つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

拒否反応が……

2006-09-01 20:48:14 | 小説全般
さて、イラストは微妙にかわいらしいんだがの第640回は、

タイトル:めろめろ
著者:犬丸りん
出版社:角川書店 角川文庫(文庫初版:H13 単行本初版:H10)

であります。

表紙イラスト、ペンネームなどから、いかにもコメディっぽい感じの印象を受ける短編集であります。
計13編、さぁすべて……と言うには話数が多いので、絞っていくことにする。

「ダイナマイト姉ちゃん」
この短編集最初のなのでとりあえず。
謹厳実直な弟サトシは、豪放磊落で無鉄砲な姉の強引な勧誘で小学生のころからギターを弾き、姉のバンドにも引っ張り込まれていた。
けれど、そんな姉を実は好きだったサトシは、親の反対を押し切り姉と、公募で来てくれた双子とともにコミックバンドとしてメジャーデビュー。

サトシが作詞能力に疑問視していた姉だったが、あれよあれよという間に人気バンドのひとつに。
人気絶頂、ツアーの最終日の武道館でのコンサートで姉は、相変わらずの豪放磊落さで爆弾発言をする。

軽妙なテンポで進む小品だが、クライマックスのあとが余計。
どっかーん、の爆弾発言、あとちょろっとで終わってくれればよりおもしろい作品になったであろう。

「愛のめざめ――和尚様編」
これは2作目。
天外寺住職の和尚は、僧侶だが寺の一門に伝わる拳法の達人でもあった。
そこで夏休みに精神修行や鍛錬を目的に子供を募ったのだが、訪れた子はカオルちゃんを残して、環境の違いなどからリタイア。

男兄弟の末娘で、がさつに育ってしまったカオルちゃんは、運動神経はいいものの、素行は腕白そのもの。
手を焼きながらもカオルちゃんとの生活が楽しい和尚は、別れの日、カオルちゃんの姿に心を打たれる。

これは単純に心温まるお話として、誰にでも読める作品。

「日本橋デパート童子」
日本橋の三越……ならぬ松越に置き去りにされ、捨てられていた花ちゃんは、松越が大のお気に入りだった。
OLから水商売に転身し、稼いだお金で松越に入り浸っていたが、ある男性の愛人になってから次第に変わっていく。

最初はよかったが、バブルの崩壊で縁が切れ、生活に困るようになっても松越通いを繰り返し、とうとう生活できなくなった花ちゃんは、愛しの松越で……。

文章は軽いが中身はえぐい。
つか、軽すぎるくらい軽いからそのぶん、えぐさが際立っている。

さて、と言うわけで3編。
あとは、
「笑い目ハンさん」
「恋しき人の顔は見えねど」
「ハンドメイド天使」
「ラッキートメちゃん」
「天国へいかせる里子さん」
「おいしいパン屋と息子たち」
「竜宮商事」
「ラブユー桃ちゃん」
「ガラスの心の健さん」
「わが名はピーコ」
の10編があるが、だいたいはコメディタッチの軽い話か、軽いがえぐいところを見せるものか、と言ったところだろうか。
どれも、おもしろさ3分の1、くだらなさ3分の2と言った割合で、せいぜい鼻で笑う程度のおもしろさで、ぐっと引き込まれる強さもなければ、すごい笑えると言うほどのおもしろさもない。

しかも文章がすべて「ですます調」なので、地の文がこの時点で個人的にはかなり引いてしまったし……。

とは言え、いいところがまったくないわけではなく、この軽妙な語り口は特筆できるものではあろう。
おじゃる丸のキャラや物語を作っている、と言うことなので、これが好きならば手に取ってみてもいいのかもしれない。

私は見たことないからよぉわからんがね(爆)


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