Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

ラッキョウ漬に辿りつく

2015-06-13 20:54:27 | 

桑の実が赤く熟し始める六月も半ばになった。かってはその六月の生活行事として欠かすことがなかった手作りラッキョウ漬を二年間サボってしまったことに気がつく。

 

これじゃ自分らしさはなくなると奮い立ってスーパーの青物コーナーを急いで物色することにした。三年前まで住んでいた日向薬師時代に漬け込んだ黄金色になった古ラッキョウ漬は甘酢を吸い込みすぎてすっかりしなしなになって歯応えを失っている。風味を喪失したこれを捨てて5キロのガラス瓶を掃除して準備は完了だ。近在のスーパーを数軒物色してみたが、産地は鳥取次いで鹿児島、まれに高知産といったところだ。たまに見かけた福井産などはいまや皆無である。

値段も全て判で押したように鳥取産が980円、鹿児島産が780円、日本の流通はますます一元的になって面白みがなくなっているような気がする。大和市の藤沢街道沿いにある相鉄ローゼンでキロ780円というやつを4キロ買ってくる。これに付随して必要なものはお酢と塩、砂糖だ。

 

ラッキョウ漬けは準備作業を臆しているとやる気がなくなることを何度も経験しているから、一気に行くことにした。揉み洗い、蔕、尾っぽ切りの面倒臭い作業を無念夢想で行う。その作業はおよそ2時間かかった。4キロのらっきょうに対して塩は400グラム、これを1リットルの水に溶かして約2週間寝かせるのが塩漬け段階だ。そのあと甘酢や唐辛子を加えれば昔ながらの手作りラッキョウは完成を迎える。漬けこんでキッチン下の暗い所に仕舞ってようやくホッとする。ようやくラッキョウへ辿りつくことができたという安楽感からである。


裏高尾の珍花「せっこく」

2015-06-07 06:21:25 | 自然

たまに立ち寄る焙煎コーヒー店「ふじだな」は裏高尾にある。裏高尾といっても分かりにくいがバス停の「小仏(こぼとけ)」がまじかの場所だ。「小仏」はよく中央高速道の渋滞情報に登場する場所で、東京都と神奈川の県境にある山深い峠の裾に位置している。ここへは国道20号の「南浅川」からの道が便利だ。

「ふじだな」はたしか週のうち後半の数日だけ開いている人生の余興者的ご夫婦が経営するコーヒー専門店だ。緑をたっぷり吸ってコーヒーも飲みたいという気分になったら出かけるとっておきの店へ一週間前に珍しく遊行した。店のサンデッキは梅の大木が覆っている。風も吹いていないのに梅の実がポロリと落ちる季節になったようだ。そこから対向した崖地の傾斜面に見えるマス釣り場の水景色を眺めるのが、この店における贅沢だといつも思っている。梅雨が目前になって今年の梅の成り具合などを店の奥さんに尋ねている時に「せっこく」という東洋蘭の一種が咲いているのを教わった。

サンデッキの横に聳える梅の木の幹の途中に白い花が群生している。初めて見る花だ。うっすらと赤色が隠れた白い5弁の花が微風に揺らいでいる。しかし梅の古木の幹からこんな美しい蘭がたくさん咲くのは不思議だ。葉っぱの厚ぼったいグリーンはいかにも蘭系統を象徴している。同行した八王子に住んでいるYさんも初めて見る花らしい。

帰って「ウイキペディア」を検索してみる。さすが「ウイキペディア」は心強い!ちゃんと丁寧な学者の解説が入っている。それによるとこの花は、岩や大木に着生する「着生植物」とのこと。「野外の個体は採集熱もあり激減。。。」とある。なんでもキメ細かい日本園芸界では江戸時代からこれを盆栽に移し替え栽培する習慣があったらしい。洋ランとして名前を聞く「テンドロビウム」はこの種類が交配親とのこと。和名「長生蘭」とある。ジャズの曲名は苦渋しながらも覚えているが、植物の名前はサッパリ!と思ったのは高知県立牧野植物園で膨大な山野草の種類を見物してからである。