





・泉質:ナトリウム‐炭酸水素塩・塩化物泉 70℃
・訪問日:2017年3月27日
十津川村のやや南部にある平谷の集落には温泉旅館や民宿が軒を連ね、高温かつ豊富な湯量を活かして、全国に先駆けて村内の全旅館が完全放流の掛け流しを達成したのはつとに知られていますね。この「田花館」は創業が明治42年と、十津川温泉では最も老舗の旅館です。
十津川温泉は湯量が豊富な高温泉なので、すべての旅館が完全放流の掛け流しを達成しています。ただ、熱い源泉を冷ますのにはどこの旅館も苦労しているようで、夏場はやむなく加水してところもあるようです。この旅館では、温泉を送るパイプに湧き水のシャワーを浴びせて温度を下げ、濃厚な湯を楽しむようにしているとのこと。
十津川温泉独特のやや白濁した柔らかいお湯が掛け流され、鼻腔をくすぐるアロマがアルファー波を発生させ、柔らかな浴感は心を鎮める。
この旅館にも貸切の露天風呂もあります。周囲は壁に囲まれていて景色は全く楽しめないが、天井がないので確かに露天には違いない。こんな申し訳程度の露天ではあるが、こちらに注がれているお湯のほうがなんだか濃厚なような気がします。浴槽が小さいからでしょうね。泉質は極上です。
温泉とともにお料理も極上。冬場はボタン鍋がいいですね。
実はここ、十津川でいちばんのお気に入りの旅館なのです。この十津川温泉、夏場は川遊びの観光客で賑わうんだが、食材の種類や温泉の温度管理のことを考えると、実は冬場が狙い目なんですね。
洞川は修験道の行者たちの宿場として、江戸時代中期に開かれた歴史ある温泉です。以来、厳しい修行を終えた行者が、世俗に戻る前に湯に浸かって疲れを癒す、いわばリハビリ施設として今日まで栄えてきました。また、大峰山秘伝の胃腸薬「陀羅尼助丸」の生産地として知られていますね。
この町の入り口付近に村営の洞川温泉センターがあります。ここは割合新しい施設で、名産の吉野杉を多用した、木造建物の良さを感じさせる作りになっています。浴場は内風呂と露天それぞれひとつずつの浴槽で、至ってシンプル。内風呂は高野槙の感触が優しい大きな浴槽だが、一部ジェット風呂になっている。増設されたという露天は、岩風呂になっていてオーバーフローもそこそこみられるが、実は循環。無味無臭の単純泉のこと、あまり浴感がなくて特徴も希薄です。まして消毒の塩素臭が強めなため、温泉というより白湯の銭湯のようです。
洞川温泉では湧出量も多くないので、循環は致し方ないところ。泉質を追求するなら残念な温泉ではあるが、大峯登山の疲れを癒すには絶好の施設ではないかな。
奈良交通の西吉野温泉行きの路線バスは、バス専用道を走りぬけることで国内では実に希少なバス路線です。この路線の終点、西吉野温泉のバス停から坂道を登ったところに、この温泉施設があります。割合新しい施設で、セミナーハウスとの表示があることからゼミ合宿なんかに使ってもらおうとの意図が見えますね。
温泉は大きくはないものの清潔で、ジャグジーや打たせ湯、サウナもある。お湯を舐めてみたらやや辛いナトリウム泉。ただし加温で循環で加水で…なので泉質に特筆するところはありません。露天風呂はないものの、お風呂に面した庭に出ることができ、そこには床机が置いてある。茹った体をここでクールダウンができて気持ちがいい。温泉は残念だが、ジャグジーはずっと空いているので独り占めできます。炭酸泉に浸かっていると考えたら悪くないですね。
日本最大の村、十津川の中央を流れる十津川の支流、上湯川を遡ってしばらく進んだところの渓流の畔。ここに、これぞ秘湯といった趣の温泉、「つるつる乃湯」があります。秘湯ながら、数年前に建て直されたようで比較的新しい建物。
受付のご老人に500円の入浴料を支払って中に入ると、手前が男風呂、奥が女風呂になっています。
浴室は屋内のみで露天はないが、大きく広がった窓を開けると目の前は渓流。実質的には露天といっていい。
お湯は僅かに白濁していて、湯の花が多く舞っています。やや硫黄臭はあるが、舐めてみると意外にも無味。しかしこの浴感が特徴的で、その名のとおりのツルツルした肌触りが実にいい。湧出温度が熱いので加水しているようなのだが、それを差し引いてもかなり上質な温泉だといえます。これは足を延ばす価値がありますね。
この上湯へは、かなり以前から行ってみたいと思っていたのだが、バスで行くには1日にたった2本だけの十津川村営バスしかなく、奈良交通の十津川特急バスとの接続もない。なので、いつも断念していました。今回はバスを諦めて、レンタカーを使ってようやくの訪問です。念願叶って満足なのだが、しかしこれでは「バスde温泉」とは言えませんよね…
奈良交通・かもきみの湯BSで降りると目の前。葛城山の麓、御所市と五條市との分水嶺の北側にある大規模な温泉施設です。
この施設の設置者は奈良県葛城地区清掃事務組合。地域のし尿処理施設を造るその代わり、地元へ利益還元としての1600メートルの深さから温泉を掘り出し、日帰り温泉としたのがこの施設です。
公営の比較的新しい施設のため美しく整備されており、廊下もピカピカ。1階には温泉とマッサージ室が、2階には食堂とカラオケ室が造られています。
温泉は屋内と屋外に分かれ、広々とした屋内には大浴槽のほかに、ジェットバス、泡風呂、座湯、サウナがあり、設備的にはかなり充実しています。
屋外には露天浴槽、打たせ湯のほかに源泉浴槽があり、源泉浴槽には褐色のお湯が満たされています。しかし、この源泉浴槽も循環濾過されているのでありがたみは半減です。
温泉は残念だが、ここには塩サウナがあります。低温のサウナながら、岩塩を体に摺りこむと自然と汗が染み出てきます。板擦りにされた胡瓜になった気分で、これはなかなか気持ちいい。これが目的で、以前はかなりリピートしていた温泉施設です。
・場所:奈良交通・かもきみの湯BS
・泉質:ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 34.4℃
・訪問日:2006年10月16日
十津川村役場バス停から、旅館街とは反対方向に向かって十津川を渡る橋を歩いた先に、もうひとつの共同湯「滝の湯」があります。ここは廃業になった民宿を共同湯に業態を買えた温泉で、昨年、さらなる大改装を得て、十津川村いち押しの温泉になっています。
土地の貴重な十津川にもかかわらず、ここは割りと広い敷地で、本館には簡易な食堂と休憩所が設えられています。
入り口で入浴料を支払って靴を預けると、本館の奥に増設された新館へ、以前の内湯は別棟になっていて、いちいちサンダルに履き替えての移動が強いられたのだが、今はこの真新しい内湯になっていて、硫黄臭漂うガツンなお湯が満たされています。同じ十津川村でも、この湯泉地温泉は十津川温泉とは全く異なる泉質。やや湯の花が漂う澄明な美しいお湯です。
露天へはここから公園のように美しく整備された庭の中を歩いていきます。以前はいったん服を着ることになって面倒だったが、改装後は裸でOK!ただし、かなり無防備な姿なので、コケたら擦り傷だらけになること必定…
石段を下り降りたところがここの白眉、滝の見える露天湯です。この露天湯でもガツンなお湯が惜しげなく掛け流されています。多少熱くても森からの風と滝のミストによる冷気でのぼせることはないな。
人口滝の露天湯はちょくちょく見かけるが、ここの滝は間違いなくホンマモン。さすが自然豊かな十津川、癒されるなぁ…
十津川温泉は日本で先駆けて全村の温泉で完全放流の掛け流しを達成したところ。これは湯量が豊富で、湧出温度が熱いから成し得たんですね。このホテル昴は、十津川村、奈良交通、十津川村観光協会の出資によって1988年に開業した第三セクターのホテルで、小さい旅館が多い十津川温泉の中で、最も規模が大きいところ、十津川を代表する旅館です。
十津川では珍しい広い敷地を活かしてお風呂も広々。露天風呂、内湯、サウナ、寝湯、うたせ湯…等々、スーパー銭湯並みのヴァリエーションがあって、家族連れやグループ旅行にはうってつけですね。
もちろんお湯は十津川温泉独特のやや白濁した柔らかいお湯で、泉質も申し分ない。比較的空いている冬場には、こんな広いお風呂を独り占めすることも…
当初、巨費をかけて設置した循環装置を、2004年に撤去する英断を…そして、このホテルの掛け流しへの移行をもって十津川村全村の掛け流しが実現したんですね。この十津川では各旅館が独自の方式で熱い源泉を薄めずに冷ましているが、ここは熱交換器で自然冷却する方式とのこと。
ここは日帰りの利用にも使いやすくなっています。入浴料は大人800円だが、村民は半額となっています。やはり村の三セクですね。つい最近、日本一の路線バスもここを経由するようになりました。これで少しだけ便利になったかな?