらもなにやら心にひっかかるものはあり...、また筒井作品を手に取ってしまいそうな気はします。

うまく言葉にできませんが魅力はあるんだろうなー。


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