さて、「あ、ファンタジー増やしちゃった」な第706回は、
タイトル:〈骨牌使い〉の鏡III
著者:五代ゆう
出版社:富士見書房 富士見ファンタジア文庫(初版:H18)
であります。
五代ゆうが放つ大河ファンタジー『〈骨牌使い〉の鏡』の最終巻です。
運命に翻弄される少女アトリの静かな戦いと、〈詞〉の世界を揺るがす大戦争の顛末を描きます。
前二巻については第622回、及び、第631回を御覧下さい。
*
〈骨牌〉の王国ハイランドは存亡の刻を迎えていた。
王に死の影が忍び寄り、〈真なる骨牌〉をその身に宿す者達は次々と〈異言〉の元へと走る。
最後の希望であったアトリすらも連れ去られ、ロナーは押し寄せる東の蛮族との絶望的な戦いにその身を投じていった……。
一方、アトリは〈異言〉達の都で幻を視ていた。
それは失われた物語……かつて存在した旧王国の崩壊を語る物語だった。
謎の〈十三〉の正体が明らかになり、アトリは己の為すべきことを知る。
滅びは間近に迫り、誰もが否応なく戦いの渦の中に飲み込まれていった。
今を守る者達と過去の罪を問う者達、二つの相反する勢力がハイランドに屍の山を築いていく。
その中で、アトリとロナーは再び出会い……別れた。それぞれが己の運命と対峙するために――!
*
本来、私は何かしらの毒を含んだラストの方が好みなのですが――
ここまでやってくれればハッピーエンドで問題ありません。
大団円です。
めでたしめでたしです。
文句の付けようがないハッピーエンドです。
もちろん、すべてのキャラクターが幸せになるなんて甘っちょろいものではありません。
すれ違いはあります、最後まで解り合えなかった相手もいます、他人の想いを力で押し潰したりもします。
生き残った者達は己の罪を自覚した上で、最後に訪れる幸福を抱くのです――ハッピーエンドとはこうでなくては。
で、本巻の内容なのですが、一言で言えば『戦いの果てに訪れる二人の聖婚』です。
一巻で語られた伝説の真相を知るアトリ、己の無力さと臆病さを思い知るロナー、二人の接近とともに過去と現在も接近し、物語は終局へと向かいます。
一巻からこっち、流されっぱなしだったアトリもようやく主人公となることができました……にしちゃロナーの方が断然目立ってる気がするが。(爆)
最終巻ということもあって、伏線の回収も激しいです。
この世界のシンボルとも言うべき〈骨牌〉の役割、アトリの夢に出てくる人物の正体明かし、忘れ去られていた(失礼!)アトリの友人モーウェンナとの決着まで付けます。
ロナーがようやく重い腰を上げた時、これでもかとばかりに顔キャラを登場させるシーンの盛り上がりは凄まじく、今までの地味な展開を綺麗さっぱり吹き飛ばして読み手をクライマックス・モードに引きずり込んでくれます。いや、ホント上手い。
本巻のMVPは、一巻からスポット的に登場していた道化師ドリリス。
他のキャラはともかく、こいつだけは読めなかった……そういう役回りだったのね。
ロナーのごとき若造にあっさり論破されてしまったのはちょっと笑いましたが、最後までふらふらと現れては、美味しいとこだけ持っていく妙な奴でした。こういうキャラ好き。
最後までハズさず書ききってくれてます。三重丸のオススメ。
さ~、次はデビュー作『はじまりの骨の物語』を読むぞっ。
タイトル:〈骨牌使い〉の鏡III
著者:五代ゆう
出版社:富士見書房 富士見ファンタジア文庫(初版:H18)
であります。
五代ゆうが放つ大河ファンタジー『〈骨牌使い〉の鏡』の最終巻です。
運命に翻弄される少女アトリの静かな戦いと、〈詞〉の世界を揺るがす大戦争の顛末を描きます。
前二巻については第622回、及び、第631回を御覧下さい。
*
〈骨牌〉の王国ハイランドは存亡の刻を迎えていた。
王に死の影が忍び寄り、〈真なる骨牌〉をその身に宿す者達は次々と〈異言〉の元へと走る。
最後の希望であったアトリすらも連れ去られ、ロナーは押し寄せる東の蛮族との絶望的な戦いにその身を投じていった……。
一方、アトリは〈異言〉達の都で幻を視ていた。
それは失われた物語……かつて存在した旧王国の崩壊を語る物語だった。
謎の〈十三〉の正体が明らかになり、アトリは己の為すべきことを知る。
滅びは間近に迫り、誰もが否応なく戦いの渦の中に飲み込まれていった。
今を守る者達と過去の罪を問う者達、二つの相反する勢力がハイランドに屍の山を築いていく。
その中で、アトリとロナーは再び出会い……別れた。それぞれが己の運命と対峙するために――!
*
本来、私は何かしらの毒を含んだラストの方が好みなのですが――
ここまでやってくれればハッピーエンドで問題ありません。
大団円です。
めでたしめでたしです。
文句の付けようがないハッピーエンドです。
もちろん、すべてのキャラクターが幸せになるなんて甘っちょろいものではありません。
すれ違いはあります、最後まで解り合えなかった相手もいます、他人の想いを力で押し潰したりもします。
生き残った者達は己の罪を自覚した上で、最後に訪れる幸福を抱くのです――ハッピーエンドとはこうでなくては。
で、本巻の内容なのですが、一言で言えば『戦いの果てに訪れる二人の聖婚』です。
一巻で語られた伝説の真相を知るアトリ、己の無力さと臆病さを思い知るロナー、二人の接近とともに過去と現在も接近し、物語は終局へと向かいます。
一巻からこっち、流されっぱなしだったアトリもようやく主人公となることができました……にしちゃロナーの方が断然目立ってる気がするが。(爆)
最終巻ということもあって、伏線の回収も激しいです。
この世界のシンボルとも言うべき〈骨牌〉の役割、アトリの夢に出てくる人物の正体明かし、忘れ去られていた(失礼!)アトリの友人モーウェンナとの決着まで付けます。
ロナーがようやく重い腰を上げた時、これでもかとばかりに顔キャラを登場させるシーンの盛り上がりは凄まじく、今までの地味な展開を綺麗さっぱり吹き飛ばして読み手をクライマックス・モードに引きずり込んでくれます。いや、ホント上手い。
本巻のMVPは、一巻からスポット的に登場していた道化師ドリリス。
他のキャラはともかく、こいつだけは読めなかった……そういう役回りだったのね。
ロナーのごとき若造にあっさり論破されてしまったのはちょっと笑いましたが、最後までふらふらと現れては、美味しいとこだけ持っていく妙な奴でした。こういうキャラ好き。
最後までハズさず書ききってくれてます。三重丸のオススメ。
さ~、次はデビュー作『はじまりの骨の物語』を読むぞっ。