3月30日(金)夕方、アートブロガーTakさん(@takwi)の紹介で「あなたに見せたい絵があります。-ブリヂストン美術館開館60周年記念」展のブロガー特別内覧会にいってきました。
まず、ブリヂストン美術館開館が1952年(今年で60周年)と知って、その時代の京橋付近を微かに覚えている小生としては感慨を新たにしました。1952年といえば日本が主権を回復した年でないですか!
ブリヂストンといえばスタッドレスタイヤの”ブリザック”で小生も大変お世話になっていますが、創業者の石橋正二郎氏が同郷(久留米)の坂本繁二郎の助言により、同じく同郷の青木繁の作品の収集を目指したのが美術館のコレクションの始まりとのことです。今回の特別展にも青木繁の自画像をはじめ「海の幸」、「大穴牟知命」など6点が展示され、うち4点が久留米の石橋美術館所蔵のものなので、東京で視れるのは貴重だと思いました。
今回の展覧会には石橋氏の郷里にある久留米の石橋美術館、東京のブリヂストン美術館所蔵の作品、約2500点から109点を選んで展示してあるそうです。石橋美術館は青木繁、坂本繁二郎、藤島武二など日本絵画の所蔵が多く、ブリヂストン美術館所蔵の印象派絵画と一緒に東京で視られる機会というのも特長のひとつでしょう。
はじめに展覧会の概要説明を学芸員の方がされたのですが、今回の展覧会のキャッチコピー「あなたに見せたい絵があります。-ブリヂストン美術館開館60 周年記念」にはなみならぬ思いいれがあるようで、”。”までこだわったそうです。その話を伺った時、ふと「モーニング娘。」の”。”のことを思いだしてし まいました(笑)
109点の絵画をテーマ別に「自画像」、「肖像画」、「ヌード」、「モデル」、「レジャー」、「物語」、「山」、「川」、「海」、「静物」、「現代美術」の11のコーナーに分けて展示しています。
テーマで小生が気になったのが第5室の「レジャー」でした。他のテーマと比べて異質のテーマだと思いました。第4室の「肖像画」「ヌード(上写真の部屋)」から第5室(上写真右手)に入ると正面にピカソの「腕を組んですわるサルタンバンク」の白く化粧をした顔に赤い腕と脚の衣装の男の絵と対峙します。そしてピカソの絵を挟んで左右にマネの「オペラ座の仮葬舞踏会」、ブータンの「トルーヴィル近郊の浜」、ルオーの「ピエロ」、ロートレックの「サーカスの舞台裏」、ボナールの「灯火」、デュフィの「オーケストラ」が掛けられています。
産業革命後の19世紀後半、もともとは「仕事から解放された状態」を意味するレジャーLeisureが”余暇”の概念として市民にも普及し、鉄道が開通することによってパリ近郊の高級保養地となったトルーヴィルの浜辺での市民の余暇風景(上写真左絵)や、都会のサーカスなどの大衆娯楽に係る大道芸人などが印象派の画家のモチーフのひとつになってきたとのことでした。
絵が描かれた時代背景を、絵のモチーフから抜き出してくる試みは面白いと思いました。ただこのコーナーに日本の絵がないことは”残念”というより、”その時代”を表しているのかもしれません。
今回の展示ではテーマ別に背景の壁色も変えてあるそうで(上写真テーマ「川」、下写真テーマ「自画像」)、展示企画をされた方々の細心の配慮がうかがえました。
個人的に気に入った絵、藤田嗣治の「横たわる女と猫」、岡鹿之助の「雪の発電所」、ルソーの「イヴリー河岸」など、更にじっくりと視たいと思いました。
6月24日まで開催されていますので再度視にいこうと思います。
このような機会を与えていただいた@Taktwiさん、有難うございました。
ブリヂストン美術館ホームページ http://www.bridgestone-museum.gr.jp/
石橋美術館ホームページ http://www.ishibashi-museum.gr.jp/
注:展覧会の画像は内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。