Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

小さな骨董市の眺め

2015-01-26 16:28:01 | その他

逗子駅に近い亀岡八幡宮の小さな境内では似つかわしい静かな冬の骨董市が開かれていた。この前はここのフリマで洋絵画風センスの酒器を3個買った縁起のよい場所だ。

先日のボロ市で買った古い街灯照明具のことだが、帰りの電車内の置き方が悪く筒型で乳白カラーのシェードを粗相して割ってしまった。その照明具に取り付ける為の瀬戸モノ製碍子もちょうどよいものがゴロゴロしていてさすが骨董市、割ってしまった照明具へと連想が飛躍する。照明具を覆うシェードはちょうどよい模様の角型のスペアを自分のストックで使うことになっている。

これに部屋内の壁照明として生かす道を画策しているところでサイズもちょうどよさそうなガイシが見つかったことは幸運だと思う。小さなケヤキ無垢材のお盆も転がっていて、これは木目の流れ模様が好きだ。値段を尋ねると500円という答えが返ってくる。瀬戸物ガイシが1000円もするのに無垢ケヤキ盆が500円というのはないだろう!と思いながら500円で購入する。帰ってきて備前焼の宝瓶急須に煎茶を淹れてみた。昔、買った小西陶古制作のザクロをあしらった烏帽子のついた古き逸品だ。これに京焼の小さな湯呑や小倉湖月堂の栗饅頭をセットするところ等はいかにも市中閑居記を彩ってくれる一幅の絵模様になっている。

閑居ついでに帰り道の農産物直売所で間引きした商品規格から外れたキウイフルーツが山積みになっているのを発見する。30個で不揃いの小粒が300円だ。このままでは酸っぱくて食べられないだろう。そこでこれのフルーツソースを思いつく。皮剥きが面倒くさい!我慢を重ねること15分くらいか。400グラムの砂糖を加えてコトコト煮込むこと1時間。完成品はジャムの瓶で2つ。空き瓶を100℃以上のお湯で煮沸しているから衛生面は万全である。さっそく冷凍しておいた松陰神社駅の「SUDO」のイチジクや胡桃の粒がふんだんに散りばめられたパン、ヨーグルト等にトッピングしてみた。キウイフルーツの酸味を楽しみながら味わうスローフーズの意義である。


お茶が美味くなる

2015-01-17 08:39:28 | その他

1月16日は世田谷ボロ市の最終日。聞くところによると前日は雨降りの為に全滅だったらしい。暦の「大寒」は20日と目前である。例年のボロ市の頃は東京地方特有な北西の冷たい風が肌をさすことも多い。しかし、今年のボロ市はとても温暖で雑踏の中をかき分けて屋外会場を進むことも苦にならない。

去年は益子扁古壷の春の訪れを予兆するような猫柳の蕾を抽象風に描いた良品に出会って、これは季節ごとの草花を挿すことで気分転換を図ってくれてとても感謝している。一年の早さを慨嘆しながら展示ブースを見物すること2時間。決めた予算に見合った今年の良品を入手。備前焼の急須、壁灯の鉄製ジャンク品、水指、粉引風湯呑茶碗等である。

中でも備前焼急須は一晩を経た朝の光に照らして眺めていると喜びがじんわりと湧いてくるから不思議だ。やはり去年の大和古民具・骨董市で入手した益子の椿文急須と並べてみてもその仕事質感は遜色がない。今朝は蟹絵のお椀でお粥を食べる。副菜は全てスローフード、会場のすいとん汁売り場で買った福神漬、自家製梅干し、暮れに作った松前漬の貯蔵品、福神漬に混じっている生姜や茄子の破片が素晴らしく美味い。大子町の方によると村落部にいる70歳も過ぎている婆さん達が作っているから、その味が出るとのことだった。

食後の煎茶を眺めていた備前焼急須を使っていれてみる。内部の目濾しは精密、口注ぎや天蓋のお湯漏れも全くない!大ぶりな形の取っ手が邪魔かなと懸念したが、持ってみると手になじんでくる。静岡・掛川在の深蒸し煎茶を食後に味わう、こんな適材な急須瓶には滅多に出あえることはないと確信した。


一喜一憂

2015-01-12 08:33:37 | 

一月の四連休は今日が最終日。金曜日は大和のT会病院の定期検診日だ。バイクを飛ばして指定時間の1時間前に到着して、採血と尿検査を受けておく。少し気配があった心臓のノッキングは秋以来現れてこない。しかし知人の美味い土産品、昔からの嗜好品慣習からは抜け出せない。

 

町田「仲見世」通りの「「七面」の前を通ればついつい入って美味いラーメンを注文してしまう。そうした安易に流されやすい習慣の悪い結果が数値に表れるのでは?と採血結果にビクビクする。数値は懸案の項目を忠実に反映してしまう。医者が指摘している不安材料は肝臓、腎臓、糖尿である。これらが心臓への影響を及ぼすからだ。この日は意外にも血圧はノーマル、尿酸値、血糖値も正常基準内ということで安心する。しかし肝臓の脂肪数値と中性脂肪は相変わらず高い。これを減らす為のクスリを処方され、駆け足以外の運動をきちんとしろとアドバイスされる。仕事や趣味であれだけ歩いていても!という落胆した気持ちになる。調査バイトの歩数は合計15000歩になる日があるのに、沈殿したフォアグラ脂肪はなかなか燃えないのだと思いながら、つまらない景観の大和の市中を半周する。病院で半日を費やしてしまった。昼時になってパチンコ屋の近くにある「大和家本店」のやはり美味なラーメンがよぎるが、パスしてモスバーガーへ寄る。ホットドックとコーヒーという簡素なランチだ。

モスで小休憩してから駅前広場に対面している「古本市場」へ寄ってみる。昨年末に見かけた益子の中堅陶芸家、岩渕タケ子の大きな桐箱に入っている焼き締壷は店内の地ベタにまだあった。古本処分のついでに一緒に漂流始めたものらしい。値を下げて3900円!39000円は優に超える逸品である。桐箱の墨書サインもけれん味がなくよい。心は揺れるが、茶色の素地カラーの薄めのモダン風合いがどうもしっくりこない。もう一度来た時によかったらと思って店先の100円均一を覗く。やはり一憂のあとの一喜が待っていた。若い頃にはその滋味も理解できない為に買う機会もなかった尊敬する上林暁の古いエッセイ集があったのだ。

どこかの書架で潜んでいたのか?箱は背が焼けているが、帯は発行時の昭和50年8月のままである。発行元は新潮社、およそ40年前の単行本だ。上林暁が戦後脳梗塞の病に倒れてその病をあやしながら生きてきた時期の小粒な随筆ばかりが載っている。故郷土佐中村付近の山村の話、気を病んだ(「聖ヨハネ病院にて」や昭和10年代の後期の諸作に登場する)妻がぼけ食いの奇矯な行動をしてばかりいた食糧難の時代に滅多にない配給品を半分だけ残しておいてくれた逸話、四国、土讃線開通の頃の思い出など、これは嬉しい話題のコンテンツに溢れている本だ。

今年は何としても上林暁や大原富枝を生んでいる四国の南側を歩いてみたいと思っている。「中吉」で始まった新年だが、上林暁のやはり昭和44年に出た小粒なエッセイ集「草餅」。これなども滅多に掘り出すことは難しいものだが、この嬉しい波動が伝わってどこかの古書店の店先でひょっこりと顔をだしてくれるのではないかと良い予感がしているところである。