さて、三部作スタートの第167回は、
タイトル:影との戦い――ゲド戦記I
著者:アーシュラ・K・ル・グウィン
出版社:岩波書店
であります。
かのル・グウィンの傑作ファンタジーです。
全六巻ですが、各巻は一つの話として独立しています。
本来三部作として書かれ、十年以上の時を経て続編が書かれました。
今週はまず、前期三部作を紹介していきます。
で、一巻目にあたる本書――
物凄く奥が深い魔法物語
です。
ゲドの生い立ちから、青年期までを描いています。
アースシーと呼ばれる世界の辺境にゴントという名の島がある。
少年ハイタカは魔法使いオジオンに魔法の才を見出され、彼に仕えることになった。
しかし、偉大な魔法使いになることを望む彼は魔法学院ロークに留学することを選ぶ。
真の魔法使いはここでしか生まれないと言われるローク島。
ハイタカは学院内でめきめきと頭角を現していくが、同時に不満も感じていた。
師達は言う、宇宙には均衡があり、魔法をみだりに使えばそれが狂うのだと。
ある日、ハイタカは友人との諍いから降霊術を行い、太古の霊を呼び出してしまう。
一命はとりとめたが、死の世界を垣間見たことで彼は己の影を解き放ってしまった。
課程を終えロークを去るハイタカ。そして影との熾烈な戦いが始まる――。
小学生の頃に読んで、とにかくハマりました。
若者らしく向こう見ずなハイタカが気に入ったのもありますが、世界観がとにかくよくできていたのが主な理由です。
アースシーの生物、無生物はすべて真の名と呼ばれるものを持っています。
これは言ってみれば遺伝子コードのようなもので、生まれた時から決まっている。
ハイタカの場合だと、タイトルネームであるゲドがそれに当たります。
この真の名を知られると、一切の魔法を封じられてしまうというから恐ろしい。
名が実在そのものを現している世界。
それを言葉にして操る者達、魔法使い。
ゲドの成長は、すなわち言葉を知ることでもあります。
(そこできて、師匠が『沈黙のオジオン』とは、本当に上手くできている)
三重丸のオススメ。
児童文学だと思っていた人は、まず読んでみて下さい。
少なくとも、子供向けおとぎ話……ではないです。つーか難解。
最後に本書の巻頭詩を紹介しておきます。
ことばは沈黙に
光は闇に
生は死の中にこそあるものなれ
飛翔せるタカの
虚空にこそ輝ける如くに
――『エアの創造』――
一行目がそのまま、本書にあたることがお解りでしょうか?
次巻、『こわれた腕輪』では二行目に当たる光と闇が描かれます。
――【つれづれナビ!】――
◆ 『ゲド戦記』のまとめページへ
◇ 『海外作家一覧表』へ
◆ 『つれづれ総合案内所』へ
タイトル:影との戦い――ゲド戦記I
著者:アーシュラ・K・ル・グウィン
出版社:岩波書店
であります。
かのル・グウィンの傑作ファンタジーです。
全六巻ですが、各巻は一つの話として独立しています。
本来三部作として書かれ、十年以上の時を経て続編が書かれました。
今週はまず、前期三部作を紹介していきます。
で、一巻目にあたる本書――
物凄く奥が深い魔法物語
です。
ゲドの生い立ちから、青年期までを描いています。
アースシーと呼ばれる世界の辺境にゴントという名の島がある。
少年ハイタカは魔法使いオジオンに魔法の才を見出され、彼に仕えることになった。
しかし、偉大な魔法使いになることを望む彼は魔法学院ロークに留学することを選ぶ。
真の魔法使いはここでしか生まれないと言われるローク島。
ハイタカは学院内でめきめきと頭角を現していくが、同時に不満も感じていた。
師達は言う、宇宙には均衡があり、魔法をみだりに使えばそれが狂うのだと。
ある日、ハイタカは友人との諍いから降霊術を行い、太古の霊を呼び出してしまう。
一命はとりとめたが、死の世界を垣間見たことで彼は己の影を解き放ってしまった。
課程を終えロークを去るハイタカ。そして影との熾烈な戦いが始まる――。
小学生の頃に読んで、とにかくハマりました。
若者らしく向こう見ずなハイタカが気に入ったのもありますが、世界観がとにかくよくできていたのが主な理由です。
アースシーの生物、無生物はすべて真の名と呼ばれるものを持っています。
これは言ってみれば遺伝子コードのようなもので、生まれた時から決まっている。
ハイタカの場合だと、タイトルネームであるゲドがそれに当たります。
この真の名を知られると、一切の魔法を封じられてしまうというから恐ろしい。
名が実在そのものを現している世界。
それを言葉にして操る者達、魔法使い。
ゲドの成長は、すなわち言葉を知ることでもあります。
(そこできて、師匠が『沈黙のオジオン』とは、本当に上手くできている)
三重丸のオススメ。
児童文学だと思っていた人は、まず読んでみて下さい。
少なくとも、子供向けおとぎ話……ではないです。つーか難解。
最後に本書の巻頭詩を紹介しておきます。
ことばは沈黙に
光は闇に
生は死の中にこそあるものなれ
飛翔せるタカの
虚空にこそ輝ける如くに
――『エアの創造』――
一行目がそのまま、本書にあたることがお解りでしょうか?
次巻、『こわれた腕輪』では二行目に当たる光と闇が描かれます。
――【つれづれナビ!】――
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子供には子供の楽しみ方で楽しめるだろうし、
でも、その世界観やテーマ、出てくる対話とか、実に深くて根源的。その部分はある程度大人にならないと、わからないことだろうなあ、と。
これはエンデの「モモ」もそうだけど、噛めば噛むほど味がでてきますね。
大人だからこそ、おとぎ話ではすまされなくて、我が身を振り返ってイテテ、と思うところが、どの章にもあったりします。(笑)
子供の頃の自分にとって、ゲドは単純にヒーローでした。かなり難解だったという記憶だけはあるのですが、それでも普通に楽しんでたと思います。
今回、書評を書くに当たってまた読み返したのですが、カラスノエンドウが言った、『師匠同士の議論にははてがない』という格言に思わずうなづいてしまいました。いや、仕事してると本当にそういうことばかりで……。(苦笑)
子供読みだけは、とりかえそうにもとりかえせないものー。
格言が沢山ありますよね。ゲド戦記格言集なんて創ってみたい。
でも、あの竜語にも、ときめくものがあります。
ファンタジーには竜ってよくでてくるけど、ゲド戦記の竜は最高にかっこいい。竜女のアイリアンが、あ、これはまた来週ですね。
はい、自己規制します。
さすがに今となっては、子供の感覚では読めません。
ゲド戦記格言集、いいですねー。誰の格言か括弧書きで記して並べたら結構壮観かも。
無論、竜語辞典もありです。語感がいいんですよねー。
ゲド戦記の竜は他のファンタジーとは一線を画してますね。大賢人のゲドが、竜は人間よりも賢いって言い切っちゃってるし(笑)。
アイリアンの登場は鮮烈でしたね。第五巻で一番格好いいキャラじゃないかな。あ……まずい、続きは来週に。