Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

愛しい小物たち

2018-08-26 13:44:51 | ラジオ亭便り
台風20号が去っても今夏の長い酷暑は居座り続けている。いい加減に秋風でも吹いて欲しいと願っているがこの残暑はしばらく続く気配だ。今朝も早起きして店から徒歩10分程度の山下町・中華街へ向かう。お目当は朝から開いている「馬さんの店」という上海料理屋の海鮮粥である。
先週は元町側、前田橋に近い台湾料理屋の「好妃園」の台湾風ビーフンとワンタンスープのランチが良かった。どれも600〜700円程度で充実してるので石川町駅の川沿いにある中華や和食の日本型チェーン店のコスパ比が物足りなくなって足が遠のいてしまった。

海鮮粥の店は8時台に訪れたら観光客も少なく待つこともなくありつける。絶妙な白米の蕩け具合、海老、イカ、ホタテ、揚げワンタンといった具材も粥の味を引き立てている。しばらくは港総合高校東側路地にある中国本土魔窟街の食堂を想起させる「天龍菜館」の格安広東料理を含めて上記、台湾、上海料理の三店が横浜中華街の私的訪問トライアングルを形成しそうである。但し悪い油脂を巧みに避けながらの話になるが。


中華食の小品を愛でた後は先週の大和骨董市の遅めな時間帯のガラクタ漁りで得た愛しい小物群に目を移す。兎模様の香合、合子の合わせ目は呉須青と鉄絵の波模様が。底の印は未だ読み取れないがどうやら丸い囲みのスタイルから推して楽焼系統の窯らしい。兎の目と耳の仄かな赤絵がなんとも愛しい。


次は京焼のお猪口だ。紅葉などの錦秋図が素晴らしく典雅に細やかだ。これも高台が角型で古い刻印が記されている。


最期は出自が明らかになった1905年の小さな印判皿、「海捷記念」文字が書かれ戦士が振る日章旗らしきもの。これをヒントに同行した和洋検索大魔神ともいうべきS女史に問い合わせてみた。即刻、検索結果が出た。ヤフオクの落札結果リストに同種の印判手皿が現れ判明。解説では1905年の日露戦争の戦勝を記念して発売された皿らしい。中央の船が戦艦「三笠」とのことである。三点纏めての価格が1000円。一つ333円と笑い合う。どれも箱は不在で売却価値はゼロだが、自己満足には十分な価値がある。因みに大和駅へのバス、鉄道運賃は往復で1000円になる。

営業日のご案内 週末土日のみ営業しています。13時〜18時 臨時休業の場合のみお知らせします。

小柄なbluetoothスピーカーを聴く

2018-08-15 10:16:24 | ラジオ亭便り
古典古代オーディオの秘跡ともいうべきラジオ亭に面白いハイパーグッズが到来することがある。韓国の起業家がクラウドファンディングで資金立上げして発売した小さなbluetoothスピーカーだ。ネット上では結構な販売価格がついている。

構成は水筒型の円筒駆体にデジタルラインアンプと2ウエイスピーカーが内蔵されている。管球式を彷彿させるようなLEDのイルミネーションも可愛い。ワイアー類の取り回しが一切無く、スマフォやタブレットから音源を取り込めば、いとも簡単にBGMが明快にクリアーに鳴り響く。つい2日前にはアメリカBOSE社のインテグレート型のWAVEラジオという人気商品を友人のリビングで聞いたばかりだ。

BOSEの方はさすがに斬新なbluetoothスピーカーに比べるとその佇まいがクラシカルに見えてしまう。だが一つの駆体にCD、ラジオチューナー、アンプ、スピーカーがコンパクトにまとまられやはりスペースを占拠しない美的な収まり具合が魅力だ。大きなオーディオシステムからコンパクトオーディオヘ方針を変えた友人らしい選択だと思った。

再生音の印象はどうだろう。WAVEラジオを聞いたばかりなのでその個性の比較がしやすい。 私の好みではbluetoothスピーカに軍配が上がる。WAVEラジオは低音の過剰が鼻についてしまうが、bluetoothの方は低音が上手く隠れて駆体から想像するようなメタリックな印象がない。良い表情の中音が伸び伸びしている。無垢材のテーブルにセットして暫くyoutubeの現代ジャズを楽しんでみた。ダイアナ・パントン、シャンタル・シャンブラン、現代のボーカルソースとの相性が素晴らしい。もう少し値がこなれたらこれを二本揃えて小さめなボリウムで夜半のBGM専用装置にしてみたくなるよう音色である。
営業日のご案内 8月18日(土)15時〜19時 19日(日)13時〜19時

台風日和のフルトベングラー

2018-08-09 13:03:28 | ラジオ亭便り
翌日は台風13号が関東地方へ上陸するかもしれないというネットニュースを眺めながら夜半の自炊に励む。平塚港で朝獲れたという鯵の刺身が主食だ。ミョウガ、大葉、あさつきを薬味として添える。定番の土鍋炊き、アスナロ玄米、鶏のモモ肉もオリーブ油で唐揚げ、胡瓜の浅漬けも加わって万全の夏料理になった。棚田で作った玄米が体調をよくしてるというのも気のせいかもしれないが、玄米は丁寧に噛む癖がつくので過食がないところが利点だと確信するようになった。


年初に引いて長引いた風邪のせいで体重が4キロ減量した。これを機に近くに住むスローフード、エスニック食のエキスパート女史のアドバイスを受け入れ外食を減らし、野菜中心メニューに切り替えをしていて体調が維持されているのも気のせいかもしれないが、良い方向だと思っている。

食後は珍しくBGMをフルトベングラーのベートーヴェン、交響曲全集を引っ張りだす。横須賀に住むオーディオマニアのAさんが進呈してくれた質素な紙ジャケのワーナー盤CD全集である。10代の頃、クラシック音楽に目覚めて伊勢佐木町の裏路地にあった名曲喫茶店の「田園」に通った時期がある。

ここで開眼したのがモーツアルトの交響曲、協奏曲、器楽曲等でブルーノ・ワルター指揮のコロムビア交響楽団の39・40・41番交響曲などの主旋律は口笛で再現するくらい身体に染み付いたものになっている。その「田園」では無論、メンデルスゾーン、ブラームス、シューベルトの名曲に親しんでロマン派音楽の奥をチョッピリ垣間見た次第である。

その喫茶店では定時コンサートがあって清楚な雰囲気のお姉さんがナレーションをする新譜紹介も楽しみの一つであった。フルベンの「英雄」「運命」「「第九合唱付」などの歴史的名演奏は耳にタコができるほど聴いたのを思い出したが、意外とその店で聴いていないのが第六番の「田園」だった。当時はオイゲン・ヨッフムのまったりとした「田園」がよくかかっていたような記憶が蘇る。

そこで今夜はフルベン指揮、1952年のスタジオ録音になるウイーンフィルのCDリマスタリング盤を聴く気になる。再生は戦後復興の音力的気迫が漲るSABAのフルレンジ、モノラルスピーカーで文句のつけようがない。フルベン指揮になる典雅と精密を兼備したウイーンフィルの第六交響曲をしばし聴き込む。ゲルマン共同体と背後の森を控えた田舎の風景に包まれるベートーヴェンの自然に対する畏怖や愛惜感情の全てをフルベンの指揮が物語っている。 昔、小林秀雄が音楽が到来してくる瞬間の全体感情を語っていたことをフルベンの演奏から感じ入る夜半になった。

営業日ご案内 8月9日 (水)夕方 〜 11・12日(土・日)13時〜18時