Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

本牧四角形ピザ始めます

2017-05-21 13:00:56 | ラジオ亭便り

戦後の米駐留軍関係の住宅が本牧地域にあった頃、特需的に栄えていた飲食店の名前を今でもたまに耳にすることがある。「リキシャルーム」「イタリアンガーデン」などがよく耳にする本牧的伝説に登場する店だ。

先日、夜半に誘われた本牧通りにある「イタリアンガーデン」というカウンターバーは、当時あった「イタリアンガーデン」のお墨付きを得て継承しているその名も同一のちょっとしたカリスマ性を有する人気店だ。

ボリウム豊かなホットドックや当時の人気メニューだった四角い形の薄い生地のピザが今でも看板になっている。そこのオーナーYさんが長年にわたって工夫を重ねた四角いピザを食べてみたらこれが実に美味い。いつも悪い意味でのパン臭いピザを食べているものには目から鱗の奥深い味わいがする。過去に食べた渋谷道玄坂は百軒店にあったジャズバー「しえるぱ」の美味ピザと互角の味わいだ。

「しえるぱ」は酒の肴として供されるお通しはどれも平凡の域を出なかった。しかしピザだけは発酵酵母の原種を活かした生地の焼き具合、トッピング、チーズ、トマトソースの絶妙なブレンドが見事だった。以後、都内各地でイタリアンの専門を自認している著名店でピザを食する機会はあったが、「しえるぱ」をしのぐ味のピザには出会ったことがない。

「イタリアンガーデン」では本牧発祥と言われる四角形ピザを横浜の中心部にある色々な飲食店に卸すプランを始めていると聞いた。音には拘りのあるラヂオ亭だが、店舗イン・エクステリア、各種メニューはアマチュアの域を超えられない後進性をいつも感じている。そこでYさんとの話が急旋回して「イタリアンガーデン」が卸すピザ生地をラヂオ亭も仕入れて、6月になったら独自なトッピングによる四角形ピザに挑戦することにした。

5月のご案内

5月22日(月)休業日         23日(火)〜27日(土)12時〜19時     通常営業  

28日(日)休業日

 


楽しみと喜び

2017-05-14 17:26:11 | ラジオ亭便り

5月半ばの楽しみ。先ずは聞くほう。Nさんの調整が効を奏した古くから使っているモノラル真空管アンプ。球はEL34に差し替えて日増しにアルテック403A+JBL LE20の2ウエイスピーカーとの相性を高めている。以前のキャラクターだった煩さに通じる高域の照り返し癖が静まった。そのせいかインストも歌のソースも自在に愉しめる。以下のようなモノラルソースを引っ張り出して聴くということが喜びに通じる毎日になってきた。

 

次は見る楽しみ。先日、店に置かれた近々上映のマニアックな映画のパンフ2点、これに惹かれる。横浜のシネマ、ジャック&ベティで上映されるアメリカのサイレント映画「夢想の楽園」1926年製作。大スター、ゲイリー・クーパーのデビュー作品らしい。この無声映画に生ピアノ演奏で内的な言葉を与える営為が、柳下美惠さんというサイレント映画専門のピアニスト。弁士ではなく楽器による言葉の浸透力を垣間見たいので来週は一日店を休んでこのレトロな映画を楽しんできたい。もう一つは阿佐ヶ谷にあるこれもマニアックな映画館「ラピュタ」ここでは4月16日から6月17日まで「東宝文芸映画へのいざない」という特集を上映中だ。

たまに店に寄るFさんのお薦め日本映画特集だ。既に前半の上映分は終わっているが、これからの予定にも見逃せないものがいくつか散見する。成瀬巳喜男監督の「鰯雲」これはロケハンが神奈川の厚木らしい。1950年代の厚木の田園風景は何としても見てみたいもの。井伏鱒二原作の「多甚古村」これにも惹かれる。今井正監督の1940年という古い映画、滝沢修、宇野重吉、という名優が結構若い時分の容姿で出演してるらしい。キャストに名を連ねている三島雅夫、視覚記憶がいいと自認している幼児期の自分が通っていた東映の時代劇で悪代官や御用商人などの役柄で本領を発揮していたあの三島雅夫だろうか?これも確かめて見たいので「ラピュタ」へ行ってみようと思っている。

5月15日(月)14時〜19時     5月16日(火)12時〜19時      5月17日(水) 休業日

5月18日(木)〜5月20日(土)12時〜19時

5月21日(日)休業日

 


立夏の頃

2017-05-08 09:35:49 | ラジオ亭便り

麦田に店を移転して7ヶ月目。既に暦では立夏の時候が過ぎている。当て込んでいたGWのお客さんは予想どおりで極端に少ない。1日に5人も来客があれば救われた気分になってしまうから不思議である。知己の鎌倉T書房店主のSさん、旧友の家主Hさん、近所の女子大に弦楽器のレッスンを受けに行っているPR会社役員のS女さん。そんな人達がひょっこりと顔を出してくれた。無聊感を退けるような四方山話が弾むと寂しい気分にようやく初夏の陽射しがやってくる。

GWの最終日は横須賀の京急汐入駅の近くに住むAさんのオーディオ怪人暮らしの観察に出かける。気分の換気も兼ねた散歩である。Aさんが住む家は崖の頂上にある平屋だ。崖上までのアプローチは階段が120もあって息が上がってくる。しかし青々とした木々が繁った地山を縫っていく微風のせいか苦にならない。

隣地の畑では「サヤエンドウ」がたわわに実ってよい眺めだ。家の目前を覆う「榎」の古木も美しい。招かれた昭和調平屋の中の各種アンプ、スピーカーの宝庫に驚愕する。ざっとスピーカーだけで10数ペアはあるだろう。数百名キャパの小ホールで鳴らすような大型ダブルウーファーに大型ホーンを搭載したような業務レベルのものから、家庭のホームシアターに使うような国産、海外製トールボーイタイプのものまで、何故にこんなに集めたのか?そのリビドーの方に興味が湧く驚きの家庭的在庫といえる。ざっと聴く夕刻の2時間になった。

決めつけ、予断、偏見を全て現象学的エポケーに括って聞いてみた。結果、ドイツのダブルウーファーを使ったホーン型業務ユース風メイン装置がAさんの企図に反して一番、駄目だと感じた。押し出しや全帯域の臨場感の圧倒性を狙ったのだろうが、シャンソンソースにおけるボーカルの音像、バッキングの楽器の質感が量に災いされているせいか、総て裏目に出てリリシズムもなにも現れてこない実務的PAサウンドという印象を持った。これなどは日本家屋とのミスマッチの典型事例なのでAさんが早く大型オーディオ機器のハイファイ煩悩から足を洗って欲しいと願わずにはいられない。

これに比して良かった事例が近年のスタジオ調整室で使われているニアフィールドモニター用途に使われる小型アンプ内蔵のドイツ製ADMというスピーカーだった。クラシック音楽好きの一部オーディオマニアに隠然たる影響力を保持してるフルヤマオーディオのフラットスピーカーも前後して鳴らしてくれた。キュートな躯体の小さな角形スピーカーからよくもこんなに鮮度が良く細密描写に溢れたモーツアルトを鳴らしてくれるものと感銘する。しかしドイツ製小型2ウエイの音力がもたらす躍動感のリアリティーには叶わない。リズム陣の非力が如実に現れているが、テナーサックスのスイングブロウがコンコンと湧き出す、私家版テープのサンプル音像が実に図太い。これで先日、Dr.櫻井さんが持って来て聞かせてくれたティル・ブレーナーでも聞いたら堪らないだろうと溜息をついてしまった。Aさんにこのスピーカーの価格を尋ねると立派なお値段がついていて二度吃驚する。またまた見聞が広がる横須賀散歩が増えた。

5月のご案内    8日(月) 休業          9日〜14 日 12時〜19時 平常営業