視人庵BLOG

古希(70歳)を迎えました。"星望雨読"を目指しています。
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川瀬巴水展

2006-08-26 18:00:13 | 文化
川瀬巴水展を見てきました。
川瀬巴水については実はナショナルジオグラフィックマガジン2006年5月号の「シリーズ 日本の風景を考える 風景の旅人 川瀬巴水」という記事を読んで初めて知ったのでした。
川瀬巴水は大正から昭和にかけて日本列島を旅して周り、「昭和の広重」と呼ばれた版画家でした。彼の作品は「新版画」と呼ばれる、欧米人にとって、こうあってほしいと思える日本の風景や風俗を描いたものでした。チケットやカタログの表紙の「馬込の月」は2000枚を売ったというヒット作だそうです。

しかし私はそのような地方の風景よりは、大正、昭和初期の工業化がはいりこんできた都会の風景の作品に惹かれます。
特に電柱の描写に惹かれます。木柱で上部に横木が有り、それに白い碍子が並んでいて電線を中継している。
幼い頃空を見上げたとき、視界にはいってくる電柱と電線の姿でした。
ただ、川瀬自身は実際に存在する電柱などをあえて描かなかったことも多かったようです。

下写真:いかにもナショナルジオグラフィックらしいレイアウト。(p88.89)
右ページに巴水の日本三景の版画をのせ、左ページに宮島の航空写真に1ページを使う。真ん中の版画が「宮島の月夜」。現実(現在)と追憶のみごとな対比!
ナショナルジオグラフィックマガジンに載った彼の作品は、ますます「どこにもない、だけどそうあってほしい"日本"を印象づけます。


川瀬巴水展のカタログはしっかりした装丁のハードカバーでこれで1500円はお得です。
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中近東文化センター講演会「ヨルダンの土偶とヨルダンでの発掘」

2006-08-21 20:52:46 | 文化

中近東文化センターで「中近東の土偶」(7月22日~9月3日)という企画展示が開催されており、それに関連して講演会「ヨルダンの土偶とヨルダンでの発掘」が行われました。
講師は足立拓朗先生(中近東文化センター附属博物館研究員)です。
足立先生は今年3月金沢大学の藤井教授が10年来行っているヨルダン発掘調査に参加されたそうで、その時のことを中心に講演されました。
金沢大学は何千年前の遺跡かはっきりしないようですが、農耕用の雨水を溜めるダム(石堤?)を発掘しているそうで、100メートル以上も続く石堤の写真を見ることができました。

小生は四半世紀前にツアーでシリア・ヨルダンにいったことがあるので大変懐かしく話を聞いていました。
首都のアンマンの様子などは当時とそんなに変わってないようですね。

実はこの講演会、本来は小中学生の夏休み自由研究のための講座として企画されたものなのですが、開催してみたら、大人しかほとんど来なかったという状態。
それでも参加者は30名を越えていましたが・・・・

若年層の科学離れを防ごうという催し物と同じく、歴史や考古学にロマンを感じる若者を育てることも苦労しているようです。
「将を射んとすれば、まず馬を射よ」ではないですが、忙しい両親よりは、孫と遊びたい爺婆をターゲットに「孫と一緒に学ぶ・・・・」的講座,イベントを企画したほうがよいのではないのかと思います。

次回:
9月3日(日)「シリアの土偶とシリアでの発掘」講師:足立拓朗先生

中近東文化センターと関係ある出光美術館の所蔵品も少数ですが常設展示されています。
この元代の青花磁器(青花麒麟文盤)は景徳鎮窯で作られたものだそうで約46cmの大皿です。中央部の麒麟や葡萄などの植物の描写が大変素晴らしい一品でしばし見とれていました。

中近東文化センターは展示品はそんなに多くないのですが、展示空間がゆったりとして、ゆっくりと展示品を観賞出来るので、とても好きな場所です。
駐車場はあるし、見学者も少ないし・・・・
実はこれが運営財政を圧迫している原因なのですが、色々と努力しているようです。
年会費(今年度は年度途中からなので2000円)を払ってギャラリーメイト会員になると入館料を毎回払わなくてもすむお徳な制度も復活しました。センター開催の講演会やセミナーにちょくちょく参加する人たちには便利な制度です。



P.S. 調布飛行場内のプロペラカフェでブランチをとりました。
格納庫に隣接しており、軽飛行機の離陸着陸を見ながら食事を摂ることができます。
こんな催し物もやっているようです。






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放送大学講座(集中)新天体を見つける

2006-08-16 04:43:46 | 放送大学
夏期集中講座2科目目です。「新天体を見つける(1単位)」を受講しました。二日間の集中講座です。
(1日目13:05-20:30, 2日目10:00-15:20) 担当:縣秀彦先生(国立天文台天文情報公開センター・広報普及室長) 参加者16名でした。
縣先生は小生がよく参加してお世話になっている、三鷹ネットワーク大学のアストロノミーパブのマスターです。

放送大学の集中授業での天文関係の科目は結構充実していて、
上記科目以外に今期

第X惑星を求めて 木下宙先生
時と暦      田中済先生
天の川と星    宮本昌典先生
天文学とその周辺 米山忠興先生
観測天文学入門  吉岡一男先生
150億光年の宇宙  新井賢三先生

などが開講されていました。勿論開講場所は日本全国の学習センターにちらばっています。
「新天体を見つける」は文京センター開講でしたが、京都からの受講生もいらしてました。
抽選になるほどの人気科目でもあります。
抽選の順位は全科履修生、そのなかでも卒業が近い学生が優先だそうで、小生みたいな科目履修生は優先順位は一番下です。
小生は補欠募集(1名!)に応募してやっと受講できました。

授業内容は縣先生が開発にかかわったマカリィという天文画像解析ソフトを操作しながら、木星の惑星の軌道の同定、小惑星、超新星を捜すなど、配布CDに収められた天体画像をワークシートにそって、パソコン上での実習を行います。
配布されたCDにはすばる望遠鏡で撮影された天体画像データも入っていました。そしてマカリィやMitakaのソフトもはいっており、自宅でも学習できるようにということで持ち帰りが可能でした。

ぐんま天文台での冷却CCDのデータがそのままマカリィで扱える形式(FITS)なので、前々からマカリィの操作を習いたかったのでよい機会でした。
天文関係はフリーのソフトや観測データなどが結構一般に公開されているのですが、実際にそれらを使用するには、それなりにきちんと勉強する必要があります。こうゆう講座は大変貴重です。
授業評価は出席と授業内での受講者への質問の回答態度できめているそうです。

講座第1日目、東京は昼間物凄い雷雨だったのですが、夜は雲が切れる状況となりました。晴れたら天体観望ということで、19時30分くらいから1時間ほど雲間から見え隠れする木星を受講者全員で観望しました。

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鞍馬天狗とは何者か―大仏次郎の戦中と戦後

2006-08-13 04:44:24 | 読書
鞍馬天狗とは何者か―大仏次郎の戦中と戦後

藤原書店

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作家、大仏次郎は小生より上の世代にとっては戦前の「赤穂浪士」や「鞍馬天狗」、戦後は「帰郷」や「宗形姉妹」そして松岡正剛の書評で知った「冬の紳士」の大衆小説作家として、小生の世代では「パリ燃ゆ」や「天皇の世紀」から歴史の面白さを学んだ人も多いと思います。
最近、大判の「天皇の世紀」が再刊されて本屋に並んでいるが、一時は文庫リストにも大仏次郎の作品を探すことが難しい時期もありました。

この本は従来あまり眼にすることのなかった,大仏次郎の戦中時の思考や行動、そして小生にとって一番新鮮である終戦直後、東久邇宮内閣に乞われて内閣参与になったときの行動が考察されています。

作家が政治に携わる。

昨今の日本の同種の知事などより、知識人としてずっとハイレベルな人格が、日本にとって未曽有の難局に如何に係わろうとしたか?白洲次郎とは違った意味で興味があります。
終戦直後の9月5日任命、10月5日には内閣総辞職という、大変短い期間ですけど、大仏次郎のこの時期の行動、思考はもっと研究されるべきでしょう。

小生は大仏次郎の作品をくりかえし読むことで、時代と対峙する視点を再考させてもらっていると思っています。

参考:毎日新聞 2006年8月6日 東京朝刊 大岡玲(あきら)評

~「パリ燃ゆ」は、私に歴史と人物への関心を開いてくれた書物だといってよい。~
p29「歴史の想像力 山内昌之著 岩波現代文庫」

小生と同世代で「パリ燃ゆ」「天皇の世紀」から多大な影響を受けたという山内昌之氏の、書評を是非読みたいものです。

P.S.大佛次郎記念館特別展 大佛次郎の猫白書」((10月4日~11月19日)が開催されます。
猫好きの小生としては見逃せません。
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放送大学講座(集中講座)光学Ⅰ

2006-08-11 05:25:26 | 放送大学
夏期集中講座の「光学Ⅰ(1単位)」を受講しました。二日間の集中講座です。
(1日目10:00-18:00, 2日目10:00-15:20) 担当:木下順二先生、川井頼能先生
参加者16名でした。

本来は専門科目の光学の実験授業なのですが、小生は実験のみに惹かれて受講しました。
初日はホログラムの撮影。光の干渉の応用です。
午前中、ホログラムの原理説明、午後4人一組でホログラム制作です。
フレネルホログラム(レーザ光を照射して立体像を再現できる)の撮影2回、次にフレネルホログラム原版を利用した、レインボーホログラム(普通光で立体像が再現出来る)の撮影を行いました。
物理実験室内に16人全員がはいっての撮影、現像の暗室作業は大変でしたが、全グループ撮影に成功しました。
被写体の人形がレーザ光の照射で立体再現されたときは受講者から感激の声があがっていました。

下:フレネルホログラム撮影準備風景。台部分にヘリウムネオンレーザが入っている。
ホログラム撮影用フィルムが販売されていないので、フイルムの在庫が切れたらこの実験も終了とのこと。
1980年代、あれだけはやったホログラフイアートは何処へいってしまったのだろう?



2日目はひとりに一台、直視分光器を渡されて太陽光、白熱電球、ネオン、アルゴン、キセノン、酸素、水素などの輝線スペクトル、帯スペクトルを観察しました。
太陽光ではフラウンフォーア線を観察、白熱電球では電圧の変化によるスペクトルの変化の観察、ネオン、アルゴン、キセノン、酸素、水素等の原子、分子スペクトルの観察、特に水素のバルマー系列(可視範囲:Hα、Hβ、Hγ)の観察が出来たことは小生的には収穫でした。

下:直視分光器。下筒に波長目盛が入っている。


最後にボーアの水素による原子模型(前期量子論)の説明がありました。

肉眼で分光器を覗いてスペクトルを測定するなどということは、実際の作業ではまずないでしょうから、このような体験は、ブローブとコンピューターのデイスプレイのみ、それがすべての測定作業になっている21世紀に、ある意味貴重なことでないでしょうか?

評価は出席と、授業時間最後に書くレポート(感想文)2回でした。

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