Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

久しぶりのLP愉楽

2020-06-28 21:36:02 | ラジオ亭便り

ずっと使っていたドイツエラック社のアナログプレーヤーがコロナ自粛期間中も含めて昨冬から調子が悪くLPから遠ざかっていた。しかし近所でフィルムカメラの交遊をしているSさんが原因を突き止めてくれて、この古い1970年代の優れたオートマティックプレーヤーがようやく復活してくれた。調子が良くなると愛聴盤はともかくとしてまだまだ知らないジャズLPが欲しくなってしまう。

日もコロナ自粛が解除になった町田のディスクユニオンへ珍しく寄り道してみた。「三密」状態を避ける為にも空いていそうな平日狙いで寄ってみた。人気堅調なブルーノート、プレステッジ等の有名オリジナル盤を狙うという下心も小遣い銭もない貧乏数寄者のことである。知名度で劣るモダン期以前の中間派に属するような平凡盤の中に好きな曲が入っているかどうかを見つけるのが私的優先基準になっている。今回の収穫はサボイとアーゴの1950年代後期発売のモノラルLPが2枚だ。

サボイの方は小豆色ラベルのセカンドプレス。イリノイジャッケイ、ベンウエブスター、アイクケベックという黒人サックス奏者のブルース曲をバンド別に均等割したオムニバスセットである。私の好みではモダン奏法が加味されているアイクケベックの「girl of my dreams 」のような曲に出会えたのが幸いである。イリノイジャッケイはブロウのテンションがいつもながら高すぎて煩いが、ブルースの真髄が迸る「berrys blues」がこのLPでは圧巻。超ベテランのベンウエブスターは「blue  skies」のような旋律への愛が持ち味。

もう一枚はスイング期の名トロンボーン奏者、ルーマクガリティのセクステットセッションである。これはアーゴ盤の黒ラベル。Blue に因んだ曲が満載というのも魅力的。ロリンズやチェットベイカーが吹いている「blue room 」でも入っていないものか?と期待したがこれはなかった。しかし夜半のコーヒータイムに聴く「blue moon」「blue again  」「blue skies」等の格調高いマクガリティのトロンボーンソロが醸し出す情緒は、サイドにいるバディコレットと共に美しい水彩画を満喫するような気分になって、こういうものがアナログ冥利というものだと再認識することになった。