Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

春の香り

2019-02-24 20:56:49 | ラジオ亭便り
地域の産直品を意欲的に並べるコンビニで菜の花の束を買う。198円でついでに花も楽しむという二重な幸せである。菜の花はブツ切りにしてにんにくと一緒にオリーブオイル、ベーコンを加えて炒める。これをパスタに合えて春を感じながら食べてみる。


もう一品はバイト先の仲良しさんからの互恵品として頂いた湘南地方の野山で採取したばかりの蕗の薹。これは薄皮を剥いで泥を落とす。次に数分茹でて灰汁を抜く。


水気を切ってみじん切りした蕗の薹を胡麻油で炒めて、酒、味醂、砂糖、味噌を加える。水分が飛べば出来上がり!草木が活性化し始める二十四節気の「雨水」の時候を感じるほろ苦さの口腔への広がり、やはり春を感じる一瞬である。


フランスの1950年代のジャズピア二スト、モーリス ベンダーが弾く「四月の思い出」「ハウ アバウト ユー」「ニアネス オブ ユー」あたりの美味しくスイングする曲をBGMとして選んでみる。ボリウムはやっぱり小さい方がいい。この一ヶ月でゲットしたメルカリ、大和骨董市の楽しい戦利品をしばし眺めながら慈しむ如月の最終日曜日は来店客1名と訃報メールが1通。
営業日ご案内 3月2日(土)平常営業日 3日(日)臨時休業日 9日(土)平常営業日

根府川 真鶴 湯河原

2019-02-13 10:19:55 | ラジオ亭便り
ラジオ亭の数少ないお客さんの足は、猛暑日、厳寒日の時候が続くと極端に遠のいてしまう。これはここ二年間の四季を経てきた間違いのない傾向である。旧暦カレンダーに記載された一月「藪入り」などの言葉を眺めていたら好きな神奈川の西端地区に「避寒」でもしようという気分になって三連休を取ることにした。自己流慢性「藪入り」みたいなもの。

2月4日の「立春」も過ぎたので湯河原、幕山公園の梅林、真鶴半島を覆う海洋林に注ぐ弱い初春の陽射しでも浴びれば幸いと出かける。根府川に連泊して、付近を電車、バス、徒歩で行き来することになった。ところが根府川の初日は西湘では珍しい雪景色になっている。戸外温度は5度程度という冷え込みだが、翌日は雪が止んで晴れた。しかし高地にある幕山公園付近は底冷えがする。

梅林の梅は寒さに竦んで三分咲き、梅祭りの売店で売っている甘酒で暖を取って底冷えを凌ぐことに。梅林下の菜の花、近くの果樹園に実るたわわな柑橘類がちょっぴり春の色彩を添えているのが救いになっている。今度の湯河原、真鶴訪問は昨夏以来だ。真鶴半島の福浦海岸の崖上に住んでいるMさんとはしばらくお会いしていない。

急な訪問なので空振りは覚悟して駅から徒歩20分の海沿いを歩くことに。幸運なことにMさんは在宅していた。これから小田原へのアルバイトへクルマで出かけるという寸前だった。固定電話を解約してからのMさんの安否が不明で心配していたが、元気な様子を見て安心した。そして今回、携帯電話の番号も確認が出来てお互いに喜ぶ。

ビクターSX-3の片側12本ペアー、エレクトロヴォイスパトリシアン等の大型スピーカーも健在の様子だ。しかし数年前に聞いたドイツザクセンブルグの80年前製小型フィールド型スピーカーの音質には、どちらも叶わないことが体得できて、最近はこればかり聴いているようだ。玄関ドアから漏れている円やかな再生音はこのスピーカーだったようである。

世間では似非っぽい「断捨離」啓蒙思想が大手を振っているが、この「断捨離」機縁のおかげでMさんはSP音源をLP化したレコード等が格安になってこれを盛んにゲットしているとのこと。オークションで購入した各種レコードが犇いて独居老年世帯の居間を埋め尽くしているよと高笑いしている。帰り際にクルマも若返ったねと自分が評したら、マツダのユーノスロードスターの旧年式車をパワステもないマニュアルシフトで小田原、真鶴間のクネクネした山坂道を通勤しているらしい。これが運転できなくなったらいよいよ真の老年になったという自覚だよ。と理に適った弁を吐いていて聞いているこちらも元気を貰う。

海洋林に囲まれたMさん宅の崖斜面には野鳥類、野生の動物も棲みついている。Mさんを毎晩、仕事帰りに迎えるのは闇の中で瞳を反射させる五頭の狸一家だと言ってその写真を見せてくれた。Mさんが持ってくるバイト先の残飯に慣れているらしい。ほんの立ち話程度の時間はあっという間に過ぎてしまったが、今度は桜の季節にでも再訪問することにしてMさん宅を辞した。
営業日ご案内 2月16日(土)16時〜19時 17日(日)13時〜18時 23 24日 13時〜18時平常営業日

二階の絵

2019-02-01 14:17:28 | ラジオ亭便り
春三月末くらいからようやく片付いて来たラジオ亭の二階スペースをラジオ亭ブックカフェにする。無垢材の座卓を囲んでお茶を飲みながら、読書も小懇談もできる程度の質素な昭和風居間である。オーディオ装置もBGMとして邪魔しない良質小音量を選ぼうと思っている。伊勢佐木町の古道具屋を仲良しの佐々木さんと覗いていたらその二階に相応しいよいスケッチ画を発見した。パリの街路の遠景を描いたもの。村山俊夫という日展系の画家の小さな作品。1958年という好きな時期の作品で仏文のサインタイトルは「アレキサンダー3世橋」となっている。
冬なのか初春なのかわからない有名な橋付近をそぞろ歩きする人物の点描と背後の街の遠望構図がとても心を和ませる小品である。年月を経ているだけにくすんで茶色っぽく変色も進んでいるものだが、これが昔からラジオ亭に棲んでいるようななじみ具合になっている。

この風景画と大和の骨董市で入手した1960年代作のアメリカ人画家の来日記念に描かれた木版画と一緒に二階の新規壁面を色取ってみたら最高である。



道具屋でついでに買ってきた色絵の手塩皿を眺めながら、自作石焼した安納芋焼、大阪帰りのS女史が置いていった生八ツ橋の「おたべ=こたべ」に舌鼓をうつ「如月」の夜半である。
営業日のご案内 2月2日(土)3日(日) 平常営業日。 9 10 11 臨時休業日