Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

雨の合間に

2018-06-22 13:04:43 | ラジオ亭便り
当ラジオ亭のブログタイトルみたいな梅雨日和が続いている。生活上の稼ぎは極小ながら豊かな質素生活を標榜している手前、大好きな伝承的スローフーズの仕込み季節になれば気もはやって老体に鞭打つ日々が重なる。

横浜の下町にある商店街に出かけて、恒例のらっきょう、青梅も買ってくる。出回り始めよりも値が下がってありがたいが、各々3〜4キロの手運びはやはり老体に鞭打つ結果になる。らっきょうは甘酢漬け、青梅はシロップ漬けを目論んで下拵えをする。


今年は北鎌倉、Dさん宅のヤマモモが枝木を剪定して不作になったらしい。ヤマモモ酒の仄かな赤い色調がないのも部屋が寂しいので、レモン酒かキウイ酒で代用しようと思っている。下拵えの隙間的夜半では、大和骨董市でせしめてきた目玉焼きをもじったヒヨコ絵付の可愛い粉引皿を愛でる。

はたまた6月16日で閉店になった大和の古書屋「古本市場」で漁ってきた安東仁兵衞の「戦後日本共産党私記」(文春文庫)これが閉店値段の50円!通称「アンジン」と称されていた名物左翼人物の無類なヒューマニズムと率直な人柄の高潔を知らされる。

戦後代々木共産党の左翼理論上の内紛話などよりも抜群に面白いのが、離合集散を繰り返す各種人物描写、結婚時から垣間見える支えの妻との生活、母への視線、拘置所における庶民犯罪者との交流などの余談箇所がこの本にヒューマニズム的光彩を与えている。偶に選挙時期になるとメディアで識者として解説している昔の全学連上がりの評論家、森田実などの人物分析も失笑するような活写箇所があって面白い。


これを読了したら昭和32年初版の広津和郎「美しき隣人」に入り込むところだが、その前に夜半のLPタイムである。今夜のLPは終生の愛好ピアニスト、ハンプトン・ホースの「トリオ」だ。B面愛好症にふさわしく水も滴るハンプトン・ホースの活気とメランコリーを満喫する。いつもながらリズム陣との音の追いかけっこに耽溺する三曲が殊の外素晴らしい。「イージー・リビング」「思い出の種」「キャリオカ」録音技師はジョン・パラディノ、この人のサウンドにはいつもジャズというものがもたらす芳醇な芯を感じる。

営業日ご案内 6月23・24 ・29・30 各 13時〜19時

すいとん汁

2018-06-12 21:09:44 | ラジオ亭便り
蒸し暑い日を避けて、過日、南伊豆下賀茂の遊行中に買った郷土料理屋さんが作った「すいとん粉」で「すいとん汁」を作ってみた。外気温が22度くらいの山手隧道を吹き抜ける風も爽やかな旧暦上の「入梅日」だ。その郷土料理屋さんでは合鴨肉、野菜類が見事にすいとん団子のうま味を引き出していて、その味に肉薄してみようという魂胆だ。

合鴨肉は近所では調達が無理なので、豚コマ肉を使う。野菜は小松菜、大根、しめじ、長ネギ等だ。出汁は昆布出汁ボトルの既製品で横着するが、鰹の削り粉等を足してそれなりに気も使う。「すいとん粉」の練り具合は手書き文字のラフな指示書によると「耳タブより少し柔らかい。。」とある。

これを読んでいて母親の兄だった遥か昔に亡くなっている一郎さんという叔父さんの喋っていた戯れた喩えを思い出す。色々、面白い事を話す生活無能者の叔父から聞いた「日本酒のお燗の温度はお母さんの母乳くらいが丁度いい塩梅なんだよ」等というたわ言である。水を加えた捏ね加減に注意して団子は程よく出来上がり、これを野菜が満載している出し汁に加えて数分間煮立てれば、下賀茂風「すいとん汁」の完成だ。

出し汁に滲んだ野菜の甘みと団子の絡まり具合がいい。郷土料理屋さんで味わった合鴨肉の気品溢れるコクには及ばないが、良い風味になっている。小学生の頃、我が家は子沢山の主食不足のせいか、すいとんの代用食も多かった。またか!と呪いながら食べた昔の夕餉風景もいまは昔の話である。



営業日のご案内

6月15・16・17日 13時〜19時 16(土)のみ15時開店 夏季限定 黒蜜豆寒天 、ところてん、煎茶付き
600円

不揃いトマトどっさり

2018-06-03 15:50:54 | ラジオ亭便り
5月から6月にまたがってトマトづくしの日が続いている。横浜の町中で暮らしているとトマトも値段が高いが、露地栽培ものが出回り始めて価格も少しこなれて安くなってきた。トマト好きには有り難い夏時候になったものと思っていたら、今週はトマトお大尽になってしまった。

先週は台東区谷中に今春オープンした新形態八百屋さん「Okatte」の噂を耳にしたものだから、こだわり産直野菜をフィーチャーしたランチに惹かれて行ってみた。ワンプレートに盛り付けしたポーク肉料理の添え物野菜が彩りも豊かで瑞々しく美味かった。とりわけカブをよく濾した冷やしスープが 野菜にこだわるお店の面目を発揮している。「Okatte」は都市型八百屋さんで、店頭では野菜を売って奥のダイニングカウンターで和料理のワークショップやランチ食堂を展開している。聞くところでは低農薬栽培をしている筑波地方の農家から仕入れた安心野菜を使っているらしい。

店頭を眺めていたらダンボールに詰め込んだ完熟トマトが目についた。どうやら正規販売品では売れない表皮の傷があったり、形がいびつだったりのB級品とのこと。しかし味わいは正規品と同じで甘みは際立っているので、トマトソース等に向いているとはランチ料理人をしている女性店長の言葉だ。

一袋に詰め放題の500円と聞いて数十個の不揃いトマトを買うことにする。完熟状態のトマトは言葉どおり甘みもコクも存分なものだった。翌日は自製の冷やし中華に添えてみたり、パスタ用途として湯剥きして玉ねぎと炒めて煮込んだ特製ソースを作ってみたり、500円トマトの楽しいバリエーションが尽きない日々になっている。

営業日のご案内

6月8日(金)9日(土)10日(日)・ 13時〜19時 初夏メニュー 天草使用 豆寒天黒蜜掛け、心太、煎茶付き
各600円