美食と美湯・九州縦断バスと電車の旅(1)の続きです。
長湯温泉を辞して、再び竹田交通の路線バスで豊後竹田駅を目指します。車両は日野レインボーの、来たときに乗った車両よりひとつ新しいタイプ…ただしこれでも相当ベテランです。
車窓から九重連山の美しい姿が見えてきます。今日もいい天気でよかった。
豊後竹田駅から「九州横断特急」に乗車します。この特急は別府から人吉を結んでいる観光列車で、日豊本線・豊肥本線・鹿児島本線・肥薩線を経由、九州を横断した上でさらに一部縦断する今や珍しい長距離列車です。
車両は国鉄末期に登場した185系、元は四国で活躍していたが、リニューアルの上、九州に移転。木の質感を活かした車内は、国鉄時代の味気なさとは一線を隔しています。
列車は阿蘇の外輪山の峠を越えてカルデラの内側へ、この峠のサミットが九州の鉄道で最も標高が高いとのこと。そして再度外輪山の峠を越えて急勾配を下っていきます。この下りの途中にある立野駅ではスイッチバックがあります。
熊本で「リレーつばめ」に乗り換えます。車両は787系、今では鉄道車両デザインの第一人者として知られる水戸岡鋭治の、車両としては初期の作品です。
車内は落ち着いた雰囲気で、登場以来20年近くになるが、いまだに古さを感じさせないのが見事です。
熊本から新八代までの乗車時間は20分程度。まっすぐな路線なので最高速度でぶっ飛ばせるから実に速い。車窓から見える建設中の九州新幹線の高架橋、工事が仕上げ段階に入っているのが判ります。来年が楽しみですね。
新八代駅では同一ホームで新幹線に乗り継ぐことができます。この800系は東海道・山陽新幹線の700系と同じ造作なのだが、こっちのほうがかっこエエ！
車内も木目基調でゆったりしている。なんといってもABC-DEの1列5席ではなく、AB-CDの1列4席。贅沢です。新八代、鹿児島間もたった40分。車内でゆったりしている暇もないですね。
鹿児島中央の駅前から鹿児島市電に乗って天文館へ。車両は1000形、ユートラムです。
アルナ車両が開発した純国産の超低床車で3連接の特殊な形態。台車が前と後ろの運転台部分の車体に固定されている、実に独創的な構造です。ただし、これだと運転台部分は広々としているが、肝心の客席を大きく取れないですね。
天文館は鹿児島最大の繁華街です。縦横に広がっているアーケードの商店街の中、ここの小さな喫茶店で最近になって全国的に知られるようになってきた鹿児島のローカルフードをいただきます。
今夜の宿泊は、この繁華街の中にあるビジネスホテル、チサンイン鹿児島です。都心での宿泊なら狭くとも寝れたらいい。どうせ温泉もないんやからね。ホテルに荷物を置いて、夜の鹿児島市内に繰り出します。夕食も鹿児島の地のもんを…
翌朝は鹿児島市営バスの観光路線・鹿児島シティビューに乗って城山に登ります。車両はクラシックな市電をイメージして改造したようで、ベースは日野レインボーのようです。
それにしてもデザイン優先のこの車体、運転台が狭くて運転士が気の毒ですね。
西郷隆盛が最後に立て篭もった城山からは、鹿児島市内と錦江湾を挟んで桜島が一望。ぽくぽく立ち昇る噴煙がのどかです。海に浮かんでいるのは、どうやら自衛隊の潜水艦のようです。
再び鹿児島シティビューで鹿児島中央駅へ。駅建物内の大型ショッピングセンターでお弁当を買って特急「はやとの風」に乗り込みました。この車両、キハ４７を改造して観光列車に仕立て上げたもので、漆黒の車体が精悍ですね。
車内は、これも木質の風合いを活かしたもので、車体中央には展望スペースも設えられています。
お弁当は鯖寿司とさつま揚げ。鯖は脂が乗ってて実に旨い。さつま揚げは鹿児島らしい甘さです。
車窓からは桜島と錦江湾が一望。陽光にきらめく海面から、突如イルカがジャンプしたんですよ、ウソみたい…だが、カメラが間に合わなかった…
隼人駅を過ぎると、列車は日豊本線から肥薩線に入ります。とともに、海の景色から山の景色に変わってきます。急勾配を登っていく途中、列車は嘉例川駅で小休止。
この駅は明治時代の木造駅舎がそのまま残っていて、乗客のほとんどがいったん降りて、記念撮影しています。10分ほどの小休止で列車は出発するが、今日はここで途中下車、列車を見送ります。
列車の到着にあわせて、鹿児島空港からのバスが到着しました。その名も「温泉バス」！！妙見温泉の旅館組合が運行するこのバス、運転士は南国交通からの派遣だそうです。15分ほどの乗車で、バスは妙見温泉の旅館街に近づいてきました。
旅館街の対岸、何の変哲もない雑木林のなかに控え目な看板があります。ここが今夜の宿、田舎の趣を見事に醸し出した有名旅館です。
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