つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

チョコレートを何に使う?

2006-05-01 23:55:26 | ミステリ
さて、諸事情により死んでいる第517回は、

タイトル:チョコレートゲーム
著者:岡嶋二人
出版社:講談社文庫

であります。

ハードディスクが吹っ飛びました。
データ死滅、ついでに私もかなり死滅してます……うがががが。

という裏事情は置いといて、岡島二人の長編ミステリです。
『クラインの壺』と並ぶ有名な作品ですが……さて。

中学三年生の息子・省吾の様子がどこかおかしい。
学校を無断に休んだり、体中にアザを作って帰ってきたり、なぜか小遣いで買える筈のないパソコンを持っていたりする。
息子との距離を感じつつ新聞を開いた時、ショッキングなニュースが目に入った――省吾と同じクラスの生徒の他殺死体が発見されたのだ。

担任教師の話によると、省吾以外にも欠席者が増えているらしい。
事情を聞くために何人かの生徒と会い、会話を試みるが、肝心なことは何も解らなかった。
ただ収穫はあった――『チョコレートゲーム』、それが省吾達がのめり込んでいるゲームの名前だった。

えーと……すいません、途中からまともに読めなくなりました。
作品の出来が悪いというわけではなくて、展開がある作品にそっくりだったからです。
諸悪の根源は『天使の屍』(貫井徳郎)。

『天使の屍』は『チョコレートゲーム』の模造品です。(断定)

距離のある父と息子→息子が謎の死を遂げる→永遠に埋められなくなった距離を埋めようとする父→聖女のような少女が息子のことを語る→浮かび上がる他のメンバー→実は息子だけはイイ子ちゃんだったという、父にとっては都合のいい事実→お墓参りに行くと××が来ている、と筋はまったく同じ。

腐ってますね、貫井。

同じく、岡嶋二人の『眠れぬ夜の殺人』を踏襲して『失踪症候群』を書いた時は本人に許可をもらったらしいけど、これもそうなのかな?
もっとも、許可もらってようがもらってまいが、恥ずかしげもなくこんなことができる奴の作品なんか二度と読みたくないけど。

というわけで、本作はあまり楽しめませんでした。
もっとも、それを差し引いても好きな作品かと言われると……いまいち、かな。

一つは主役にまったく共感できないこと。
今まで息子をほったらかしにしといたことの後ろめたさと、それによって発生した空白を埋めるためだけに、執拗に他人に迫るところがエゴむき出しで何とも……。
物語の核となる『チョコレートゲーム』に関わっていながら、省吾だけは実は――というのも、主人公に都合が良すぎる気がします。

『チョコレートゲーム』自体も、何だかな~、といった印象。
ゲームの実態が判明するシーン、及び、ゲームの内容があっさりし過ぎてて、拍子抜けしました。
1988年作品なので、時代もあるのかな、とは思いますが。

いろんな意味でイマイチでした。
ただ、まだまだ気になる作家なので、他にも読んでみたいと思います。



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