みかどん育児日記

自由を愛するみかどん(7才)を育児中のワーキング・マザーの日記です。

民間セクター開発?

2011年01月20日 | みかどん
一応私の専門(というか関心分野)は民間セクター開発ですけど、
先進国での議論と現場でのギャップがここまで大きい分野も
ないのかなぁと改めて感じます。

昨年は国際機関の委託で、ガバナンスの極端に悪いC国で
インフォーマルセクターの調査をやり、どうやったら零細事業者に
徴税できるか、あるいは研修や金融サービスなどを提供できるかに
ついて考えてみたけれど、現場で彼らを見てみると、それが
ドナー・研究者の描く机上の空論に過ぎないのではないかなぁと
感じます…。

最近はやりのBOPビジネスについても、人口密度の高くない
アフリカの国ではやはり難しいだろうなぁと感じました。

今回も懇意にしている小企業を訪問し、彼女たちが作っている
栄養補助食品について聞いてきました。値段も安いし、最近は
ぬるま湯(水)でも使えるように改良したインスタント粉末を
開発して市場に出したというので、これはいいだろうと首都では
思ったけれど、いざ地方に出てみると、幹線道路沿いに点在する
村々を見るだけで、ここに届けるのは大変だろうと感じます。
幹線道路沿いにない村の方が圧倒的多数なのだし…。

あとは、いくら値段が安いといっても、市場経済に巻き込まれて
いないだろう(貨幣をそんなに持っていないだろう)と思う
層がやはり沢山います。この国は、最貧国の中でも
かなり下位にランクされているからかもしれないけれど、
我々が東京でやや熱狂的に話していることと、途上国での現実は
やはり違うのではないか、この恩恵をこうむることができるのは
途上国の中でも上の方、そして途上国の中でもやはり下流の上
以上ではないか、と改めて感じます。
そして下流以上が貧困状態から脱出できたとしても、おそらく
トリクルダウンは起こらないだろうとも…。

こんなことは実際に調査してみないともちろん分かりませんけど…。

あとは、個人レベルでいうと、ビジネスでの利益が投資に
回せない構造。コンサルタントいわく、ここでは一人の稼ぎに
7人がぶら下がっている。この間、貴方は仕事があって、首都に
ちゃんとオフィスを持って、スタッフも雇っているしベンツもあるし
家も新しくきれいだと言ったところ、自分では自己啓発やビジネスの
拡大を目指したくても、どうしても自分の家計にぶら下がる人たちに
食われていってしまう、と残念そうに言っていました。
もちろんある程度の会計はしているのだろうけど、私の調査のように、
もらい切りの仕事の場合は、大部分がビジネスではなく生計に
回っているのかもしれない。

しかしそうやって彼が頑張って子供たちに教育をさせているのであれば
(自分の子供に加え、なくなった兄弟の子供や甥っ子まで引き取って
教育を受けさせている)、次の世代につながる大事な投資に貢献
したと思えばいいのかもしれません…。

そして何よりも、現地の経済を活性化させるのに、外部の人間が何が
できるのだろうなぁと感じます…。当たり前だけどアジアとは全く
コンテクストが違う。投資が来たとしてもそれは国の上層部しか
被益しない。

昨日はコンサルタントが、12月にできたばかりの独立50周年の
モニュメントに案内してくれて、そこにあった建立のメッセージを
読みながら、ここまでの道のりとこれからについてしばし思いを
はせました…。

小さなサバイバル戦術

2011年01月20日 | みかどん
今日から第二の都市(経済都市)に来ました。
首都から4駆で5時間、一部舗道されていない区間が
あったけれど、あとはおおむね快適な旅でした。

今は乾期なので、土地も乾いた黄土色で、
延々と続く埃の道。
貨物を積みすぎた大型トラック、乗合タクシーに
加え、荷台に巨大な荷物を乗せて走る自転車も多数。
もちろんロバなども。
つくづくアフリカに来たなぁと感じます。

そしてもう一つ、アフリカにいるなと感じるのが、
現地の人々の小さなサバイバル戦術に出くわした時。

昨日は、零細工芸家が集まるセンターでしばし
ゆっくりして、お土産も買ってきました。
その中で、女性グループが作っているリサイクル紙
(使用済みの紙とサヘル地域の草を混ぜて作った
味わいのある、すごくごわごわの紙)のノートが
気に入り、お土産にごそっと買ったところ、
先方がよこした領収書はなぜか半額分しか書いていない。
このセンターの出入り口では、領収書の1枚を出さなくては
いけないので、きっとセンターの方から、後で工芸家に
徴税するのだと推察。

なるほど、自分の懐を潤すために売上を少なく書いたのだなと
分かりましたが、女性グループの面々も「朝から初めてのお客」
だと言っていたから(皆に言っているのかも)、少しくらい
寄付してもいいかと思い、そのままにしておきました。
センターの運営にとってはよくないのかもしれないけれどね…

そして現地でお世話になっているコンサルタント。
前回のコンサルタントに比べるとあまりガツガツしていない
印象だけど、やはりサバイバル戦術が見え隠れします。
首都でのアポイントには自分の車を使ったり、
また地方での調査には宿泊日当を支払ったけれど
自分の家族の家に泊まったり。
その分は払わないと言っても良かったのだけれど、
彼がたくさんの家族(そう、妻や子供たちだけではなく、
彼の経済的な成功に群がる沢山の親戚が居候している)を
見たからには、あまりうるさく言わないでおこうとも
思いました…。

その一方で、現地の人たちのホスピタリティに触れることも多く、
やはりここはいいところだなぁとつくづく思います。
彼らの優しさの裏には、日本人が何か(プロジェクト)を
持ってきてくれるという期待もあるのかなと
思うこともたまにありますけれど…