Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

板橋のにりん草

2015-04-15 19:43:45 | 自然

板橋区に住むYさんからかねて噂を聞いていた東京都区部では稀な野草「にりん草」の群生地が開花しているという情報メールが舞い込んできた。場所は高速5号線と国道17号が並行している高島平に近い「区立赤塚公園」の一角だ。

雨模様の10日、旧友のH氏と誘いあい訪ねることになった。初訪問のこの公園はのんびりしたした里山散歩道としての風情がいい。保存展示の古民家があったり、くちぼそ(もっご)、小鮒などを釣る池も住民に開放されている。外れの方には小さな地山の傾斜面がある。よく伸びきったケヤキの大木が点在していて清々しい林間の遊歩道だ。そこに「にりん草」をメインにした保存エリアが仕切られている。お目当ての「にりん草」はYさん達地域篤志家による数十年の計画的な保護運動の成果が実って今年も元気に開花している。Yさんから頂いておいた「残そう!崖線の自然」という冊子(セブンイレブン記念財団 助成発行物)を去年に読んで予備知識があったものだから、可憐で凛々しい小さな花の圧倒的な群落を目の当たりにするのが他人事に思えない。年に三カ月しか地上に現れないというにりん草は氷河期に生き残った花とYさんから聞いている。

公園の桜は葉桜の季節になっている。公園の樹木に囀る「シジュウカラ」の旋律とゆるゆると歩きながら聞くYさんの植物ナレーションが耳に心地よい。「にりん草」の近くに咲いている「タチツボすみれ」「ヤマブキ草」「ひかげすみれ」「にわとこ」「浦島草」「ひとりしずか」「野いちご」こちらも見逃すことができないそれぞれの精緻な春らしい色調を競っている。

庭木としては常識みたいな「アオキ」の花に雌雄の違いがあるというのもYさんの解説で初めて知った。地域の自然保護活動家もご多分にもれず高齢を迎えている。若い世代への継承もなかなか上手くいかない事情のようだ。Yさん達が健康を維持してにりん草をもっともっと増やす運動が長続きしてくれるように祈らずにはいられないひと時だった。