バスde温泉

バスで行く温泉旅日記

南紀白浜温泉@和歌山県

2019-06-21 22:56:11 | 温泉(和歌山県)
日本有数の観光地・和歌山県白浜町。半島状となって太平洋に突き出たその中枢部には、多数のホテルや旅館、リゾートマンションやレジャー施設が建ち並んでいます。

円月島や千畳敷、三段壁などの景勝地に加え、大型レジャー施設の「アドベンチャーワールド」では、ジャイアントパンダの子どもがぽこぽこ産まれるなど、話題にも事欠きません。

名前のとおり雪のような真っ白な砂浜の「白良浜」は、ハワイのワイキキビーチと姉妹浜提携しているほどの日本有数の海水浴場として、特に海水浴シーズンには内外から多くの観光客が集まってきます。

アクセスも優れていて、大阪・京都からはJRの特急列車「くろしお」が直通しているほか、羽田から南紀白浜空港へ1日3便のジェット機が飛んでおり、さらに紀勢自動車道も開通して南紀白浜ICが利用できるようにもなりました。

このように優れたリゾートである南紀・白浜ですが、つい見落とされがちなのが、ここが非常に良質なお湯の湧く温泉地であることです。
南紀白浜温泉は、熱海温泉、別府温泉と並んで「日本三大温泉」と言われているとともに、古くは牟婁の湯として万葉集に登場するなど、道後温泉、有馬温泉と並び日本三古湯のひとつに数えられています。

泉質は主に塩化物泉、炭酸水素塩泉で、高温のお湯のそのすべてを利用しきれずに、海に流れ去っていくほどの湧出量を誇っています。
白浜温泉のある紀伊半島は、日本列島を覆うどの火山帯にも属しておらず、火山が周辺にないのに温泉が湧き出ていることが、不思議とされてきました。
ところが近年の調査で、白浜、有馬などの温泉は火山性の温泉ではなく、フィリピン海から潜り込んだプレートから滲出した高温の地下水が滞留しているものであることが、最近になって判ってきたとのことです。

白浜温泉では街中のあちこちに源泉があり、湯けむりをたなびかせています。そしてその源泉の近くには共同湯が設置され、地元の方はもとより、観光客が「外湯めぐり」を楽しむことができます。

「外湯めぐり」といえば、旅館の下駄を履いていけば各外湯が無料になる城崎温泉が有名だが、こちらはそんなシステムもないし、旅館街をそぞろ歩く風情もありません。
しかし、城崎は集中配湯でどの外湯でも同じ泉質なのに対し、こちらはそれぞれ異なる源泉のお湯なので、泉質の違いを比べるなど、純粋に温泉を楽しむにはこちらです。

ロケーションやアクティビティー、アクセス、そして優れた温泉に加え、太平洋や紀伊水道に面していることによるイセエビやクツエビ、クエなどの海産物に恵まれている白浜。これほどバランスの良いリゾートは希有。再ブレイクの可能性を秘めたリゾートに違いありません。

泉湯@湯泉地温泉(十津川温泉郷)

2019-06-21 19:27:38 | 温泉(奈良県)
奈良交通・十津川村役場BSから旧道を十津川に沿って上流に向かうと、川沿いの崖っぷちに身を寄せ合うように民家や郵便局、そして小規模な旅館が数軒建ち並ぶ武蔵の集落が現れます。この辺りが十津川温泉郷のひとつ、湯泉地温泉です。

歓楽街など皆無、古い歴史を持つ鄙びたこの湯泉地には静かな湯治場の雰囲気が漂っています。そしてこの集落の中にある共同湯が「泉湯」です。

羽目板を纏った建物は、小さいながらも共同湯らしい趣のある姿。エントランスにある券売機で500円の入浴券を買って中に入ります。

小ぢんまりしたロビーの奥に狭い脱衣所があり、その奥に小さな内湯と小さな露天湯が設えられています。内湯はさすが硫黄泉、温泉好きには堪らん匂いが漂っていて、お湯に浸かる前からトロントロンになってしまう。

お湯は澄明ながら僅かに湯の花がみられ、もちろん掛け流し。湯温が高いので加水は仕方ないが、硫黄臭はそのままです。

露天湯にももちろん湯泉地の源泉が掛け流されています。お湯に浸かりながら十津川の清流を眺めることができます。せせらぎの音に包まれながら源泉のお湯が楽しめる…この匂いと音で癒されるんですよね。

日本一広い村の十津川村は、実は平地が少なくて、この温泉も狭い敷地を最大限に利用しようとの工夫が感じられますね。

・場所:奈良交通・十津川村役場BS
・泉質:単純硫黄泉 55.6度
・訪問日:2011年7月4日

庵の湯@十津川温泉(十津川温泉郷)

2019-06-21 18:49:52 | 温泉(奈良県)
十津川温泉のバス停留所は窓口や待合室、トイレなどが備わるひとつの建物で、バス停というよりはちょっとした駅です。日本一広い村の十津川村の重要な足、十津川村営バスがここを起点にしていて、寒村の貴重な移動手段を守っています。

全長166.9㎞、停留所の数は167、高速道路を使わない路線では、日本一の走行距離を誇る路線バスの奈良交通・八木新宮特急バスもここに着いたら小休止、長旅の疲れを癒します。

バス停留所の目の前のダム湖の湖畔にあるのが、十津川村の「源泉掛け流し宣言」とともに、それを象徴する施設として造られた、足湯や飲泉所も有する、小さいながらも本格的な日帰り温泉施設です。

エントランスの横には飲泉所があり、温泉水を飲んだりペットボトルに詰めたりすることができるようになっています。(ポリタンクに給水する場合は横の駐車場にある有料の温泉スタンドを利用のこと。)

エントランスから階段で1層降りたところが無料の足湯、さらに1層降りたところにあるのが庵の湯の浴場です。券売機に500円を入れて入浴券を購入して奥に進むと、男女別の浴室があります。

高野槇の浴槽には十津川温泉独特のやや白濁した、心地よいアロマのお湯が掛け流されています。大きい窓からダム湖が広がり、露天ではないもののそれと同じぐらいの解放感を感じることができます。

この湯をワインに例えるなら、きりりとして、かつ芳醇。フランスを代表する白ワインの「シャブリ」のような感じかな。こんなお湯を心おきなく堪能できるのだから、ここは極上の共同湯といって間違いない。

当初、浴室は露天のみの設計だったそうだが、それでは奈良県の条例に抵触するらしく屋内に変更されたとのこと。温泉好きには香りや浴感を余すところ無く感じることのできる屋内のほうがいいですね。

・場所:奈良交通・十津川温泉BS
・泉質:ナトリウム‐炭酸水素塩・塩化物泉 70℃
・訪問日:2008年12月10日