Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

新宿SOMEDAYにて

2011-03-30 19:35:35 | JAZZ
震災地の石巻を故郷にもつ我がラッパの先生が2トランペットで曲がっていないジャズライブをするという話を聞いて御苑に近い「SOMEDAY」を訪れる。
出しものは高瀬龍一(Tp)トリオ+伊勢秀一郎(Tp)、この二名に松島啓之を加えたラッパ吹きが日本のジャズシーンに存在することの喜びを多くのファンが認識できなていないこと。
これを日ごろ嘆いている自分が駆けつけない訳には行かないと友人諸氏と新宿へ。
義侠心を秘めているこの店の森オーナーは、私費とお店で募った義援金ですぐ使える食品類を集め自分のクルマで原発危険エリア内に取り残された集落を最近慰問してきたばかり。
出演する伊勢さんの実家も一階が水没!
そんな背景はあるが、広くなった店にはお客が11名と時勢ゆえの少なさだ。
しかし店も出演メンバーも平常時のマイナー感覚を冷静に保っている。
よき演奏を真摯に聴いて感動することも支援の一端という気持で臨んだこの日のセッションは期待どおりの力演だった。
高瀬龍一のラッパは光彩と圧力が自然と湧き出すブロー感、伊勢秀一郎のラッパは霞んだ視界に灯るランプのような質感にさらに磨きが増している。
二人の協議で選んだと思われるピアニスト、ジミイ・ロウルズの「502ブルース」マイルス・デイビス「フォア」ホレス・シルバーの「ロンリー・ウーマンブルース」どれもこれもハイセンスにスイングするラッパの滋養を摘出する曲だった。

ガリアの古いアレルヤを聴きながら。。

2011-03-29 10:40:04 | 自然
バスの終点広場の斜面にがっちりと根を張った大きい辛夷の木がそびえている。
太い幹は五本に枝分かれして、まだ冷涼の残る空へ小枝を羽ばたかせている。
いかにも硬い灰色な繊毛状の包皮を破って乳白の花が反り返って開花を迎える。
光りを浴びて伸びをしてる様子は春を感じる指標にちがいない。
梢の上から下へ向かって段々と開花して、今は三分咲きだ。
東京の桜が昨日、開花して一週間後は満開らしい。
辛夷の花もその時分が満開になりそう。
今年はちょっぴり遅い春のおかげで、辛夷と桜のいずれ劣らぬ競演が楽しめそうである。

人間社会が艱難と痛苦で喘いでいても、自然の自動律は黙しながら季節を代謝している。

パンとコーヒーの朝飯にデザートは窓辺から遠望する辛夷の梢、タンノイⅢLZで聴く西洋のご詠歌、ベネディクト修道院修道士聖歌隊の歌。
「私は水をみた」「ガリアの古いアレリア」
庭先を訪れる背黒セキレイも断続の囀りで春に呼応している。

湯たんぽのアナログ的温もり

2011-03-28 10:15:49 | その他
数年前に亡くなった妻から教えられた教訓がエコ意識!
今回の計画停電でもジタバタしない気持になれる。

よくスイッチを切り忘れると、着いてきて説諭された。
まるでフランスの下宿屋のドけちなお婆さんみたい!とどこかで読んだか?聞いたような話で応酬したシーンも今は懐かしい。
その妻も今度のような震災があって日本中が悲しみの淵に沈んでいることも知らないのだなあ!などと思い浮かべていたら、夜が白んできた。
寝室の高窓をそっと開けて広場の端に聳える辛夷の木を見る。
遅い春は間違いないようで辛夷の花はまだ三分咲き!

数日前の三時間程度の計画停電中は、ロウソクが二本の闇を味わう。
電子毛布、エアコン、ファンヒーター、廻りをみれば電力を通さなければ役に立たないものだらけだ。
恋人にそのことをぼやいて近在のホームセンターで湯たんぽ探しをするも、すでに在庫は払底していた。
ネットを積極活用できる恋人は嫉妬も人一倍だが、愛情も人一倍ですぐに通販で注文、樹脂でできた湯たんぽを送ってくれた。
11時頃、熱湯を注いだ湯たんぽの熱は保温袋でゆるやかに減衰してゆく温もりの心地良さ。
便利意識への安住を戒める古い生活用具の価値を知る遅くて寒い春である。

露呈

2011-03-17 10:29:37 | 
藤沢の有隣堂であった古書展の帰り道にJR電車内で今回の東北地震に遭遇する。
車窓から見える陸橋も左右に激しく揺れている。
震度5は間違いないと思ったらそのとおりだが、震源地の近くの惨状は想像ができなかった。
ちょうど川名の踏み切りを過ぎて大きく左へ軌道がカーブした地点で東海道線はストップ。
動かない車両の中で二時間を過ごしたあと、線路へ誘導されて砂利の上を踏み切りまで歩いて一般道へ。
てくてくと歩きながら鎌倉の手広付近にさしかかる。
そこで偶然というか一瞬というか繋がった女友達にクルマで迎えを要請する。
居合わせた友人もどうやら安堵したようで、彼女が渋滞をくぐり抜けて指定した「ジョナサン」へ現れるまでの二時間をおしゃべりで過ごす。
この夜は都内でも京浜間でも帰宅できなかった人でターミナルは溢れかえったことを後で知る。

帰路の手段が奪われて彼女の家に居候を二日間する。
古書展で買った怪人南方熊楠の「十二支考」、安東仁兵衛の「戦後日本共産党私記」どちらもこの事態に適合した書籍ではないのは承知だが、知識を重ねる営為は時代とズレルことにあり!と反時局的読書をするもやはり落ち着かずページを無為にめくるだけ。

昨日は買い置き品が底をついて近在のスーパーや、コンビニを覗いたら日常物資が全て品薄になっていた。
駄菓子っぽいマーガリンパンが在庫棚で一個だけ残っていた。
お寒いコンビニ文化風景を脳裡に刻んでおこうとこれを買ってコーヒーだけの朝飯を済ませる。
明日からは2キロで420円という便宜を図ってくれた友人のパスタを有効活用しようと思案中。
付近の野菜直売所を訪問しようと思うが、現代社会の類型を一番反映するのが田舎!
多分安いジャガイモも玉葱も払底してると現象学的直感はコンビニ風景から無人販売所にまで及ぶ。

プリムラジュリアン

2011-03-08 19:08:59 | 自然
この寒さで無事に越冬できた庭の植物はハーブのローズマリーくらいしか見当たらない。
今朝も大山の子分格にあたる日向薬師近辺の頂には山を覆いつくすような樹氷が張りつめていた。
七沢温泉の方に走る県道沿いにあるスーパーの名が「フラワーランド」という生鮮日用品市場だ。
横浜在住の女友達はこの店の非効率的倉庫型陳列を眺めて、金沢ベイサイドエリアにある「コストコ」を連想したらしい。
「コストコ」を自然発生的に和風にしたような、ぶっきらぼうなこの店をイマジネーションと利発に満ちているその彼女はすぐに「和風コストコ」とネーミングした。
どうも前身は植木屋だったのか?この店の品揃えはとても偏向的!果物や麺類にはどうも関心がないのか?グローバルで類型的なありきたりメーカーのものしか在庫がない。
ところが外と店内を占める植木、花類のマニアックなこと限りなしである。
やたらに広い敷地には、園芸用の道具や、肥料類も山積みしてあって格安だ。
秋口から初冬の園芸用には、パンジー、ビオラの寒さにつよい菫系統が目玉商品としてまとめ売りされていたりする。
春先のいまごろの枯れ果てた庭先をどう復元しようか迷って物色していたら、小さな薔薇状の蕾をもったカラフルなポット苗が目についた。
その名がプリムラジュリアンだ。
赤、黄、朱、白、の多彩な色調が心の沸点を高めてくれそうである。
24個で980円を購入、中央アジアのコーカサスが原産地の花だ。
性癖は寒冷に強いが夏の暑さが苦手。
水も与えすぎれば根が腐るらしい。
さっそく草木灰を根元に撒いて植えることに。
植えた翌日が一日、けっこうな雨量で心配したが、少しお天気も回復、明日あたりからこのジュリアンには丁度よい陽射しの恵みをもらうことになりそうだ。