Maintenance SHIOHOUSE

■SHIOブログ■
「店主の独断と偏見でつづる個人的な日誌」

予約修理車両

2018-03-05 23:56:00 | CB400F/350F
久々のオールだが徹夜仕事なんてのは作業効率が著しく低下するため普段の倍以上の時間が掛かる為、寝て日中にやったほうが本来は良いのだがそうもいかないのが辛いところ

例の予約修理車だが
昨年夏に某インターネットオークションで落札した車両
車両自体は貴重な国内408

事前のご予約では
タイヤ+チューブ+リムバンドを前後とも交換
またホイールベアリングフルセットで前後交換
内容的に10時預かりで開店時間前の13時には楽勝で終わるだろうと高をくくっていた。
13時からもう一台予約修理を受けてしまった。
いよいよ当日の土曜の10時過ぎ予定通りお客様が到着

まず気になったのドライブチェーン

「ドライブチェーン終了していますね」というと
「部品あれば交換してください!」と
ホイールを外すことだし了解し受け付け
「作業していて悪いところがあったらやっちゃってください」と(汗)

お客様はこれから仕事で帰りがけに引き取りに来るとのこと
待っていてもらうよりも仕事に集中できるので助かります。
ぱっと見状態の悪い車両は何が起こるかわからない

まずは作業前の試乗に出る
クラッチとスロットルが妙に重い
フロントフォークの動きがおかしい
シートはあんこ抜きシートでクッション感が無く板の上に座っているようでかなり拷問
地獄の試乗を終え車両をチェック

しかしまぁけっこうなちゃんぽん
メーターはCB350Fスピードメーター&CB500タコメーターと思われる

なぜかこんなところにスピードウオーニングユニットが結束バンドで固定されている

これも他車種用のためコードが短いためだ

キックアームも他車種のもの、あまつさえボルトが居ないので回ってしまいキックアームの用をなさない

飾りか!?
ブレーキペダルの作動感もおかしい

トルクロッドの後端のストッパーボルトは違うし、


まんか妙に車体が傾いているのでサイドスタンドブラケットを確認
なんと!!


クラックが入りめり込んでいます。
これを放っておくとどんどんめり込んでいって車体も寝てきます
徐々に寝てくるので本人は気がつかずよっぽど酷くなってから気がつくでしょう
まだこの状態なら角度を合わせて外から溶接補修で直せます。
っていうか仕事が増えちゃったし

まず工場に入れる

最初に行うのはマフラーを外すこと
というのもサイドスタンドでの作業は無理
センタースタンドは付いているが70φ集合管のため使えない
マフラーを外してセンタースタンドが使えるようにする
(足回りの作業のためセンタースタンドのほうが安心)
着脱工賃は掛かるがご了承ください

おや?他フランジナットなのに1箇所だけ六角ナット

このマフラー、フランジの穴が大きいためめり込んでしまっている
ということは締まっていないので排気漏れ

ススで黒くなっています。

クラッチケーブルの取り回しにびっくり

もちろん無理が掛かりむちゃくちゃ重い「腕力強化マシンか?」
スロットルケーブルもライトステーとインナーチューブの間、タコメーターケーブルにしても妙に長くフォークの外を通してある。(ナンデヤネン)

スロットル、クラッチとも給油します。
っていうかホーンが居ないし!?

一体型ETCがなぜかこんなところに(インジケータランプが見えないですよね~)

電源が何故かテールランプ(茶色)から?????????

左サイドカバー内もすごいな~

ハーネスの取回しがめちゃくちゃ
スターターモーターケーブルがやたら長くくねくね取り回してある
(それもアーシング用ケーブルか?)

スイッチの配線も取回しが違うし

ウオーニングユニットステーが居ないためハーネスバンドも使えない
結束バンドでメインハーネスと共締め

リアホイールを外してドライブチェーンを横方向に引っ張ると

はははh....合掌

ドライブスプロケットを交換しますからLカバーを外して中身をチェック
それ以前にオイルパンを見るとけっこう濡れている


オイルポンプから出ていますね

スプロケットを外すとカウンターシャフトオイルシールからも
こっちはコーキングで対処しましょう


外したリアホイール、ベアリング交換しようとしたらむむむ...
ベアリングがハブと面じゃなく凹んでいる

ってことはリテーナー側はハブと平ら

これは間違え

リテーナー側のベアリングで位置決めしますのできちっと奥まで打ち込みます。
そうすれば

リテーナー側が凹んで
反対側はハブと面になります


タイヤを外すとリムの内側は結構錆びている
かさぶた状の錆を極力除去します
検査ハンマーで叩きながらはがし

ワイヤーブラシで仕上げる


ブレーキペダルを動かすと動きが渋い

ばらします

案の定グリスっ気無し
グリスを充てんします

グリスはケチらず使いたいですね

フロント側へ
アクスルホルダーを外すと濡れてる......嫌な予感



ダストシールをめくると確信に変わる


シールの上に堆積物がある

フォークオイル入っていないんじゃないか?

この時点ですでに閉店時間近くなり
まだ溶接作業も残っているため
お客様に連絡
翌日の引き取りに変更して欲しいことと
フロントフォークのO/H
ともに快く許可して戴けました。

お客様自身もフォークの動きに違和感を感じていたようです。

フロントタイヤの交換

こちらも内側は錆が出ていますね


さて、フォークを外してストロークさせてみると
全く減衰が効かない


ソケットボルトを外しても出てこない.....

ばらしてみましょう

...............
ボトムケースの裏側を見ると

入れ忘れでなく、漏れ出てしまったことがわかる。

右側は

やっぱりねぇ

インナーチューブに点錆があることから新品に交換
フルO/Hとなった。

キャリパーステーもシャフトが固着
これは炙って外しました。



フロント周りが完成し時刻はすでに翌日に

この車両もバッテリーのブリーザーホースが付いておらず

ヒンジ部分は真っ白
下側のエンジンマウントステーとのジョイント部はワッシャー、ナット不在

なんとバッテリーアースケーブルもスターターモーターケーブル同様
アーシング用ケーブルでやたら長くメインハーネスのアース線と一緒に固定

これはいかがなものかと
3本にカットしてアーシングケーブルとして各ポイントへ接続

いよいよサイドスタンドブラケットの修正
なんとデジカメがバッテリー切れで画像はここまで

明け方には作業が完了
朝8時までは音を出せないので

その間に別件でホイール組みを1組やっつけ

時間になって完成試乗をして終了

昼過ぎにお客様が引き取りに
まずは確認試乗をしてもらうと
あまりの違いに驚かれていた

まだ、完全ではないですからゆっくりと良い状態にしていきましょう



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