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Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

大豆ビュッフェダイニングと池久のパン

2013-01-11 10:08:40 | 
二日間のオフ日は散歩にいそしんだ。今年は暖冬の予報が覆ってけっこう冷え込む日が続いている。束の間の休みは埼玉県、日高市にある高麗神社付近を女友達と合流して散歩する。高麗神社はその昔、東アジアの古代文化を考える会という集まりがあって、その時に一度だけ訪ねたことがあった。35年も前のことだった。例の「天下大将軍」「地下女将軍」というペアーになる碑は昔の素朴な木製ポールが石碑に代わってしまっていた。新しい石碑は現代の韓国風合理主義というかモダニズムを反映しているのか、まったく高句麗文化の香りがしてこない。神社で引いてみたお御籤は「中吉」とでていた。現代神社の積極営業の色が強い高麗神社の中で神社の裏手に保存されている高麗家住宅付近は、昔の山里風のどかさを残している。枝垂れ桜の大木はさぞかし見事だろうと付近の木々へ目を転じてみたら「姫こぶし」という小さな辛夷の木が枝の末端にグレーの綿毛に覆われた花芽を膨らませているではないか。春は静かに歩んでいるようだ。


二日間のオフ日はどういうわけか、偶然的な良質で美味な代用食!に恵まれた。出がけの手土産に買った座間「池久」ベーカリーという突拍子もない店名の個人店主が丁寧に焼き上げたパン、食パンは無論だが、くるみ、レーズン、オレンジピールなどを埋め込んだカンパーニュ風パンの芳しいコクに溢れた味わい。これに自家製の柚子ジャムを塗ってみたらパンの持つ酸味との調和が良く素晴らしい味になった。

もう一つは高麗神社に近いJA日高販売所の脇にあった「大豆ダイニングビュッフェ」、主食からデザートの全てが大豆料理のバリエーションを専門とする食堂である。客は好きなものを選んでプレートに盛りつけて思い思いに楽しむという趣向だ。おからでできたコロッケ、麻婆豆腐、豆腐製チーズケーキ、バラエティに富んだ豆腐メニューを楽しむことができた。


先日訪れた西麻布の植物材料専門中華「健福」の凝った素材の処理と視覚性の洗練には劣るが、おおらかでヘルシイなビュッフェメニューを腹いっぱい堪能することができた。戻ってから作った夜食の半生うどんも良質代用食だった。これは飯能産で茹で時間が超長い20分というスローフードの典型だ。長い茹でのせいかうどんの腰と歯応えは見事そのもの。冷凍イカのげそと玉ねぎ、人参の千切りをかき揚げに揚げてこれを載せて、汁に浸して崩しながら味わう。代用食尽くしながら、勤務先での危うい食生活を、こうして保塁していることの小さな幸せを味わうオフ日になったようである。

元日の弁当

2012-12-31 11:20:12 | 
年末から年始にかけて一日おきの24時間拘束勤務が始まっている。その拘束時間中は勤務前の早朝外食もままならないので、最小限でも二食分の弁当が必要になってしまう。コンビニの弁当がいくらプレミアムと称してグレードアップされていても質量ともに物足りない気分になってしまうので、ある程度自分の手を加えた弁当を携行する羽目になる。そんなときに正月の食材を買う人に混じって普通の弁当用惣菜を物色するのだが、普通品は限りなく品薄になっている。そのせいでもないが、なぜかうっすらとした疎外気分を味わうことになる。

ちょうど年が明けた元日も大きな敷地の無機質な建物の中で24時間を過ごす勤務シフトになっている。正月以外の季節なら、大きなおにぎりを2個と玉子の厚焼きと漬物くらいが定番弁当になっていて用が足りる。せめて年の初めの元日くらいは弁当にも華がないといけない。木挽町の有名弁当みたいに手のこんだ具が満載の弁当は素人ではとても無理である。

元日のメニューは苦渋の結果、正月用の餅を活かした弁当にすることにした。あらかじめ、前日に作っておいた出汁を冷凍して、切り餅数個は電子レンジで焼けばよい。蒲鉾、ナルト、三つ葉などの具も揃っているから、即席雑煮の体裁は整うことになりそうだ。これにちょっぴり色を添えるような副菜も欲しくなった。日向薬師に移住してから覚えた食の手作り仕事が鈍ってしまうのも残念である。そこで混みあっているスーパーで金時豆となます材料となる大根、人参、胡麻を揃えてさっそく仕込みの開始である。



煮豆の丹念なアク抜き、大根、人参の細片カットが手間隙作業の中心である。両品目とも砂糖、酢の加減は今回に関して上手くいったようで、元日の弁当の一助くらいにはなりそうである。

記憶の葱ラーメン作り

2012-12-25 22:56:03 | 
八王子から秋川街道の山あいをクルマで散策したついでに、西多摩郡、日の出町のJA直売所へ寄り道してみた。さすがに寒の季節を迎えて大根、蕪、葱、ホウレン草などの冬野菜が瑞々しい艶を放っていて品揃えが充実している。その中の泥付き葱の束を買ってきて、思いついたのが長葱をふんだんに使った葱ラーメンである。昔、横浜の伊勢佐木町の入り口付近に「博雅」というシュウマイなどがとても美味だった華僑が経営する本格的な中華料理屋があった。この「博雅」はとっくになくなってしまったお店だが、あるときその味を継承しているラーメン店を横浜の郊外に位置する霧が丘で見つけた。
ここも老主人が体調を崩して数年で閉店してしまったが、この店を訪問していた頃、よくオーダーしていたのが葱ラーメンである。構成は細めの麺と鳥ガラや貝柱、野菜などを丹念に煮込んだ醤油味のスープが特徴だ。スープの色は濃い目に見えるが味はどぎつくない。昭和50年代くらいまでの横浜の山下町、野毛、磯子区、南区など旧市街地に点在した中華そば屋に共通するやや甘口のさっぱり味で、いま主流と称されている豚骨系の油脂を多用した家系ラーメンとの違いは明白である。

霧が丘にあったラーメン店の葱ラーメンを食したときに、どこか横浜の街中で仕事をしていたでしょうと、その風味から推測して質問してみたら図星だった。「博雅」で調理をしていたという答えが帰ってきた。細長く刻んだ大量の長葱にチャーシューを刻んでゴマ油とラー油で香ばしさと辛味のアクセントをつけたものが、店主がお薦めしていた葱ラーメンでこれが中々の美味であった。そのときの味覚を再現してみるのも面白いと思って、本日は豚肉のブロックを燻し焼いてチャーシューを作った。


豚肉の漬け込みにはおよそ一晩かける。醤油、味醂、砂糖、酒、ニンニク、玉葱を具材にした漬け汁をかなり昔のレシピ本(河内桃子の若かりし日が表紙)に基づいて配合する。ラーメンはいつもの「コスタ二宮」という福祉法人が販売している愛好している生ラーメンで、これは添付してある液体スープが非力だが仕方がない。胡麻油もラー油もちょうど在庫があった。焼きあがったチャーシューとよく晒したたくさんの長葱を和えてみた。長葱は風邪の予防にも役にたつから、冬の夜半メニューとしてはぴったりである。霧が丘の今はなき葱ラーメンの味わいをなんとか再現してみたが、やはりスープのコクが及ばないなと思いつつ、懐かしい味わいをちょっぴりと楽しむことができたようだ。

蟹・蛸・烏賊のトマト味パスタ

2012-12-15 16:28:57 | 
ずわい蟹の身がたくさん詰まっている蟹缶詰を手土産にいただいた。昼飯は野菜や牛肉の具材がボリュウムも味も、正直調理精神を反映しているすき焼き定食を国立の南武線・谷保駅付近にできた美味い和食店「大根の花」にて満喫した。夜はシンプルな麺でもと思案していて、この蟹缶の活用を思いついた。蟹だけを使ってクリームなどで和えるのもよいが、来週早々に受ける採血検査で血中脂肪値が上がっては困るのでやめた。バターも使わずオリーブオイルだけで魚貝を炒めることにした。ちょうどスルメ烏賊をリンク状にカットしてゲソまで混じっている安いパックがあった。ついでに蛸もミックスしたら、海の幸がいっぱいに香る臨場感を楽しめると思って追加することにした。蛸はモロッコ産だ。鰺はオランダ、鯖はノルウエーとスーパーで日本産を見つけるのはほんとに困難になってしまったようである。三浦半島の長井港付近で採れる地蛸ならさぞかしよかろうと思うが、そんな贅沢はいずれの機会までお預けである。

オリーブオイルを加熱してからニンニクのスライスを焦げ目がつくまで炒めて蛸や烏賊も加える。スパイスは塩、コショウ、黒胡椒、バジルを適量にふる。ワインはちょうど切らしているので在庫の日本酒を大匙一パイ程度加えてみる。トマトホールを一缶使って更にトマトピューレも絞ってみる。最後にズワイ蟹の身をトマトソースの中に散らしてしばらく煮込んで完成だ。パスタは8分茹でてから湯切りする。これを先に煮込んである魚貝ソースのフライパンのなかでよく和えて大皿に移す。代々木八幡の近所にあるパスタの老舗「はしや」なんぞに負けない贅沢蟹味パスタの完成である。

いつも貧相になりやすい副菜のサラダにも手抜かりはなく、熟し始めている柿を林檎などと混ぜる思い付きがよかったようで味の彩度を上げることができた。次のパスタ料理はかって美味いと感じていた渋谷駅南口のジャズ喫茶「メアリージェーン」のアンチョビ(但し店主が作った時のみ)パスタにでも挑戦してみようと思っている。

ZUND BARのラーメン

2012-12-10 11:32:20 | 
九月まで住んでいた伊勢原の日向薬師付近へ柿とミカンを買いに出かける。薬師への出入り商人が経営する売店のミカンは海辺に近い大磯付近で採ったもので、酸味と甘みの塩梅が好きだ。浜松の三ケ日ミカンみたいな本格的なオレンジ味覚はないものの一昔前の在来雲州ミカンよりは味が洗練・改良されている。五年近い在住のあいだにすっかりその味に馴染んでしまった。ミカンを買う前に昼食を済ませようと、七沢在へ寄り道する。

七沢から日向薬師へはちょうど山越えの林道が通っていて、ついでに枯れかかる寸前の紅葉も楽しめるという段取りで田舎風の風物が大好きな同行する友人も、自分で持ってきた高級一眼レフカメラの出番を期待して喜んでいる。昼食は七沢在ではニューフェイスなアジア無国籍料理の「WAI WAI食堂」にすべきか、異色ラーメンで人気があるらしい「ZUND BAR」にするのか迷った結果友人が望む「ZUND BAR」を選らんだ。

前に一度来たことがある野中の一軒家めいたこのラーメン店は相変わらず繁盛しているようで、どこか新興宗教団体か福祉施設の勤務者風質感を漂わせる女子スタッフの接客態度も売り上げがよいせいだろうか?掛け声に張りがこもっている。厚手のステンレスボウルが丼という異形ラーメンを啜ってみる。スープはあまり食したことがない「家系」と称する豚骨ベースの毒々しいゲインが高いものとは異なっている。魚貝出汁などを重ねて丁寧に何度も漉している様子が伺える。スープは醤油味に敵対しないで、清く澄んで包み込んで控えめながらもコクがある。麺は腰がある細麺で、このラーメンを啜っていたら、吉祥寺の熊野神社に近い五日市街道沿いに20年位前にあった煮干出汁に徹底的に拘っていたラーメン店を思い出した。当時の店主のいでたちは、ありがちなバンダナにTシャツではなくビストロのコックさんのような白装束だった。この「ZUND BAR」ラーメンの珍奇なメインメニュー、トッピング、レイアウト、陳列調度品等を眺めていると、異種格闘技の世界と同じようにラーメン業界も生き残りをかけてポストモダン戦争というか、ジャンルを越境した小技仕掛け時代に突入していることを実感させられた。

食後はこのラーメン店の敷地を流れる七沢川の土手に自生している千両などの庭木とも違って、赤い実の塊具合がユニークな「さねかづら」の枝木を失敬してきて、家の中に野山の遊び気分を注いでみることにした