さて、久々にご登場の第438回は、
タイトル:スペース
著者:加納朋子
出版社:東京創元社
であります。
加納朋子デビュー作の「ななつのこ」、2作目の「魔法飛行」に続く入江駒子を主人公としたシリーズ第3作。
表題作の「スペース」と、「バック・スペース」の2本が収録されている。
「スペース」は、大晦日のお昼過ぎ、受験を控えた弟を除いて正月準備に忙しい中、おせち料理の飾りを買いに行くことになったところから始まる。
買い物をすませ、残りは松の葉。
どこか公園で拝借してくればいいだけだったが、思わずデパートの正面玄関に据え付けられている門松の中から失敬しようとしたとき、「ななつのこ」の著者に出会う。
松の葉のことでひとしきりやりとりがあったあと、駒子はその著者にある手紙を読んでほしいと頼み、そうして物語が始まる。
構成は、この最初の駒子と「ななつのこ」の著者とのやりとり。
次に、この「スペース」の大半を占める駒井はるかと言うひとへの手紙の内容。
最後にまた駒子と「ななつのこ」著者とのやりとり、と言うもの。
「ななつのこ」も、駒子とその著者との手紙のやりとり、と言う体裁を取っていたけれど、こちらは著者宛ではなく、別の親しい間柄のひとへ宛てた手紙、と言うことで、どことなく他人の秘密を覗いているような、そんな感じがする。
まぁ、そういう雰囲気は読んでておもしろかったりするんだけど(笑)
「バック・スペース」は、この手紙に書かれた出来事の、実際のこと。
短大の授業でやっている「表現法演習」で、自分の書いた文章を朗読させられることや、東北への研修旅行のことなどが描かれている。
相変わらず、そっと包み込まれるような優しい雰囲気の作品ではあるけれど、内容はミステリと言うよりも、自分がいるべき場所を求める主人公を描いていて、内容的にはけっこう重いほうだと思う。
それでも、それをさらりと淡い、優しい雰囲気でくるんで一見そうとは見せないところは、これも相変わらずだけどすごい。
もっとも、これは駒子のキャラクターにもよるところが大きいとは思うけど。
それと、加納さんの小説には恋愛色があまりないけれど、これは恋愛小説とも言えるもの。
でも、どこにでもあるような恋愛色の濃いものではない。
「掌の中の小鳥」の圭介と紗英もそうだったけど、けっこうあっさりとしている。
くすっ、としてしまうような、ほほえましくも軽やかな恋愛ものだろうね。
……にしても、やはりミステリはネタバレが出来ないので書くのが難しいね。
たぶん、読んでて「ん?」と思うところがあるとは思うけど、それは前の2作を読んでから、この「スペース」を読んでもらいたい。
「?」の意味がわかると思うから。
タイトル:スペース
著者:加納朋子
出版社:東京創元社
であります。
加納朋子デビュー作の「ななつのこ」、2作目の「魔法飛行」に続く入江駒子を主人公としたシリーズ第3作。
表題作の「スペース」と、「バック・スペース」の2本が収録されている。
「スペース」は、大晦日のお昼過ぎ、受験を控えた弟を除いて正月準備に忙しい中、おせち料理の飾りを買いに行くことになったところから始まる。
買い物をすませ、残りは松の葉。
どこか公園で拝借してくればいいだけだったが、思わずデパートの正面玄関に据え付けられている門松の中から失敬しようとしたとき、「ななつのこ」の著者に出会う。
松の葉のことでひとしきりやりとりがあったあと、駒子はその著者にある手紙を読んでほしいと頼み、そうして物語が始まる。
構成は、この最初の駒子と「ななつのこ」の著者とのやりとり。
次に、この「スペース」の大半を占める駒井はるかと言うひとへの手紙の内容。
最後にまた駒子と「ななつのこ」著者とのやりとり、と言うもの。
「ななつのこ」も、駒子とその著者との手紙のやりとり、と言う体裁を取っていたけれど、こちらは著者宛ではなく、別の親しい間柄のひとへ宛てた手紙、と言うことで、どことなく他人の秘密を覗いているような、そんな感じがする。
まぁ、そういう雰囲気は読んでておもしろかったりするんだけど(笑)
「バック・スペース」は、この手紙に書かれた出来事の、実際のこと。
短大の授業でやっている「表現法演習」で、自分の書いた文章を朗読させられることや、東北への研修旅行のことなどが描かれている。
相変わらず、そっと包み込まれるような優しい雰囲気の作品ではあるけれど、内容はミステリと言うよりも、自分がいるべき場所を求める主人公を描いていて、内容的にはけっこう重いほうだと思う。
それでも、それをさらりと淡い、優しい雰囲気でくるんで一見そうとは見せないところは、これも相変わらずだけどすごい。
もっとも、これは駒子のキャラクターにもよるところが大きいとは思うけど。
それと、加納さんの小説には恋愛色があまりないけれど、これは恋愛小説とも言えるもの。
でも、どこにでもあるような恋愛色の濃いものではない。
「掌の中の小鳥」の圭介と紗英もそうだったけど、けっこうあっさりとしている。
くすっ、としてしまうような、ほほえましくも軽やかな恋愛ものだろうね。
……にしても、やはりミステリはネタバレが出来ないので書くのが難しいね。
たぶん、読んでて「ん?」と思うところがあるとは思うけど、それは前の2作を読んでから、この「スペース」を読んでもらいたい。
「?」の意味がわかると思うから。
文庫化待ちなのです…くうぅ…読みたい…
勢いがないと買えません(^^;
この場合は、シリーズ3作目というのが勢いの決め手でしたが(笑)