つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

続くとつらい……

2006-07-15 19:52:17 | 小説全般
さて、イヤな予感はしたんだけどねの第592回は、

タイトル:愛の工面
著者:辻仁成
出版社:幻冬舎文庫

であります。

父にカメラを買い与えられたことをきっかけに、対人恐怖症で登校拒否気味だった私は、そのファインダーを通して見る世界のおかげで変わることが出来、長じてからは写真家という職業にまでなっていた。
そんな私が撮影するものの中で、自分の独特のテクニックがまったく通用しなかった彼。
若い作家である彼を被写体として撮り続けたりする中で訪れる思いや別れ。
彼の新しい彼女……彼の妻となった女性と彼との偶然の出会いなどを経て、父の面影を始めとする「男の背中」を撮り続けてきた私の個展などが綴られている。

……あ、あかん……。
これでは規定文字数を確保することが出来んかもしれん……(爆)
(だから文字数のことを言うな、とは言わないように)

えー、まずは本書の体裁から。
概ね3~4ページ程度の短いエピソードのようなものがあり、その合間に裏表紙曰く「著者による」写真が2~4枚程度挟まれている。

アマゾンを見るとけっこう評価がよかったりするし、たぶんそれなりにおもしろいのかもしれないが、はっきり言って、写真なんかいりゃしないんだから外してくれ、と言いたいね。
私は小説を読みたいんであって、写真を見たくて読んでるわけではないんだからよ。

で、この写真を入れるせいか、それともそもそもそういうふうに書いてみようと思ったのか、本文そのものが短すぎるし、ホントにエピソードを単に連ねただけって感じが拭えない。
その割には次につなげるためか、中途半端な感じのがほとんどだし、そのせいで話がぶつ切りになってる感じがして、ストーリーにぜんっぜん入っていけない。
なんか、出来の悪い紙芝居でも見てるような印象。

とは言うものの、まったく見るべきところがない、と言うわけではなく、中には興味深く読めるところもある。
だから、写真とか短すぎる本文なんて妙なことをしないで、ふつうの短編として書いてくれれば、もっとおもしろく読めたんじゃないかなぁ、とは思う。
そういう意味では惜しい作品ではないかと思うのだが、惜しいと言うだけで△なんてことにはならない。

そもそもこの体裁は気に入らないので、落第決定。

……にしても、幻冬舎文庫って、なんかはずれが多いような印象があるな……気のせいかな?