視人庵BLOG

古希(70歳)を迎えました。"星望雨読"を目指しています。
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航空朝日

2005-12-19 21:37:34 | 読書


時々行く地元の古本屋で、またまた珍しい雑誌を手にいれてきました。
「航空朝日」、朝日新聞社が戦前発行していた航空関係の雑誌です。
それもなんと!昭和17年1月号です。
そう、太平洋戦争が開始された昭和16年12月に発刊された雑誌なのです。
この雑誌が発刊された時にはすでに真珠湾攻撃(12月8日)が行われた後だったので、巻頭に緊急特集としてその記事ものっています。
日本軍の攻撃した米英軍の艦船の写真が掲載されています。



目次です。
この号はアメリカ空軍特集です。



特集記事の内容です。ロッキード設計室の組織図まで載っています。
軍から提供されたものかもしれませんが当時の情報収集能力のレベルを知ることができます。



巻末の編集後記に載っていたKという編集者のコメントです。

日本人の誰もがひとしく期して待ってゐた、自惚れに高めきった米英の鼻つ柱をまづガツンと叩きつぶす時期を遂に、今日現実に目のあたりに見ることが出来たことは、何と気味の良かったことか。
本号所載の「アメリカ人の日本空軍観」の認識不足な、或ひは頭からなめてかかってゐたやうな筆者どもがいまごろ、どんな顔をしてゐるか見たいものだ。
それにしてもわが空軍の神速健闘ぶりは敵にとっては意表外だったらうが、對米戦の場合は西太平洋で戦ふを有利といふ作戦常識論にならされてゐた我々にとつても南方各地のみならず、遠くハワイまでも遠征してすばらしい大戦果をあげるなどとは想像を絶した果敢さで、我々の認識不足だったとを喜びたい。しかし大東亜戦争は始まったばかりだ。今後更に現れる敵のあることも十分に覚悟してわが皇軍に精一ぱいの感謝と声援をおくるとともに、一層心して銃後人の本分をつくさう。(K・12月9日記)


戦後60年たって、このコメントが書かれた当時の国民感情、もしくはこのコメントを書かせた状況に、日本が追い詰められた経緯を、推測するのは容易ではありません。
ただ、現在思われているよりは、この種の軍事情報は、開戦前は広く公開されていたのではないでしょうか?
それは、「外国」との優劣を軍事力の差で測る「国民感情」を形成するのに必要だったのではないでしょうか?

追記
戦前、戦中の兵器関係の雑誌についての考察は「印度総督府」さんのホームページ「兵器生活」が参考になります。


コメント
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