つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

右肩下がり

2006-04-21 21:30:02 | 小説全般
さて、やばい、マジで9割9分になりそうだの第507回は、

タイトル:ルージュ
著者:柳美里
出版社:角川文庫

であります。

受かるわけがないはずの化粧品会社に合格して新入社員となった谷川里彩は、新製品の撮影スタジオへスタッフの届け物を持って訪れた。
そこでは新製品キャンペーンのモデルがドタキャンしていて、そこを訪れた里彩をヘアメイクの日比野が目をつける。
いつの間にかメイクをされ、撮影までさせられてしまった里彩は、そのままキャンペーンモデルをすることになる。

しかし里彩は化粧品会社にいながら化粧は嫌いで、モデルになって華やかな世界に足を踏み入れるよりも平凡で穏やかな日常を過ごすことを望んでいた。
それでも里彩の思いとは裏腹に、キャンペーンは走り出し、素顔とメイクしたあととのギャップや里彩の持つ独特の雰囲気から周囲の評価は上がっていく。

そんな里彩のサクセスストーリー……な話ではない。
まぁ、結果的に里彩は化粧品会社を辞めて女優になるわけだが、それはラストの一部分。
それまでは、会社の上司である後宮という女性の元夫であるコピーライターの秋葉との付き合いや、ゲイの友人である孝之と同居しているアートディレクターの黒川との出会い、里彩、黒川、孝之との3人との関係など、20歳になっても一度も男性と付き合ったことがないと言う里彩の恋愛小説になっている。

ん~、最初というか、かなり読み進めるまで、どのキャラクターが動いて、喋ってるのか、人数入り乱れるとわかりにくかったなぁ。
これは主に書き方だろうね。
ほとんどのキャラの表記が名字なので、男性キャラなのか女性キャラなのかすらわからんかったし。
設定上、仕方がないとは思うけど、喋り方の区別もあまりないので余計、ね。
さすがに里彩とか、秋葉、孝之、黒川はわかったけどさ。

途中、わかってくるとなんかどうなんのかねぇ、と期待できそうな感じがあって読み進めてたんだけど、どうも里彩の淡泊なキャラのせいか、終盤になるに従っておもしろみがなくなってきたんだよねぇ。
まぁでも、ラストの女優になってからの撮影現場のシーンなんかは印象的でよかったけど、全体を通して見ると、おもしろかったと言えるものではなかったね。

尻切れトンボ……とまでは言わないけど、ものの見事に右肩下がりにおもしろくなくなってきたのは残念。
まぁでも、二度と読むかと言うほどのものでもないので、短編集でもあればそれを読んでみてからどうするか決めるかな。

大して期待はしないけど。


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