JR西日本の発行する割引切符の「こだま指定席往復きっぷ」。これは2名以上で山陽新幹線設定区間内の「こだま」普通車指定席での往復が、いわゆる各駅停車の「こだま」に限定されるものの、例えば新大阪・福山間で通常15,300円のところ8,780円と、6割にも満たない大幅な割引が可能となります。これなら、高速バスに匹敵する料金で、しかも時間はバスよりかなりの短縮。今回は趣向を変えて、バス旅に最適な中距離の小旅行にもかかわらず、新幹線で旅立つことにします。
早朝の新大阪駅、いちばん南側のホームに700系の新幹線列車が進入してきました。この車両、元のウエストひかりです。快適な4列シートに座って、パンをかじったりウトウトしたりしているうちに新倉敷駅、次は今回の目的地、福山駅です。やっぱり新幹線は早いわ!
福山に着いたのはお昼前、まずは腹ごしらえを…っということで福山駅前の商店街にあるお寿司屋さんに入りました。
お腹もいっぱいになったので、ここから福山の市街地とは反対側、駅の北側の住宅街を歩いて、山側に向かっていきます。ここに早くも本日のハイライト。
バス観賞を堪能し、ついでに入手しそびれていたバスの模型もゲットし、満足して駅の方に戻ります。今夜は福山泊まり。まだまだ時間もあることだし、目の前にそびえたつ福山城にでも行ってみようかな。
この福山城、かつては2重の堀と五重の天守の大規模な城郭だったが、明治以後の近代化によりほぼ全ての堀が埋められ、三の丸の大半が市街地となりました。なにせこの三の丸を横断してJR福山駅が造営されているぐらいだから、往時の威光は見る影もないですね。しかも、昭和20年の福山大空襲で天守も焼失し、昭和41年に天守が鉄筋コンクリートにより再建されたものの、建築基準法に従ったことなどから不正確な姿での再建となっているとか。
現在、この天守は市立の「福山城博物館」になっていて、登ることができます。てっぺんから福山市街を眺めると意外に都会なのがよく判ります。この福山市、広島県では広島市に次ぐ大都市だそうなんだが、これといった名所や名物が無くってやや影が薄いですね。
宿泊はカンデオホテルズ福山です。ビジネスホテルよりちょっとグレードが高いが、シティーホテルのようなレストランや宴会場の無い宿泊特化のホテルです。最近こういったホテルが多くなってきていますね。その中でもこのホテルを選んだのは大浴場があったから。ただし温泉ではありませんが…チェックインを済ませ、部屋に荷物を置いて、夜の福山に繰り出すことにしよう。
ホテルのカフェでブッフェスタイルの朝食を済ませ、福山駅に向かいます。福山駅からは、今回のこの旅の最大の目的があるんですね。
バスを降りたら目の前にのどかな春の海が広がっています。ここは名高い景勝地、鞆です。
鞆の港からは季節限定・土日祝日限定で瀬戸内クルージングが運航する尾道~鞆航路を使って、尾道までプチ船旅を楽しみます。船の名は「ジュゴン」号。昭和63年進水の旅客定員 80名 、総トン数 19tのやや古めかしい小舟だが、速力は最高25ノットと、足は速いですね。
鞆を出航して暫し鞆の浦を遊覧。そこから西に進み、途中、常石造船のある辺りで建造中の船に近寄って、その巨大さを見せつけながら、尾道の桟橋に到着します。
1時間足らずの航海だが内容は充実。料金は1,500円もするが、値打ちがあるんではないかな。
降り際に、船長が船長室の窓から身を乗り出して「ロープウェイに乗るんやったらこの道をまっすぐ登るんやでー」っと。客船の船長と言うより、釣り船の大将といった感じ。和むなぁ…
尾道では先ずロープウェイに乗って千光寺山から鳥瞰してみます。
お昼時を過ぎてお腹も空いてきたので何かないかな?ラーメンもいいし、話題のお好み焼きもいいし…そんな中、餃子のお店を見つけて、ついフラフラっと入ってしまいました。
尾道からはJR山陽本線で福山に戻ります。新幹線の切符が往復きっぷなので、新尾道から新幹線に乗って大阪に直行するわけにはいかず、来た時と同じ福山からになります。こういった少しばかりの不便があるのは格安切符だからのこと。仕方ない。といっても、以前は京阪神を疾走していた117系に、久しぶりに乗ることができたし、福山では旨いものも待っている。
最後の最後まで瀬戸内の旨いもんを堪能し、山陽新幹線に乗り込みました。ここからまたこだまで帰ります。そろそろお気づきでしょうか?今回は温泉無しでした。残念ながらこの辺りは温泉空白地帯なんですね。
- 訪問日:2011年5月6日・7日