みかどん育児日記

自由を愛するみかどん(7才)を育児中のワーキング・マザーの日記です。

あさが来た

2016年03月12日 | 趣味
こんなに嵌るドラマは本当に久しぶりで、
出勤前の忙しい時間にも関わらず、15分は
全くテレビの前から動きことができず、
出勤がいつもギリギリになってしまっています…。
(前の職場の教授も同じことを言っていた)。

女性が仕事をする(+子持ちで)難しさを日々痛感
する中で、心に響くセリフが沢山あり、
ほぼ毎日のように泣かされているので、
このドラマが終わってしまったらどうしよう。
本当に、これで朝が始まるから一日中調子がいいのです。

一番気になるのは、うめと雁助の大人の関係。
今日のシーンは、最も印象深い素晴らしいシーンだったと
思ってしまうのは、自分が年を取ったからなんだろうなぁ。

私がいる時はNHKか教育テレビしか見ていない(例外は
土曜朝の妖怪ウォッチ。こまさんぽがかわいいから)
みかどん、お友達に「好きなタレントは?」と聞かれて、
誰も知らないものだから苦し紛れに
「ディーン・フジオカ」と言ってしまい、
ちょっとかわいそうだったかなとも思いましたが、
渋沢栄一に加えて五代友厚という歴史上の人物を知る
きっかけにもなり、興味津津で一緒に物語を追いかけています。

五代友厚が死ぬ前日、思わず旦那に「ディーンが明日で最後」と
言ってしまい、ダンナからは不機嫌そうな反応が返ってきたけれど、
ダンナはディーン/五代にもあさのダンナにも似ていると
過大評価して見ているとは思っていないんだろうなぁ。


ふと、あさが来たの最終週が、みかどんをフランスに連れていこうかと
思っている時期にばっちり重なることが分かり、旅行をやめようか
ずらそうか考えています。どんなに父が「危ないからやめろ」と
反対しても、聞き流していたけれど…。
このままだとDVDを購入してしまいそうでコワい。

今月の斜め読み

2015年12月31日 | 趣味
「すごい実験」(高エネルギー加速器研究機構 多田将)
素粒子物理の最前線、ニュートリノ研究が分かる!という
帯文に惹かれて購入。
著者は京大で博士を取っているにも関わらず、これまで
出ていた物理の本は難しすぎる(イメージで理解できない)と
いう問題意識にたち、とにかく分かりやすい内容で執筆。
高校生くらいの時に、こういう物理の本があったらなぁ。
もちろん、後半は難しくなるのですけど、でもなんとか
最後までくいついて読もうと言う気になる本。

「劇画 ヒットラー」(水木しげる)
読まず嫌いしないで早く読んでおけばよかった。

「ラバウル従軍後記 トペトロとの50年」、
水木しげるのスケッチがあまりにも秀逸で驚いた。
新刊「ゲゲゲのゲーテ」、これはまぁまぁ。
みかどん向けに購入した「鬼太郎百科」?はやはり良かった。
子供時代、あれを読んでどんなに妖怪の世界に思いを巡らせたか。

「沢田マンションの冒険」(加賀谷哲郎)
これも上と同じくちくま文庫。そしてトマソンの延長線。
私も年を取って保守的になってきたのか、素人による
違法建築にちょっと引いてしまった。
20代だったら面白い!と思って突撃したかもしれないけど。

「自分のついた嘘を真実だと思い込む人」(片田珠美)
なぜ嘘つきが増えたのか。肥大するばかりの自己愛を抱えて、
あきらめきれない人が増えていることが一因だと。


仕事ではBilal、Poor Numbers, Terrorism and political violenceを
斜め読み中。terrorism researchの方法で、フィールドワークのやり方
なんて章があって、さすがイギリスの出版社だと感心。


斜め読みリスト

2015年10月05日 | 趣味
原稿そっちのけで斜め読みばかり(半分は原稿のため)。

新刊
@ゼロからトースターを作ってみた結果(新潮文庫)
イギリス人のアーティストが、トースターをすべて原材料
(鉄鉱石とか)から9カ月かけて作った経緯をまとめたもの。
なぜか最後は環境問題に。
アーティストだけど最後にすごくよい実務的な提言をしている。

@コーランには本当は何が書かれていたか?(文藝春秋)
アメリカ人ジャーナリスト(女性)が、友人のイスラム教
指導者と一緒に、コーラン(特に女性に関する考えに多くを
割かれている印象)を読み解くもの。
西側で思われてる「イスラム教の排他性、不寛容」を
払拭することが趣旨なのかな?これをもって、
今の過激派たちを論破するのは到底無理。

@人質(タイトルは忘れた、ソマリアで460日拉致されていた女性の手記)
↑立ち読みだけで結局買わなかった。
本の半分くらいは、ソマリアは関係なく、一緒に拉致されたボーイフレンド
とか自分のことを書いてあって、肝心のことは手薄。
自分を拉致した輩とか、周囲の環境への観察度は非常に低い。
妙に分厚く、端々に女性特有の粘っこさが鼻について読む通す自信がなかった。
原文がそうなんだろうけど、自分の思ったこと(頑張るのよ私とか)が
太字でハイライトされているのはいただけなかった。

@サイバー・インテリジェンス(伊藤寛)
@地方消滅:創生戦略篇
この2刷は原稿のため畑違いだけど斜め読み。
大学の文系履修科目を変えよと言ったのはこういう趣旨だったのかと納得。
低賃金労働者として移民を受け入れるなという説にも同意。

既刊
@軍事とロジスティクス(江畑謙介)
仕事のため。あまりにも分厚く中身が濃いので年内に理解できれば良い

@いつも異国の空の下(石井好子)
ハイソなお嬢様歌手というイメージとは異なり、離婚して自活の道を模索して
海外で8年間を過ごした時代の手記。
@あかねさす:新古今恋物語
恋愛小説なんて高校以来。新古今和歌集を現代に焼きなおした短編集。
@第2図書係補佐(又吉直樹)
話題の人で、すごく売れていたので買ってみたら面白かった。

古本
@不肖・宮島 ちょっと戦争ボケ(新潮文庫)
上下巻。虐殺後のルワンダPKOとか、F-15体験、ゴラン高原PKOとか、
90年代の取材記。下巻の解説(花田紀凱)がすごく良い。


性懲りもなくまた買ってしまった本(人に上げたりするので)
@死都日本(噴火小説)←この1年で4冊目
@超芸術トマソン
@君についていこう(向井千秋のダンナ)
@東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ
@辺境生物はすごい!

趣味の違い

2015年09月24日 | 趣味
昨年からみかどんと二人でハマっている
シーズー親子のブログ。
あまりに愛くるしいもふもふっぷりに、昨年は
パリからその親子カレンダーを二つ注文し、犬好きの
ダンナにあげましたが…。

昨年は、くれるんだったらもらうという遠回しな
言い方をしていたけれど、今年は、とうとう、
全然シーズーみたいな鼻ぺちゃ犬には感情移入できないし、
既に柴犬のカレンダーを買ってしまったのも、
シーズーが来ないよう予防線を張ったと言われてしまいました(涙)。


ふと思い出したのが、先日パリ出張中に元同僚とブランリー美術館の
テラスで夕食をした帰り、よい気分でぶらぶら歩きを始めた矢先に
ふと美術館で展示中のマスクのポスターが目に入ったところ、
同僚が突如「マスクは大嫌いだ」と激昂。
なんでも、呪いとか非科学的なもので人々を従わせたり
殺したりすることに激しい嫌悪感を抱き、その手段としてのマスクを
見ると何故か非常に頭にくるということを1時間ほど懇々と論じられ、
たまにかわいいマスクをフィールドワークの時に持ち帰ってきた
身としては、マスクのあまりの言われようにちょっと悲しくなりました。
決してそんなおどろおどろしい目的だけではないのですけどね。

私のマスク達は一体どこにいってしまったのかな。
これも家族から評判が悪かったです。

Yacoubian Building

2014年12月27日 | 趣味
秘書さんのお勧めで、エジプト人作家Alaa El Aswanyの著作Yacoubian Buildingを読破。
以前、やはり彼女に借りて読んだアルジェリア人作家Yasmina KadhraのÀ qui rêvent les loups と
似たトーンで、90年代以降のイスラム世界、独裁政権の下で社会的な不平等に翻弄される市井の人々を
描き、正直、登場人物たちに次々に訪れる試練で少々鬱々とした気分にもなりましたが、
良い小説でした。

Kadhraと同じく、汚職と不平等、差別の蔓延る社会で、下層の市民が
さまざまな機会を奪われ、社会的正義の実現と是正をめざし、気が付くと
イスラム原理主義に染まっていき、最後は「ジハーディスト」として
非業の死を遂げる下りは、きっとこのような若者が現実にたくさんいるんだろうと
思わせました。

過激化予防と言ったときに、穏健派の協議を教え込む、矯正教育だけでは
現状は何も変わらないだろう、不平等や差別をそのままにする社会の在り方
そのもの(広い意味ではガバナンスというのかもしれませんが…)に
切り込まない限り、若者の過激化はいつまでも続くのではないかとの気持ちに
なりました。

暴力行為は決して許されないものの、
自分がこの登場人物のような状況に置かれたら、果たしてどのように
行動するだろうかと思うと、きれいごとだけを言って解決できる問題では
ないと感じます。


BHL La guerre sans l'aimer読破

2014年10月20日 | 趣味
約630頁、行動する哲学者??たる筆者が
2011年2月から8月まで、リビアへの軍事介入から
カダフィの失脚まで、何度か現地に入り、
そこで出会った人々を「カダフィを追い出し
民主的な国家を作れる」と思いこんで
勝手にドタバタ介入して国際政治をかき回した記録。

それなりに尊敬されている哲学者なんだろうけれど、
あまりのナイーブさ、理想を押し付けるあまりに
現実を見れない痛々しさ(本文でも、何度も仏知識人、
またリビア人からそれを指摘されている)。

また、彼がなぜここまでリビア、カダフィ放逐に
こだわったのか、後半でようやく分かります。
彼はユダヤ系、そしてイスラエルの強烈な支持者。
イスラエルを敵視していたカダフィは彼の敵であり、
敵の敵は味方、ということで、革命を支援していた
ことが見えてきます。

カダフィの軍に攻撃される住民を見て、立ち上がった
というのならば、イスラエルに攻撃されるガザの
住民を見て彼は何を感じるのかと思います。
ただ、彼の頭の中は100%「イスラエルが正しい、
イスラエルこそが中東での民主化のモデル」と
信じているよう。

哲学者ならばもっと超越したスタンスから、宗教間
対立等を見るべきではないかと思うのに、
イスラエル、ユダヤありきで哲学を語っても、
納得できないと思うのは、私が無宗教だからでしょうか…

アマゾンのブックレビューでも、ボロクソに
こきおろされていました…。

まぁ、仏大統領府や当時のリビア暫定政府?との
やりとりは、(どこまで本当に書いているのかは
よく分かりませんが)参考になりますがね。
特に武器供与について、
仏がリビア反体制派の要請に応じ武器を供与
(これはBHLが強く主張)
→仏が直接供与するのではなくカタール経由で
現地に武器供与
→リビアには相当量の武器があるのは、革命時に
武器が供与されたことも忘れてはならない
(国際社会は皆、カダフィが収集したものとして、
自分達の役割はしらばっくれているように見えます)

明日からようやく別の本に移れます。

やはり確信犯

2014年10月18日 | 趣味
みかどんのLoomの機械、今日ようやく
戻ってきましたが、一つが壊れていました。
本人曰く「最初から壊れていたじゃない」。
みかどんのお友達に至っては、
「私にくれるって言ってたじゃない」とうそぶき
返してもらえなかった由。

まぁ子供にはよくあることだろうけど、
日本人は大人しいのでなめられているのでしょうね。

折られた機械を、みかどんは一生懸命セロハンテープ等で
直していました。






マリ北部を描いた小説を読む

2014年10月14日 | 趣味
仕事上、昨今のマリ情勢については
殆どの本(仏語のみ)を斜め読みしてるけど、
国土の半分がどうジハーディスト/武装集団に
占拠され、シャリア法の下で人々がどのように
極限状態の中で過ごしたのかを描いた小説も
2冊読んでみました。

最初に出たのは、アフリカにも造詣が深く、
以前もマリの小説を書いた仏人エッセイストの小説。
思わずネームバリューと宣伝につられて読みましたが、
どうしても、主人公のマリ人肝っ玉ばあちゃんの姿の
陰に仏人のアングルが見え隠れしてしまい、
再度読み直す気にはなりません。
いくら肝っ玉ばあちゃんに特別な能力(遠隔聴力?)が
あるにしても、首都で耳を澄ませば北部のジハーディストの
動向が分かるなんて、人間諜報機みたいなプロットに
ちょっと興ざめ。小説なのに、仏軍戦闘機の出陣まで
入れているので(それが耳を澄ませば分かる)、
なんだかなぁ。私の読解能力が欠けているといったら、
それまでですが。

他方、この秋に、ガリマール社のアフリカ人作家
コレクション、Continent Noirから出た
"La route des clameurs"は一読の価値ありかな。
マリ人作家による小説は、最初は少年の戯言が続いて
少々手こずっていたけれど、
家族を守るために自分の意思に反しジハードに身を
投じていく少年の心理と行動が、飄々と、しかしユーモラス
にも描かれていて、架空の設定にはしてあるけれど、
ずっと真に迫っていて読み応えがありました。

これを読むと、マリもそうだけど、ナイジェリアとかの
なんちゃってイスラム過激派は、人々の根底にある
アミニズムを利用して恐怖を煽っているだけではないか、
という気もします。
その点で、単にイスラム穏健化教育だけでは
済まないような気もするのですが…。

マリにちょっと寄り道してしまったけど、
今抱えているリビア本が終わったら、いよいよ、
トルコ人ノーベル賞作家、Orhan Pamukに取りかかろうと
思います。まずは「雪」(とことんイスラム過激派を
追いかけています、^^;)、その後は「私の名は紅」
あるいは「イスタンブール」を読みたいなあ。
一週間ほど読書休暇がほしいです。


リビア月間

2014年10月13日 | 趣味
なぜリビアがここまで崩壊してしまったかを
よく知りたいと思い、乱読中。
1冊はチュニジア人有識者の研究本、もう1冊は
2011年の春、現地にいきなり飛びこんで、
NATO空爆と、海の物とも山の物とも
分からない暫定「議会」に正当性を与えようと、
当時のフランス大統領に進言し、彼らをいきなり
大統領府に連れて行っちゃったりした哲学者
Bernard-Henri Levyの回顧録(La guerre sans l'aimer)。

BHLはリビア、マグレブやイスラム教の専門家では
全くないのに、人々が殺戮されている!という
非常にヒューマンな気持ちにかきたてられ、
地域研究者や実務者からすると現場をかき乱すだけの
ような行動をあれこれ取っていたんだなぁ、と
リビアがますます混迷する中、感じます。

当時のサルコジ大統領や、また自分の後押し
により暫定首相等にも任命されたリビア人(後に行き詰り
退陣、元いたドイツにまた亡命)等とのやりとりが
具に書かれていてそれはそれで面白いのですが、
現地で「イスラム過激派なんて姿が見えない」と
言いきってみたり、BHLの下に集められた各部族の
首領達が、「フランス万歳、我々は国家統一に同意する」
と言ったのをナイーブに国家統一、民主化の始まりだと
サルコジに伝えてみたり、仏代表としてのクレディビリティも
何も与えられていないのに、あまりのやりたい放題っぷりに
驚きます。

他方、サルコジといえば、カダフィ資金(そしてカタール資金)
との黒いつながりも徐々に暴かれていて、そのような点は
当然ながらBHLの本では触れられていないので、
ジャーナリストが二人の関係を追った本も併せて読んでいます。

カダフィは、西欧社会、アラブ社会、そしてアフリカ社会、
それぞれの立ち位置(そして当然当時の世界情勢)により
評価が大きく変わる独裁者だと感じます。
あぁ、アラビア語ができればなぁ…

ノーベル賞効果

2014年10月12日 | 趣味
こちらは9月が新年度にあたるため、
出版社も秋に売れ筋の新刊をぞろっと
出してきます。

この秋はやたら村上春樹が目立つなと
思ったら、ノーベル賞効果を狙っていた
ようなのですね…

今年の受賞作家のなったModianiの本も
先日新刊が出たばかりで、売上はNo.1
でしたが、ノーベル賞が発表された日の
夜も本屋は何も張り出さず、フランスは
随分そっけないんだなぁと彼の新作の山を
眺めていました。

そして数日だった今日、本屋に行ってみたら
彼の本がきれいさっぱりなくなっていました。
数十年前の本まで注文が入っているようです。

出版元ガリマール社の社長も、出版不況から
少し立ち直れるのではと喜んでいました。
来週の月曜日はお休みなので、
ガリマール社直営書店の様子を見に行って
みようかな。

パリを舞台にした話が多いということで、
私も入手できたら読んでみようかなと思います。

Q&A 火山噴火 無料配信

2014年10月09日 | 趣味
御嶽山噴火のニュース、こちらでも断片的ですが
報じられていて、本当に大変な災害になってしまったと
辛い気持ちです。

東日本大震災が起こった際、火山噴火予知は地震に比べ
やりやすい(モニターしやすい)という説明がまかり通り、
つい先日、どこかの学会?(日本火山学会??)が
予知は容易ではないと声明を出した矢先の災害となって
しまったように記憶しています。

この夏、火山噴火小説(「死都日本」「富士覚醒」)に
嵌っただけに、火山のこともよく知りたいと思います。
丁度、講談社ブルーバックスでは期間限定で無料配信
しているとのこと、有難いです。
http://bluebacks.kodansha.co.jp/bsupport/kazan.html

無料配信には、著者の日本火山学会の意向があるのでしょうか。
理系は専門外なので知りませんが、「死都日本」が
ベストセラーになった時も、学会がシンポを主催したり
面白い試みをするところという印象がありました。

地震や放射線についても同様の取り組みがあるとなおいいなと…

「死都日本」その他

2014年08月05日 | 趣味
1週間の休暇はまたたく間に終わり、昨晩パリに戻り。
異動を控えたダンナも沢山時間を作ってくれて、
果てには電車で1時間ちょっとの異動先までみかどんと
ついていき、温泉にも入ってしまい大満足!!

今回は珍しく何の宿題・仕事を抱えていかなかったのと、
みかどんが私よりも従兄弟たちと過ごすことを選んだため、
一人で本屋でゆっくりすごす時間が意外にあり、
沢山の本を買い込んでしまいました。

今回のインパクトNo.1は「死都日本」。
火山学に造詣の深い(研究者レベル)内科医が書いた、
九州の火山が大噴火したらどうなるかという災害小説。
最新の火山学に裏打ちされた大迫力の小説で、購入してすぐ隣の
カフェで4時間かけて読破。
火山噴火の恐ろしさを知るとともに、この時代から(2002年)
自然災害が起きた時の原発事故の危険性をしっかりと書いてあり、
必ずしも「想定外」ではないのだと思ってしまいました・・。
ついダンナにあげてしまったけど、どうしても手元に置いて
おきたくて、アマゾンで購入して、遅れてくる両親に持ってきて
もらうことに。
同じ作者の「富士覚醒」もなかなか面白いです。
普段小説は殆ど読みませんが、「死都日本」は「亡国のイージス」
に並ぶくらいすごかった。亡国のイージスなんて、これまで何冊
買ったか分かりません。死都日本も2日間で2冊買ってるし。
なかなか本屋に置いてないので困ります。
面白い本を探している人はぜひ。

ノンフィクションでは
「チェルノブイリの祈り」(岩波現代文庫)。
冒頭の、事故後すぐに現場に入った消防士の妻の語りだけでも
読む価値はあります。
事故後現地で骨髄移植等に携わったアメリカのゲイル博士の
本も同じ文庫から出ていたので読んだけれど、どちらかというと、
ロシアやアメリカの政治家との関わりに関する記述が多く、
まぁ、立場上色々書けないのかなとも感じました。

あとは佐藤優の「獄中記」、昔好きだった赤瀬川原平の
「超芸術トマソン」と「路上観察学入門」、
最近出た新書(水野和夫の資本主義の限界みたいなタイトルの本、
母子家庭の現状、集団的自衛権、あとなんだっけ)、
気になっていた「背信の科学者」、等など。

「トマソン」は、やはり六本木の再開発で消えていく
麻布の一角に立っていた煙突のエピソードが秀逸。
あの章だけでもこの本の価値はあります。

パリでも相当フランス語の本を買い込んでいるので、
読みたいと思いつつ。ピケティの本、日本でも話題になっている
ようなので(アメリカで取り上げられたから話題になっている
だけでしょうけど)、そろそろこちらも積読リストから外したい。

明日の朝、両親とみかどんが到着するので、今晩は、
また地図を見ながら「富士覚醒」を読み直します。

みかどんも地球の構造とか鉱物に関心があるので、
地学の道に進ませようかとも思ってしまったり…

「異邦人」と殺されたアルジェリア人の視点

2014年07月21日 | 趣味
土曜日は蒸し暑い中、ルーブル美術館近くの
Gallimard社直営店まで本を物色しに行ってきました。

先日はみかどんと7区の同社直営店にも行き、社会科学系の
豊富さに満足して帰ってきたのですが、この書店は
さほど充実しておらず、しかし昔ながらの本屋さんの
雰囲気は同じで(全部木製の古びた本棚で、上段の本を取るためには
やや怖い木の梯子を利用)、1時間半ほど長居をして、
探していた本をようやく見つけてきました。

探していたのは、秘書さんから勧められた新刊、
"Meursault, contre-enquete"(Kamel Daoud, Actes Sud社)。
アルジェリアの新聞で(体制側からすると)物議を醸すコラムを
書いているエッセイストのようで、小説ははじめてとのこと、
でもこちらでも主要なメディアに取り上げられ、品薄なのか
なかなか見つかりませんでした。

カミュの「異邦人」で、主人公meursaltに殺された、名もない
アルジェリア人(「異邦人」では"Arabe"と言及されるのみ)の
弟の視点から、事件のその後を、アルジェリア独立戦争、また
現在のアルジェリア社会の様子をおりまぜて描いています。
秘書さんによると、「アルジェで育ち、アルジェリアにシンパシーを
持っていたはずのカミュが、なぜ被害者を"arabe"に留め、何の
意味も与えていないのか、興味深い」とのこと。

恥ずかしながらこの年まで「異邦人」をきちんと読んだことがなく、
原書も併せて購入し、まずはオリジナルから読み、その後
殺された側からの小説を読みました。

「異邦人」、私には得体の知れない小説でしたが、夕暮れから夜に
変わる空の色がvert(緑)とあったり、空の移り変わる色彩に関する
描写が印象に残りました。「どうでもいい」と思っている主人公が、
空を見ている時だけは素直に人間らしくなっているようにも感じます。
Kamel Daoudの小説は、淡々としたオリジナルとは異なり、抑圧された
怒りが前半を占め、少々読むのが苦しくなってきた頃に新たな展開が
あり、最後はmeursaultと似たような心情に至るように見えます。

ただ、前評判が高すぎたせいか、ノーベル賞作家と比べるのは
酷ですが、カミュを読んだ直後に読むと(アルジェリアに興味の
ある人を除き)ちょっと失望するかもしれません。
酒場でナレーターに管を巻きつつ語る、という手法が成功したのか
どうか…。アルジェリアの現実と重ねると、生きてくる演出なのかも
しれません。

とはいえ、声も名もないまま殺された人間(の家族の)視点から、
世界一有名な小説を捉え直してみる、という試みはとても斬新でした。
(被害者には名前もないため、自分の家族だと証明することができず、
何十年も些細な情報を探してきた家族が、自分の知らないところで
事件が小説化され、世界中で兄の殺害が知られていると知った時の
驚きを書いた下りは新鮮でした。
ただ、ここも、殺されたのはあくまで「小説」の登場人物であるのに、
その家族が「現実の世界で」フランス人を相手に語る、というような
書き方に少々混乱したのは私だけでしょうか…

言い古されたことでしょうけれど、
政府のプロパガンダが跋扈する国・地域の現状や、市民がどう
感じているのかを理解するためには、小説という媒体しかないの
だろうと改めて感じます(ネットも情報操作の場でしょうし)。


あとは、
イスラムの内部対立を分かりやすく説明した本、
Emmanuel Toddの、欧州、中東、アジアの家族システムに関する
超大作(750頁強)、
架空の独裁政権(シリアをモデル)を描いた小説、
Drone(軍用無人偵察機)とテロリスト掃討作戦について倫理的に
考察した本、
を買いこんできました。

先日買い込んでしまったBoltanskiの超大作も手つかずだし、
専門分野の本も山積みですが、この夏は少しイスラムの勉強を
したいと思います。

東京にいる時は、仕事とみかどんの学校で忙しすぎて、
仕事で必要な本や論文以外、まったく読む暇がありませんでしたが、
こちらに来て、日本には入ってこない色々なジャンルの本を読む
機会が出来て良かったです。