つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

さて、真相は?

2006-02-13 22:19:16 | 時代劇・歴史物
さて、ちょっと奥の手を使う第440回は、

タイトル:NHK歴史発見〈1〉
著者:NHK歴史発見取材班
出版社:角川書店

であります。

ユニークな推理と大胆な仮説が売りの歴史バラエティ番組『歴史発見』を本として再構成したものの第一巻です。
番組内の会話の再現がメインですが、写真資料、用語解説、コラムなど、紙ベースならではのオマケ要素もあります。

☆『卑弥呼、王権の秘密』(平成4年5月8日放送)
何度でも思い出したかのように復活する邪馬台国のお話、ゲストは作家の黒岩重吾。卑弥呼と道教のつながりについて述べ、それがいかにして古代日本に伝わったか考察しています。論争の焦点である邪馬台国の位置については、畿内で出土した三角縁神獣鏡は卑弥呼が受け取った鏡ではないとし、九州説を主張。番組レギュラーの里中満智子が、ちょっと可愛らしい感じで卑弥呼について述べているコラムも面白いです。

☆『仕組まれたクーデター 由比正雪の乱』(平成4年5月1日放送)
あまりにも有名な幕府転覆計画のお話、ゲストは作家の村松友視(本来はネ偏ではなく示偏ですが、表示の関係上こちらで表記させて頂きます)。由井正雪は本物の策謀家か、それともただの山師か? 乱世が終わり太平の世となってから、軍事コメンテーターのような軍学者が溢れていた中、正雪だけは他と違っていたのではないか、と推測。紀州大納言と正雪の結びつきや、老中松平信綱の立場などに触れ、最終的に勝ったのは人間ではなく幕藩体制だった、と述べています。

『写楽を探せ1 絵に刻まれた暗号』(平成4年4月17日放送)
140余りの作品を残して消えた浮世絵師写楽のミステリー、ゲストは作家・版画家の池田満寿夫。迫力はあるものの、部分的にデッサンが狂っていることに注目し、写楽は素人絵師であったと推理。版元と関係があった歌舞伎役者中村此蔵の名を挙げています。さらに、後期になって絵が大きく変化したことを指摘して、写楽はもう一人いたと仮定。ある絵に、その人物の名が暗号として隠されているという新説を披露します。

『写楽を探せ2 追跡・謎の能役者』(平成4年4月24日放送)
写楽探し第二弾、ゲストは作家の高橋克彦。先週と正反対に写楽はプロであったとし、写楽=歌麿説について解説しますが、結局これは間違いだと気付いたと語ります。以下、非常に推理小説家らしい推理を展開し、最終的に能役者斉藤十郎兵衛こそその正体であるとしています。

『薩摩発秘密指令 「竜馬を暗殺せよ」』(平成4年4月3日放送)
暗殺ミステリーの定番、ゲストは漫画家のさいとうたかを。まずは『ゴルゴ13』の作者らしく暗殺者の心理を追い、さらに、事件当時の情勢について分析していきます。龍馬を殺すメリットがない幕府、朝敵とされたため京都での行動が制限されていた長州を除外し、残るは薩摩と土佐。最終的には、自供した元見廻組の人々が後に薩摩藩に厚遇されたことから、明らかに薩摩が黒幕だと述べます。問題は西郷、大久保どちらの画策かですが……ここでは後者としてます。

会話主体なのでかなり軽く読めます、オススメ。
ガチガチに固い内容じゃなく、歴史四方山話みたいになっているのも良し。
今の『その時歴史が動いた』も好きですが、こっちももう一度視てみたいと思いました。


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