全五回のうち結局
最初の回と最後の回にしか参加できなかったが、地元NPOが主催した「大人もワクワクおもしろ科学教室」に参加してきた。(地元の科学館で開催)
今回は今から50~40万年前に関東平野の内陸部まで出現し、約10万年前に消滅した
古東京湾の海底が現在露呈している千葉県印旛郡大竹、下総層群木下(きおろし)層(利根川沿いの約12万年前の地層)から、事前に採取してきた土塊から貝化石を探しだす作業をおこなった。
以下実習(約2時間)についてのメモ書き(指導:川辺文久先生)
作業過程
1)10cm立法位の貝化石が露出している土塊を、のみや歯ブラシ、はけで土を払って化石貝を取りを出し、準備された図鑑や展示されている化石と同定して和名を決定する。
2)現生種の貝の棲息緯度範囲を調べ一表にまとめる。(下図)
3)日本近海の緯度による
水温分布図等から化石貝が棲息した時代の水温を推定する
(作業結果)
1)約1時間の作業で小生は4種類の化石貝を同定した。
上写真中央上より
マガキ 北緯23-43度に生息
左:ブラウンスイシカゲガイ
絶滅種(第四紀更新世(1万年ー160万年)示準化石
中央:エゾマキガイ 北緯34-45度に生息
右:カガミガイ 北緯31-442度に生息
2)現生種緯度分布表を作成
約15名の参加者で約20種の化石貝を同定した。下図赤線は小生が同定した貝。作業例としてバカガイ、アサリが載せられている。これらの貝も他の参加者が同定している。
下図からアサリとエゾマキガイの生息緯度が重複している北緯34-35度の環境が当時(約12万年前)の採取地の環境であったと推定できる。
3)水温分布図等より
紀伊半島 北緯34度(平均水温:20℃最低水温:17℃最高水温:27℃年較差:10℃)
銚子地方 北緯36度(平均水温:16℃最低水温:14℃最高水温:25℃年較差:11℃)
4)推測できること
約12万年前の利根川沿いの古東京湾の水温は現在より約4℃高かった。
詳しくは
地層に記録された第四紀の環境変動(西川 徹 財団法人地球科学技術総合推進機構 科学掘削推進部国内科学計画室)を参照。
5)その他
示相化石を調査することで古環境の推定する方法を理解することは、現在放送大学で地学関係の科目を履修している小生にとっては大変興味ある実習だった。
一緒に参加した小学生高学年生でも充分理解できる内容で、地球環境の気候変動を理解するよい実習だと思う。
秋以降、地元の科学館で地学講座も開かれるようなので、スケジュールが合えば参加したい。
小生が住んでいる東京西部でも約20m位掘れば第四紀更新世の地層が出てくるとのこと。
(メモ)
示相化石:地層が堆積した環境を推定する祭に利用価値が高い化石、生存期間が長く、生息環境が限られている分類群
示準化石:生存期間が短く、地理的分布や生息環境の広い分類群
独立行政法人水産総合研究センター