Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

灯りの模様がえ

2013-04-30 11:30:10 | その他
代沢で入手した吊るし型ライトの茶色系の美しい色調には満足していたが、これを使っていると、メインとして使うには部屋の全体光量が足りない。そこで座間の部屋へやってきた照明の先輩トーシローさんのアドバイスに従う。小さい方は隣の小部屋で活かす工夫を考えて一旦リタイアする。変わりにトーシローさんの家で休眠していた開口部も直径も大きい優雅で同じようなコンセプトのライトを見学させていただく。


これには一目惚れする。アルゼンチンタンゴで昔良く聴いていた「淡き光に」のような曲でも流れてきたらお似合いの色具合だ。付属する電球に覗くフィラメントの光はとても柔らかい。手付けだけ渡してもう一つシンプルで気に入ったスタンドライトと合わせて持ち帰る。
トーシローさんには、青山二郎が馴染みの骨董商から曰くの器を持ち帰って、その支払い精算は三年後にしたみたいな逸話のような真似はしないよ。と言ったら苦笑していた。


さっそく燈してみる。前からのスタンド照明器具の光と新追加の2点の光が古くからの親和力を発揮してくれたみたいに馴染んでいる。少しだけ骨董臭い古い時代の「ツアイスイコン」カメラなども交えて、その光の中でヘレン・カーやエルジー・ビアンキの好きな歌を聴くのは格別な居心地を感じる。


ゴールデンウイークはちょうど4日に休みがとれる。この日にトーシローさん他の旧友がやってくることになっている。ちいさな茶会だが、ようやく整った灯りの下でどんな選曲でもしようかと、雨模様の午後はそのトライアルめいたエルジ・ビアンキのテンポ感も麗しい「スリーピン・ビー」でも流し聴きしているところである。

虹鱒の燻製と昔風カレー

2013-04-28 19:29:09 | 
管理釣り場の養殖鱒ということを危惧して調理してみたが、以外や川魚特有の臭みがしない淡白味を楽しめた。やっぱり残酷なことだが現地での下拵えが大切である。生きているうちに、内臓を取って鰓を必ず丁寧に除く。そして背骨側にある血合いも掃除する。これを面倒がらずにすれば新鮮状態な身離れのよい味に出会える。アクが浸透しない為に時間との戦いを惜しんではならないのが、川魚調理のコツとどこかに書いてあったことを思い出す。

おまけにあちらの養殖プールを拝見すると、育てている水は沢水を導水している。勢いのある清冽な水は眺めているだけでも気分がよい。年間を通して低目な温度の山の天然水は、鱒や山女の身を引き締めることに役立っているようである。当日は塩・胡椒・バジル・片栗をまぶしたムニエルにしてみた。一日おいて、夜勤明けの日曜日の本日は、心に余裕があって燻製を作ってみた。容器は深い土鍋を使う。底に網を立てかけ、その下にはスモークチップを敷き詰める。ちょうど桜材のチップがたくさんあった。燻し時間は1時間程度、換気しながら桜のチップのお香効果も併せて楽しむことにする。完成した虹鱒の燻製はほぼ成功している。焼き色もまあまあというところだ。土鍋の直径よりも魚体が大きい方の鱒は尻尾が折れてしまった。少しほぐして毒見する。桜の燻しが甘みのある香ばしい味をもたらして満足する。

本日はこのスモーク鱒と衝動的に思いついた昔風カレーの夕食献立を実行することにした。昔風といっても素材野菜を溶かさないで原型を残すだけの庶民カレーだ。ニンジン、玉ねぎ、ジャガイモ、豚肉、珍しく材料のストックがあった。足りないものはカレールーだけだ。このところ直火焙煎と称したルーを使っていたが、どうも味わいが混濁した印象がしていた。そこでハウス食品の「ザ・カリー」を買ってきてSBの古典風赤色缶のカレー粉を混ぜて使う。「ザ・カリー」の別袋として付いてくる「煮込み用ブイヨンペイスト」これは気品が増すがプレミアム気分の精神安定剤みたいなもの。

無事カレーの煮込みも完成する。副菜は自家製ラッキョウ、ダイコンの一本漬け、新玉ネギのスライスサラダ、これには胡麻ドレッシングをかける。これに燻製の鱒なので不足はないのだが、休日の放心時間がなくなってしまったのが残念だと思ってしまう。

湯河原の初夏満喫其の三 海辺の家にて

2013-04-26 15:31:59 | JAZZ
久しぶりに渓流の良質な水と対面してよい空気も吸い込んだ。こんどは帰り道に良い音を浴びることで一日を締めることにした。夕刻を迎えて真鶴半島に住むMさんの家に寄る順番がやってきた。前日に電話をしてみたらMさんは幸運にも在宅していて上手く約束の訪問を取り付けることができた。

敷地の崖下には海沿いの旧道を隔ててすぐ相模湾が迫っているが、海抜は60メートルという高所に位置した一軒家である。あいにく正面の視界に納まる熱海沖の初島は霞んでみえるが、敷地に乱れ咲いている大手鞠の花の隙間から真下でゆらゆらする海原の表情が見えるという稀少なる贅沢空間をMさんは一人占めしている。住み着いてもう15年になるそうだ。庭は草木も伸び放題の廃園という雰囲気だが、居ついてしまった野良猫たちには格好の棲家になっている。玄関先にある猫用の餌皿にもなかなか味のよい絵付けを施した五寸位の錦手の古い印判皿が放置されていたりする。そんなラフでぞんざいな放恣性が、画一な清潔病理下で暮らしている都市部に住む一般サラリーマン家庭とは対極の独特な和み感をMさんのお宅にもたらしているようだ。自分のことを棚に上げるわけではないが、キッチンも便所も正直汚い。しかしこれで嫌悪感が沸かないから不思議な家である。

煎茶をいただきながら夕暮れの一時をLP鑑賞ですごす。エレクトロボイスのパトリシアン700とビクターのSX-3の複数台のシリーズ接続というメインスピーカーの構成は以前と変わっていない。Mさんは彫刻仕事と週数日間のバイト暮らしで生計を立てている。夜間に彫塑しながらLPによるオーディオ再生に単身営為していた様子があきらかに再生音に反映している。コンボっぽい小編成ものをエレボイが担当、ビッグバンドとクラシック音楽がビクターの役どころになっているようだ。スピーカーの個性に見合ったLPを5枚程所望して聞かせてもらった。サボイレコードの「トップブラスファイブ」、D・エリントンのタップダンスやコーラスを従えたチャーチコンサートライブもの、RCAの「ザ・ビッグ18」というスイングジャズの大物再会ビッグバンドもの、パブロレコードのアート・テイタムとベン・ウエブスターカルテット、これだけが唯一コンボものでバラード選曲が含まれたLPである。


どれも大音量で都会で鳴らしたら苦情が必至の濃い口ジャズソースばかりだ。以前に聞いたLPも一部混じっている。今回の印象は特にビクターのSX-3複数台スピーカーの大変身に驚く。我流な際物感が消えている。「ザ・ビッグ18」は日本国内盤のペラジャケという平凡なLPだ。しかしその再生音の煩くない大音量の凄みに敬服すら覚えた。このレコードにはトランペットのバック・クレイトンやトロンボーンのビック・ディッケンソンが見事に吹きまくる「ブルース・オン・パレード」というウディー・ハーマン楽団の大好きなアメリカを代表するような曲がA面の最後に入っている。メロディーのソロパート担当楽器に覆い重なってビックバンド特有のリズムとハーモニーが分厚く渾然一体となる箇所があるのだが、Mさんのスピーカーは堂々として腰砕けにならない。以前に聞いたときの煩い音調は消えて静寂の大音量が実現している。この再生音には、自分よりも大音量命のドクター桜井氏も感服されたようだ。どんな工夫を重ねたのか、その真意は不明だが、同年輩のMさんが音力の追求からリタイアをしていないことだけは了解できた。


Mさんの居間を飾るモダンアートなテラコッタ製の裸婦像、コルネイユの表現主義風なリトグラフを時々、ためつすがめつしながら、聴覚と視覚の往復運動をするという有意義な時間が過ごせたのもMさんのお蔭で感謝している。

湯河原の初夏満喫其の二「和っしょい」パン店のことなど。

2013-04-26 08:09:44 | 
新崎川の周辺も鍛冶屋という吉浜の地内に属するエリアまで住宅が建て込んでいる。ここ十年の住宅密集による変貌には驚くばかりだ。さすがに釣り場付近まで上がって来ると、人家はまばらになって30年前とそれほど変わらない果樹園が点在する湯河原の山里風景が復原する。ドクター桜井氏のヤマメ釣を尻目に、こちらは早めに釣を店じまいして、幕山公園までの上り坂を散策する。

ツメクサ、ノウルシ、花ダイコン、オドリコソウ、カタバミ、野茨、無名に近い群生する野辺の植物も雨上がりの養分をたっぷりと吸い込んでいる。春がもたらしてくれる万物に感謝したい気持ちになる時間である。

視界が一時的に大きく開ける幕山浄水場の向かいには、趣のあるパン屋さんがオープンしている。看板の脇に咲き乱れる「雲南オウバイ」の自然生垣が明るい。その名も「和っしょい」とユニーク。神奈川の西部には味は本格派で店名は斬新という個人技が漲っているパン屋さんがある。思いつくだけでも箱根・湯本の「足柄麦師」小田原・蛍田蓮正寺の「春小麦」、名前を失念した小田原・南町の国道1号に近いパン屋さんと、それぞれの味が楽しめる。あとから釣を終えた桜井氏と合流してこのパン屋さんを訪れることにした。


桜井氏は家族から美味土産を頼まれていて、夕刻に寄る真鶴の魚店「二藤」の塩辛、カマスの干物はその筆頭候補だ。桜井氏の土産にはこの店の「フルーツスティック」も加わった。お裾分けしてもらった「蓬あんぱん」の美味いこと。店のパンフにある「あんぱん」のキャプションがとてもよい。「もう一度見直したいパンですね」と語りかけている。ずっしりと噛み応えのあるマッスに満ちたパン生地、さらしの肌理が自然な小豆、よもぎの仄かな天然香り、これが160円の充実ということを実感する力量を感じるパンである。5月の初旬はゴールデンウイークで釣り場も付近も混雑する。今度、再訪する入梅の前には、この「和っしょい」の「タンドリーチキンサンド」でも弁当にして夏枯れする前の渓流を楽しむことにした。

湯河原の初夏満喫其の一

2013-04-25 21:57:09 | 自然
低気圧が予想より早く去って爽やかな青空が広がる。ドクター桜井氏の休日とこちらの休日が上手く折り合って久しぶりの渓流釣行が実現した。神奈川県の西端、湯河原の山間部を流れる新崎川が目的地だ。そこにある管理釣り場で桜井氏はヤマメ、こちらは虹鱒をターゲットに遊ぶことに急遽決まった。下流は湯河原海岸の吉浜に注ぐ新崎川、箱根山系を流れる短い流程のマイナー河川だが、渓相はとてもダイナミック、巨石の間を勢いよく縫って走る水の表情にいつも癒される場所だ。釣り場のやや上に位置する幕山付近には早春期の梅林の名所もある。

丁度今ごろは山あいに咲き零れる山藤の様子が素晴らしく、本日も遠望を楽しみながらの釣行ができた。


釣り場の周辺では、花菖蒲、水芭蕉と初夏の到来を告げる花が咲き出している。水温も丁度よいのだろうか。

放流鱒の餌追いは活性化しているようだ。いつもバラシのような失策がついて廻るのだが、今回は珍しく好調に推移する。またたくまに10匹をゲットしてしまった。どうせ貧果だろうと予想して小さなクーラーボックスを持ってきた為に、魚はそれ以上収めることができない。夕方に寄り道する福浦海岸の崖上に住むMさんへの土産分などを考慮して、釣り上げた鱒を捌いて下処理する。これを終えてカメラ片手の付近散策がこれまた楽しいものになる(続く)