Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

大井競馬BIGフリマ再訪

2014-11-24 10:56:02 | その他

少し前に作ったネット上のフリマや古本市の愛好サークルの例会を行った。総勢7人が品川駅で合流する。めざすは南品川の大井競馬場駐車場で行われるフリマである。一年ぶりの再訪だ。相変わらずガラクタ品、新物のばった市の様相でごった返す会場だが、その隙間で掘り出す少しアンティックな香りのする道楽品探しがなかなか面白い。

午前の2時間をそれぞれがバラけて見学し、集合場所に後から集まるという緩やか共同体の例会だ。一通り、見学後京急線の駅に近い自然食志向のパン屋さんの2階にイートインコーナーがあった。そこで好きなサンドイッチや菓子パンのランチをしながら戦利品の品評会を開く。自分用には革のコンパクトなバッグ、備前の掛け花入れを購入する。これはなんということもないから写真アップは省略する。

代わりに先週の大和骨董市の補遺品である砥部焼の一輪ざしをアップする。これはやはり砥部焼の薄味よりも其の地へ指導に行った富本憲吉マインドが色濃く反映したものだから気にいっている.用事があって早退した出口さんは最近の職人生活という視角から面白品をゲットしてさすがと思う。本郷東大赤門前にある老舗下駄店の桐下駄だ。下駄の良しあしは刃が接着しているのか、一枚材をくりぬいているかに関わっているらしい。昔使っていた杉材の便所下駄くらいしかしらない自分も出口さんの蘊蓄に耳を傾ける。

風格の桐下駄も分かる人には分かる1000円。ニューフェイスのAさんは女性視点から銅製のコーヒーポットや花鳥図のお洒落な西洋飾り箱などをゲットする。同行したFさんの嫌味なき値段交渉が上手くいったと聞いている。

道楽品探しではいつもヤジキタ連れションしている佐々木さんは、やっぱり佐々木節を感じる戦利品を披歴してくれた。大きな共手のごついのに繊細な轆轤芸が現れた大土瓶だ。益子付近の作家ものだろうか?これを和花生けにも活用するようだ。それぞれが満足して品川駅で散会となるが、

同方向へ帰る佐々木さんを誘って大井町駅の露地老舗「共楽」のラーメンを締めとする。ラーメン650円、平たい麺、焦がしネギの鶏出汁スープは昔ながらの変わらぬ味わいで佐々木さんも満足する。

 


骨董市の満足

2014-11-18 06:34:48 | その他

三ヶ月ぶりの大和骨董市、寒気が流れてきてしのぎやすい骨董市日和だ。家との途中に位置する相模大塚の広い里山公園「泉の森」へ帰り道に寄れるように70CCバイクの出番だ。骨董市というのは不思議なもの。意気込んで向かうとたいてい肩すかしにあう。今回はお昼までの3時間を西側の遊歩道に限って無欲に歩いてみる。おかげで目の疲労がない。

今回は駄もの、普段使い品の好物と出会えた。鉄絵の大きな湯飲み茶碗、直線の枝の描きに力感が溢れている。胴周りの膨らみも好みだ。この類なら何個あっても飽きることはない。シュガーポットでも珍味入れにも向く蓋付きマルチポットは横縞の色どりが素晴らしい。沖縄の壷屋風お猪口、これも青呉須の滲み具合がいいから、お猪口コレクションに追加する。

他の二点を加えると合計4000円也。帰り道の「いずみの森」は枯葉の季節だ。「ナンキンハゼ」の落葉、桜の葉もたくさん小道に積ってサクサク踏みしめると気分がよい。しばらく初冬の空気を吸い込んでから、ジャズを聴くために家路につく。


黄落週間の始まり

2014-11-09 21:15:47 | その他

先週青柳君と道を間違えてクルマで進入してしまった葉山山間部にある南郷公園の外周路の公孫樹もようやく黄落が始まっている。四谷時代の楽しみの一つだった神宮外苑の公孫樹も眺める機会がなくなって久しい。しかし今は伊勢原の総合運動公園、愛川町の内陸工業団地の西通り、木もまだ若い南郷公園と公孫樹並木風景を新天地の自分流で開拓している。これからの忍びよる初冬寒気の影響で一気に黄落は進みそうだ。

専用庭で綻び初めている小菊の深いえんじ色を眺めていたら、小雨がまたぱらついてきて、団地の「美化デー」が順延になった。午後は板橋赤塚在から旧友がやってくる。トースト、コーヒー、玉露、ジョナゴールド林檎の朝飯を済ませてしばらくぼけっとする。古書祭りやブックオフなどで買ってきて山積みしている古本の一角からアメリカの古いモノクロ写真集をひっぱりだす。

 

1955年前後にニューヨークの「モダンアート・ミュージアム」で展示会を行った「The Family oF Man」という写真集である。世界68カ国の気鋭写真家が撮った人間風景集だ。あの水俣病の写真で衝撃を呼んだユージン・スミスが撮った樹間をくぐっていく子供の写真もある。木村伊兵衛、ロベール・ドアノなどのらしい写真も納まっている。夫婦、子供、老人、一家、会社、恋人、教室、音楽、戦争、およそ人間が関わっているあらゆる次元の記録を満載している。

関心事のジャズも2ページ割かれている。ピアノを弾く黒人の背中姿を推測する。首筋や頭格好を眺めていてどうやら髪の毛が後退する前のトミー・フラナガンではないかと思ったりすることが面白い。あの「オーバー・シーズ」を収録した時期の。いずれにせよ、この写真集に納まっている修道尼グループが遊具ではしゃぐ動態写真、ハンバーガーショップで屈託なく笑っているオフィスウーマン、などここしばらくはなんどもページを往復しそうな写真を眺めながら、人生の喜びや難儀について感慨を深めることになりそうである。


霜月の雨

2014-11-02 06:20:15 | JAZZ

霜月(陽暦11月)にはいった。座間の室内気温は19℃。まだストーブを必要とする気温にはあと一カ月程度の時間がある。

新規に立ち上げた「フリマ・骨董市・古本好きの会」の例会の予定日だったが雨の為中止になった。そこで気分をすぐに切り替え、その中に参加している旧友の誘い電話にのることになった。横浜の少しマイナーな古書会館がJRの東神奈川駅と東横線反町駅の中間くらいの場所にある。昔、スケート場があった付近の公園の北側だ。雨の外出はうっとおしいが、腰痛のリハビリを兼ねるにはちょうどよい半日散歩になる。会場付近の大きな楓の大木の雨に打たれている色調は海に近い温暖な横浜地方にも晩秋が始まっていることを語っている。

小さめな会場は物色で気を散らすことがない。1時間程度の見物で良質な買い逃し本を数冊ゲットする。アメリカという20世紀のヘゲモニーを握った国が文化や教育の分野で自壊や変質していく模様を精緻に考察するアラン・ブルームの「アメリカンマインドの終焉」(みすず書房)、時代小説で近頃愛好している乙川優三郎「逍遥の季節」(新潮社)どれも小銭で買える良書に心が弾む。もう一冊はジャズ分野のイギリス出版物だ。1989年の発行「THE SOUND OF JAZZ」ジョン・フォーダムというジャズ名士による154ページの写真集だ。これは2000円と古書にしては値がはっている。横須賀中央付近の古書店が出したものだから、基地の関係者あたりからでたものか?等と旧友の青柳君あたりと勝手な推測を交わす。

同行した出口さんには角川文庫の絶版になっているウエストンの「日本アルプス」という素晴らしい山岳本を、300円で見つけて教えたら大喜びしている。佐々木さんにはクリムトの小さな洋書画集をおせっかい発見、これは200円ながら自分のもっているものよりカラーの質が褪せていない美本だ。佐々木さんの道楽部屋にはクリムトの横たわる儚い恋人や闇に浮かぶ少女等のオリジナルリトポスターがよい額装に納まっていつもレトロな音との親和力をもたらしている。。

古本収穫後は東急線の反町駅の横道で昔からやっている古いカフェ「キャメル」でお茶をする。本日のオリジナルコーヒーはブラジル、出口さんのなじみ店なのでしばし寛ぐ。

収穫品の写真はカーラ・ブレイやゲイリー・バートン、チック・コリア等のカラーフォト熟成時代にふさわしいモダンテイストなジャズ写真も多いが、古い時代のニューオリンズジャズ、ミントンプレイズハウスの前に並ぶハワード・マギーやロイ・エルドリッジ等の肖像、レスター・ヤングの斜めショット等、古きよきものも満載しているからブラジル豆のコーヒーを素晴らしく美味く感じる時間になった。帰り道は初めての東横線廃止軌道跡地の静かな遊歩道を歩きながら横浜駅へとゆっくり歩く。よき友を囲んだ「霜月」の始まりである。