しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

暗黒星雲のかなたに アイザック・アシモフ著 川口正吉訳 グーテンベルク21 

2014-11-15 | 海外SF
聖少女」を読み終わり、まだSFに戻るつもりはなかったのですが…。
だいぶ前にためしにKINDLEで購入していた本作しかカバンに手持ちがなく読むことになりました。

端末はNEXUS7です。

最近KINDLE PAPER WHITEが気になっており、「電子書籍で小説を読む」ということを試したいという気持ちもありました。
今回やってみてマンガなら問題ないのですがNEXUS7で小説を読むと電池が早くなくなることがわかりました。
小説を読むならKINDLE PAPERE WHITEがいいんだろうなぁと思いましたが、電子書籍はブックオフで買うより高いですし、品揃えもいまいちな気が…。
私の読む本の傾向はこのブログの通りなのですが基本古めなので電子書籍で出ていないものが多いです。

最近ハヤカワ文庫の古めのSFが電子書籍化されだしているのは興味があるのですけれどもねぇ。
(アシモフの本書や「夜来る」もハヤカワ版で電子書籍化されだした)
と、こちらの方の結論はでませんでした。

さて、本作は1951年刊。
本作と1950年刊の「宇宙の小石」、1952年刊の「宇宙気流」の3作はアシモフの未来史的に、ファウンデーションの前史にあたる「トランターもの」として分類されてます。
以下wikipediaの引用ですが“いずれも惑星国家のひとつであったトランターが周辺諸国を統合して銀河帝国の礎を築きつつあった時代を舞台にしている(ただしトランター自体は直接には登場しない)ため、アシモフの著作群のなかでは「トランター・ノヴェル(トランター物)」として分類されている。”
とのこと。
アシモフは1980年代からファウンデーションシリーズと「鋼鉄都市」の系列のシリーズを一つの未来史に統合していくわけですが、本作と1985年刊行の「ロボットと帝国」との間で地球の放射能化に関する整合性は取れていなかったりします。
が、まぁご愛嬌ですね。
ちなみに初読です。

内容紹介(amazon記載)
壮烈な核戦争の結果、絶滅にひんした地球も千年後には緑をとりもどし、人類は銀河系に進出していた。だが、そこに展開されていたのは、ティラン大汗国の専制に抗する諸惑星の姿だった。ティランに反旗をひるがえすバイロン・ファリルの行く手には、限りない策謀と落とし穴が…アシモフならではの卓越したプロットとスリルで一気に読ませるスペース・オペラの代表作。

本作、何かの本の解説に書いてあった記憶がありますが…多分ジュブナイルだったはず。
読んでみても内容的にいかにもジュブナイルっぽい感じです。

その解説には少年時代本作を読み「血湧き、肉躍る感じがした」というようなことが書いてあったような記憶があります。
確かにそういう面では名作な気はしました。

ファウンデーションシリーズは「ローマ帝国」を下敷きにしているようですが、本作では「大汗国」とされているようにモンゴル帝国と侵略されたヨーロッパの関係を下敷きにしているようです。
「騎馬」で征服したモンゴルになぞらえ、機動的な小型宇宙船の戦力がティラン大汗国躍進の原動力となり他の文明度の高い惑星諸国を征服していったようです。

牧畜領主の息子バイロンと、征服された王国の王女様のロマンスが軸ですし、結末も脳天気といえばかなり脳天気なものです。
第二次世界大戦後の作品ですし、もしかしたらアシモフ風の皮肉かもしれませんが…。
(銀河「帝国」と民主制は合わないような....)

ということで全編「深み」のようなものを求めると物足りないかと思いますが、危難に立ち向かい成長していくファイロン・バリルと最後の最後に明らかになる敵役のわかりやすい悪役ぶりもなかなかいい感じで安心して楽しめます。

基本勧善懲悪なのですが、誰が「味方」で誰が「敵」かも二転三転して、最後の最後まで謎解きが続きその辺も楽しめる作品になっています。

ネタバレ的ですが...。
大汗国に対抗する勢力の本拠地の所在地をめぐる謎は「第二ファウンデーション」を下敷きにしている感じですが...。

まぁ難しいことをいわず楽しむ作品かと感じましたし、とにかくアシモフらしいそつのない作品ですね。

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