『マティーニに懺悔を』 今野敏

2013年07月30日 20時52分21秒 | 読書
汗だくだくで執筆中。



「教会のベンソン神父が若い女性を伴って、街のバーへ私を訪ねてきた。連れの女性・長原美沙子の婚約で、神父は上機嫌に祝杯をあげた。だが、一週間後、自殺未遂の新聞記事に彼女の名前が・・・・・・。暴力団に乱暴され、婚約を破棄されたのだという。それを知った神父は一人で乗り込み、逆に返り討ちに遭ってしまった。どうやら茶道の師匠である私の、封印したもう一つの顔の出番のようだ―――。傑作ハードボイルド、待望の新装版。 」(BOOKデータベースより)

「私」は茶道の師範。
日々、主婦たちなどに茶道を教えている。
そんな表の顔をもつ「私」だが、実は中国拳法や空手など、さまざまな武道を融合した秘伝の技で世に現れるトラブルを解決する「トラブルシューター」でもあった。
そんな「私」のもとに、あるOLがレイプされ、それを理由に婚約破棄されてしまうという話が舞い込んできた。
どうやら、そのOLは以前、旅行代金を稼ぐために一時ソープランドで働いていた経験があった。
それを婚約者に話したところ、面と向かって否定されることはなかったが、暴力団を使って暴行させ、それを理由に離婚しようとしたのだった。
それを聞いた「私」は、離婚を迫った夫に謝罪を求めるため、組事務所に乗り込むのだった。


と、まあこんな話が8話ほどある連作ものですね。
一つ一つは長すぎず、すぐ読み切れるあたりがすがすがしいです。

と、短編が好きじゃない僕が言うのはなんですけど。

この作品は、以前『男たちのワイングラス』という作品でしたが、文庫化に合わせてタイトルを変更したものです。
もともとは1989年の作品ということで、現在とは時代背景が異なってたりしますけど、全く苦にはなりません。
むしろ読み切って解説読むまでは最近の作品かと思ってました。
まあ、新装版になって多少修正が加えられてるとは思いますが。


ヒーローもので、まあ単調な部分もありますけど、それ以上に読者に読ませる技術に長けておりますので退屈はしません。
決闘のシーンなど手に汗握るものもあります。

サクッとスカッとしたい方におすすめですね。

★★★★☆

next...「ツナグ」辻村深月
一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員…ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。 (BOOKデータベースより)

『死亡推定時刻』 朔立木

2013年07月29日 16時56分15秒 | 読書
気温より湿気のほうが苦手です。



「山梨県で地元の有力者の一人娘が誘拐される事件が起こった。警察の指示に従った結果、身代金の受け渡しは失敗。少女は死体となって発見された!県警は、遺留品に付いていた指紋から、無実の青年を逮捕。執拗な揺さぶりで自白に追い込んでしまう。有罪は確定してしまうのか?そして真犯人は?現役の法律家が描く、スリリングな冤罪ドラマの傑作。 」(BOOKデータベースより)

作者の朔立木(さくたつき)さんは現役の法律家だそうで。
この作品は無実の青年を脅迫して自白に追い込み、ほとんど自白のみで死刑判決を受けた事件をえん罪として真実を勝ち取るために奔走する弁護士の話でしょうか。
読者は早々からこの青年が無実であることを知っていますし、警察の捜査もいい加減であることを知っています。
そうであっても警察や検察、裁判所はそれを認めない。
そういった法曹関係者ではないと知り得ないような細緻な状況まで書き綴る作者の力量に脱帽するばかりです。

解説にも書いてあるんですけど、フィクションでありながらもかなりのリアリティがある作品で、あるえん罪事件のドキュメンタリーなんじゃないかと疑ってしまいます。
それくらいうまく練られた構成と執筆力でした。

内容のどうこうを言う以前に、えん罪という一つの問題に対するアプローチとして、この作品を読んでおくことに意味があると思います。
と、書くと面白くないように見えますが、そんなことはなくて後半なんか一気読みしてしまうような面白さです。

ぜひどうぞ。

★★★★☆

next...「マティーニに懺悔を」 今野敏
教会のベンソン神父が若い女性を伴って、街のバーへ私を訪ねてきた。連れの女性・長原美沙子の婚約で、神父は上機嫌に祝杯をあげた。だが、一週間後、自殺未遂の新聞記事に彼女の名前が・・・・・・。暴力団に乱暴され、婚約を破棄されたのだという。それを知った神父は一人で乗り込み、逆に返り討ちに遭ってしまった。どうやら茶道の師匠である私の、封印したもう一つの顔の出番のようだ―――。傑作ハードボイルド、待望の新装版。 (BOOKデータベースより)

「キケン」 有川浩

2013年07月25日 19時12分22秒 | 有川浩
なんか梅雨空みたいです



「ごく一般的な工科大学である成南電気工科大学のサークル「機械制御研究部」、略称「キケン」。部長・上野、副部長・大神の二人に率いられたこの集団は、日々繰り広げられる、人間の所行とは思えない事件、犯罪スレスレの実験や破壊的行為から、キケン=危険として周囲から忌み畏れられていた。これは、理系男子たちの爆発的熱量と共に駆け抜けた、その黄金時代を描く青春物語である。 」(BOOKデータベースより)


とある県にある、平凡なほぼ男子校の成南電気工科大学には「機械制御研究部」というサークルがあった。
略して「キケン」。
ただ、そこには危ないにおいがぷんぷんしています。

さて、ある男子学生二人が「キケン」の部員募集のチラシを見ていると、そこに現れたのは、「成南のユナ・ボマー」こと上野である。
ユナ・ボマーについてはwikipediaで。
上野に連れられて部室に行くと、そこには強面の大神がいた。
大神は、通称「大魔神」。空手もやっていて怒らせると怖い。

ふたりはその後、上野の家に連れて行かれるのだが、上野の部屋は立派な母屋から離れたプレハブ小屋だった。
どうやら母屋に入ることは許されていないらしい。
おそるおそるプレハブ小屋に入った二人は、あちこちに焼跡を見つけるのだった。
煙草にしては臭いがない。
そこでふたりは棚のラベルにこう書いてあるものを見つける。

「かやく」

カップラーメンのあれじゃなくて、花火とかに入っているあれ。
どうやら、上野は爆弾マニアらしい。
そして自制した爆弾の威力を見せるために向かった公園の砂場。
底が見えるまで穴を掘った後、がちゃがちゃのカップで作った爆弾を埋めて着火。

そうすると、かるく地面が揺れるほどの爆発となるのだった。

ふたりは、そんな「キケン」に入部し、さまざまなイベントや危機に立ち向かうのだった。




んー。
あんまり楽しそうな雰囲気が伝わりませんが、かなり面白い作品です。
通勤時間と昼の時間だけで2日かからずくらい。

実際通ったことがないのでわからない部分もありますけど、いわゆる「男子校の乗り」?みたいな。
青春を必死に全力で駆け抜ける作品に心打たれます。
こんな青春っていいなって、大人心に思ってしまったのはもう老けた証拠でしょうかね。
もうすぐ28になりますが、心はまだ若いつもりです。w
とりあえず、読んでください。
後悔はしません。きっと。
有川節、炸裂してます。有川さん好きな方はきっと好きになってくれると思います。

★★★☆☆

next...「死亡推定時刻」朔立木
山梨県で地元の有力者の一人娘が誘拐される事件が起こった。警察の指示に従った結果、身代金の受け渡しは失敗。少女は死体となって発見された!県警は、遺留品に付いていた指紋から、無実の青年を逮捕。執拗な揺さぶりで自白に追い込んでしまう。有罪は確定してしまうのか?そして真犯人は?現役の法律家が描く、スリリングな冤罪ドラマの傑作。 (BOOKデータベースより)

『「黄金のバンダム」を破った男』 百田尚樹

2013年07月22日 18時43分07秒 | 百田尚樹
連日のブログランクイン、ありがとうございます。



「打たれても打たれても前に出る男は、こんなにも美しい―敗戦から十余年、十九歳で世界王座についたファイティング原田。三年後、史上最強と言われていた「黄金のバンタム」エデル・ジョフレを破り、日本人初の二階級制覇。だが時代の寵児となった原田の前に、世界の強豪が立ちはだかる。一九六〇年代、日本人を熱狂させた男の戦いを描きつつ、昭和の“熱”を見事再現した傑作ノンフィクション。」(BOOKデータベースより)


珍しくノンフィクションを読んでみました。
あの百田さんがノンフィクションを書いたっていうのが興味を引きまして。

高度成長期に活躍したボクサー、ファイティング原田のお話。
百田さんの執筆力によって、まさにファイティング原田がよみがえりました。
50年も前の話なのに、こうも詳細に、そして臨場感あふれる文章に心躍りますね。
テレビがはやり始めた時代ですので、映像も少し残っております。
今ならyoutubeでみれますよー。

ノンフィクションってどう紹介していいものかよくわかりません。
まあ、タイトル通りチャンピオンを破るんですが、それだけじゃないです。
そこに至る軌跡、に熱狂する日本人。
時に視聴率が60%前後まで行ったという60年代のスターですよ。

そんなファイティング原田のお話、気になる方はぜひご一読ください。

★★★☆☆

next...「キケン」有川浩
ごく一般的な工科大学である成南電気工科大学のサークル「機械制御研究部」、略称「キケン」。部長・上野、副部長・大神の二人に率いられたこの集団は、日々繰り広げられる、人間の所行とは思えない事件、犯罪スレスレの実験や破壊的行為から、キケン=危険として周囲から忌み畏れられていた。これは、理系男子たちの爆発的熱量と共に駆け抜けた、その黄金時代を描く青春物語である。(BOOKデータベースより)

『ひなた弁当』 山本甲士

2013年07月12日 18時40分26秒 | 読書
何この暑さ。ただ今の室温37度。



「五十歳を目前に会社からリストラされた芦溝良郎は、妻や娘からも愛想をつかされ居場所を失う。リストラに仕組まれた罠を知っても、自信も誇りもない男に立ち上がる気力はなかった。ある日、隣近所の手前、出勤しているふりをして立ち寄った公園のベンチで、良郎にひとつのアイディアが閃く。良郎が手にした「生き抜くすべ」とは。 」(BOOKデータベースより)

リストラされた中年男性の話。
途中までは、ただのハッピーエンド小説かと思って、あぁ★3つコースだなって思ってました。
実際そうしますけどw

芦溝は50歳を目前にして、長年務めた住宅系の会社からリストラされる。
芦溝は浪人生の娘に気を使い、普通に通勤しているように朝スーツを着て出かけては、日中公園や図書館で過ごす日々だった。

ある日、芦溝は公園でドングリ拾いをしている母子を見つける。
そのとき芦溝は、どんぐりも食べれるのではないかと思い始める。(この時点で、この作品は際物かと思い始める)
何種類かのドングリを拾って家に持ち帰り、インターネットで調べて調理してみると案外おいしいことに気付いた芦溝は、そのほかにも道端に生えている野草も食べれるということに気付き始めるのだった。
それ以降、芦溝は日中スーツでドングリや野草を集めては調理をする日々を過ごしていた。

そして芦溝はあることをひらめくのだった。



こうもうまいこといくか!
と投げ出したくもなります。
まあ、小説なのでいいですけど。

いろいろと日和見主義なところもありますが、それでも面白く読めると思います。
納得いかないところもありますが。

ちょっと紹介短めですいません。。

★★★☆☆

next...「「黄金のバンダム」を破った男」 百田尚樹
打たれても打たれても前に出る男は、こんなにも美しい―敗戦から十余年、十九歳で世界王座についたファイティング原田。三年後、史上最強と言われていた「黄金のバンタム」エデル・ジョフレを破り、日本人初の二階級制覇。だが時代の寵児となった原田の前に、世界の強豪が立ちはだかる。一九六〇年代、日本人を熱狂させた男の戦いを描きつつ、昭和の“熱”を見事再現した傑作ノンフィクション。 (BOOKデータベースより)

『ルパンの消息』 横山秀夫

2013年07月10日 21時25分15秒 | 読書
連投で申し訳ないです。書けるときに書いとかねば。



「十五年前、自殺とされた女性教師の墜落死は実は殺人―。警視庁に入った一本のタレ込みで事件が息を吹き返す。当時、期末テスト奪取を計画した高校生三人が校舎内に忍び込んでいた。捜査陣が二つの事件の結び付きを辿っていくと、戦後最大の謎である三億円事件までもが絡んでくるのだった。時効まで二十四時間、事件は解明できるのか。 」(BOOKデータベースより)

とある所轄の忘年会での一こま。
この所轄では記者クラブの記者と一緒に忘年会を行っていた。
みんなよく出来上がった夜11時ごろ、署長の後閑の膝元にとあるメモが出された。
「15年前の女教師の自殺事案につき 他殺の疑い濃厚との有力情報あり 至急、帰署されたし」
このメモを見た刑事課の刑事たちは、記者と他の課の職員を置いてひとりまたひとりと退出していく。

しかし、事件が起こったのはちょうど15年前。
殺人の公訴時効は15年だった。
時効完成は翌日午前0時。
時効まで24時間を切っていた。

警察は、ある重要参考人を署に引っ張ってくる。
参考人・喜多は15年前の事件の日、事件現場である高校に忍び込んでいた。
そして、死体発見現場とは異なる、校長室の金庫の中に死体を発見したのだった。
しかし、警察はあっさり自殺とみて捜査をすることなく事件は迷宮入りしていた。
それを知った15年前の喜多たち3人組は、独自に事件の真相を探り始めたのだった。


いかん、うまい紹介ができない。
でもこの本、お勧めです。
伏線を上手に幾重にも張って、そしてちゃんと地雷を踏んでいく。
だれもが納得しそうな解決が見つかるのに、なにか心に引っかかるものがある。
普通の読者ならなにかしかの違和感を覚えるはずだ。
ただ、その違和感のまま終わってしまう本は少なくない。
雑多な推理小説なんか、そんなことばっかり。
しかし、この作品はしっかりその伏線も回収していく。
典型的な推理小説でありながら、読者を引き付ける臨場感。
スリルを感じさせる描写。
複数の事件が絡み合いながら、それを解決へと導いていくストーリーにやられます。
丁寧に伏線も回収してくれるので心地よいです。
まあ、三億円事件との結びつきはすこしやりすぎな感もありますけど。
それを差し置いてもよい作品だと思います。

★★★★★

next...「ひなた弁当」山本甲士
五十歳を目前に会社からリストラされた芦溝良郎は、妻や娘からも愛想をつかされ居場所を失う。リストラに仕組まれた罠を知っても、自信も誇りもない男に立ち上がる気力はなかった。ある日、隣近所の手前、出勤しているふりをして立ち寄った公園のベンチで、良郎にひとつのアイディアが閃く。良郎が手にした「生き抜くすべ」とは。 (BOOKデータベースより)

『完全なる首長竜の日』 乾緑郎

2013年07月10日 21時11分21秒 | 読書
やる気のない作品は紹介が遅くなります。



「第9回『このミス』大賞受賞作品。植物状態になった患者とコミュニケートできる医療器具「SCインターフェース」が開発された。少女漫画家の淳美は、自殺未遂により意識不明の弟の浩市と対話を続ける。「なぜ自殺を図ったのか」という淳美の問いに、浩市は答えることなく月日は過ぎていた。弟の記憶を探るうち、淳美の周囲で不可思議な出来事が起こり―。衝撃の結末と静謐な余韻が胸を打つ。」(BOOKデータベースより)

西湘コーマワークセンターには、日本で唯一「SCインターフェイス」が設置されている医療機関。
「SCインターフェイス」によって、植物状態になった患者とコミュニケーション、いわゆるセンシングができる。
それは脳と脳を特殊な装置でつなぐことによって、共通の意識世界に入ることができるのである。

淳美は、飛び降り自殺により意識不明となった弟の浩市とコミュニケーションを取るために幾度となく西湘コーマワークセンターに通っているのであった。

そんな淳美は、日常生活でもセンシングを行っているかのような状態にしばしばなるようになる。
センシングを行っている人は、ときに不安定になることがあるのだ。

センシングを通じて、淳美は衝撃の事実を見つけるのだった。



あんまり納得してないんですよ。
ということで紹介が遅れましたが、だいぶ前に読み終わってました。
こういったSFの世界には時としてわけわからない描写が付き物ですけど、この作品も読者を混乱させます。
これは現実の世界なのか、それともセンシングしているのか。
あんまり書くと面白くなくなるので書きませんが、あんまりでした。
首長竜の意味合いが今一つ分からないし。

★★☆☆☆

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十五年前、自殺とされた女性教師の墜落死は実は殺人―。警視庁に入った一本のタレ込みで事件が息を吹き返す。当時、期末テスト奪取を計画した高校生三人が校舎内に忍び込んでいた。捜査陣が二つの事件の結び付きを辿っていくと、戦後最大の謎である三億円事件までもが絡んでくるのだった。時効まで二十四時間、事件は解明できるのか。 (BOOKデータベースより)

『函館売ります 土方歳三 蝦夷血風録』 富樫倫太郎

2013年07月02日 18時27分38秒 | 読書
7月になりましたね。2013年下半期もよろしくです。



「土方歳三らの旧幕府軍は、新政府軍から箱館を奪還した。その混乱に乗じて、広大な土地を手に入れようと目論むプロシア人兄弟は、蝦夷政府の幹部たちに近づく。財政難にあえぐ旧幕府軍は、租借料を目当てに契約の締結を進めるのだが、プロシア人兄弟の背後には、領土を広げようと企むロシアの策謀が見え隠れしていた―。 」(BOOKデータベースより)


時は幕末。
蝦夷地を支配していた新政府軍から函館を奪取した旧政府軍(いわゆる江戸幕府)。
列強から正当な政府として認められるため、外交官向けに大盤振る舞いをしたりと、財政支出を進めた旧幕府軍は資金不足になっていた。

プロシア人のガルトネル兄弟はもともと旧政府から土地を借りて農業を営んでいたが、新政府に政権が変わった際にどさくさにまぎれて借地を大幅に増やしていた。
そこに目を付けたロシア人のザレンスキイは、さらに政権が変わったどさくさにまぎれて、さらに農場を広げようと画策する。
しかし、その目的は農場のためではなく、蝦夷地をロシアの植民地にしてしまうことだった。
ザレンスキイはロシアの秘密警察、通称「第三部」に属しており、ガイトネル兄弟はそのスパイであった。
そして、ザレンスキイとガルトネルは秘密結社「フリーメイソン」の会員でもある。
その上、ロシア皇帝はフリーメイソンの最高階級者でもある。
ザレンスキイは蝦夷地に植民地を作ることでフリーメイソンでの地位を確立させようと思っていたのだ。

旧政府軍は、ガルトネルから六万坪の土地を99年借りうける対価として6万両支払うという契約を持ちかけられた。
旧政府軍は、喉から手が出るほどほしい資金を得るため、契約を締結することになる。

その事実を嗅ぎつけた平山金十郎の一門は、その契約を阻止するために動き出す。




けっこう書いてしまいました。
すいません。下巻の内容まで行ってます。
といっても概要ですけどね。

この話は、実際にあった「ガルトネル開墾条約事件」を元に一部(か大部分かはわかりませんが)を脚色して小説化した作品です。
結末的にはこのガルトネル開墾条約事件と同様なので、小説を読みたい方は先に読まないほうが面白いかもしれません。

史実とは異なることも多いかと思いますけど、ここまで面白く書ける富樫先生にはいつも驚かされます。
今日は行きの電車で乗り過ごすところでした。w
闘いの場面ではのめりこんでしまいますね。

難点といえば名前が難しいことですけど、半分も読み進めればわかってきますし、本によっては広告に関係図が入っていると思いますので参考に。

そして土方歳三はどこで出てくるんだと言われそうですが出てきます。
旧政府軍の奉行として仕えている土方歳三はこの契約に疑問を持ち、独自に調査を始めます。
その後の話は読んでくださいね。w

★★★☆☆

next...「未定です涙)