つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

ロボットの帝国……あれ?

2005-02-20 14:16:56 | SF(海外)
さて、仏教神の化身とキリスト教悪魔が戦う話もあった気がする第82回は、

タイトル:ロボットと帝国
著者:アイザック・アシモフ
文庫名:ハヤカワ文庫

であります。

むかーし、読んだSFに『最後の共和国』というのがありまして。
狂った一体のロボットが他のロボットを指揮して人間を支配するという話でした。
いわゆるフランケンシュタイン・コンプレックスものの一つですが、人類が完敗するラストを読んで、子供ながらに、「これはやばいんでないかい?」と思った記憶があります。

初手から脱線しました、すいません。
本作はイライジャ・ベイリ・シリーズの外伝的作品であると同時に、ファウンデーション・シリーズとロボット・シリーズをつなぐ橋渡しという不思議な位置づけにある作品です。
(本編については第76回第78回第80回を御覧下さい)

主人公はダニール。サブがジスカルドとグレディア。
ちなみに、ベイリは回想の中でしか登場しません。既に死んでいます(泣)。

前作から二百年が過ぎ、地球とそれをとりまく宇宙国家の関係は大きく変化しました。
宇宙に進出した地球人達が築いたベイリ・ワールドと旧宇宙国家の間には常に不穏な空気が流れており、ダニール達は否応なしに陰謀に巻き込まれていきます。

特筆すべきは、ところどころで挿入されているダニールとジスカルドの会話でしょう。
彼らはグレディア、ベイリの子孫、宇宙国家、地球と関わっていくうちに、ロボット工学三原則に疑問を抱き始め、ロボット工学者ですら気付いていないある法則を導き出します。
そしてそれは、ファウンデーション・シリーズにつながっていくのですが……それが何であるかは御自分の目で確かめて下さい。(引っ張るなぁ……)

ちなみに回想シーンで、ダニールとベイリ、ロボットと人間という決して交わらない立場にいる二人の別れのシーンが描かれています。ファンは必見。



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