『プリズム』 百田直樹

2014年06月22日 17時12分19秒 | 百田尚樹
今テレビで百田さんが熱弁してますが、私は3本目行きます。

「ある資産家の家に家庭教師として通う聡子。彼女の前に屋敷の離れに住む青年が現れる。ときに荒々しく怒鳴りつけ、ときに馴れ馴れしくキスを迫り、ときに紳士的に振る舞う態度に困惑しながらも、聡子は彼に惹かれていく。しかしある時、彼は衝撃の告白をする。「僕は、実際には存在しない男なんです」。感涙必至の、かつてない長編恋愛サスペンス。 」(BOOKデータベースより)

主人公の聡子は結婚してしばらく家にいたが、ある日から家庭教師の仕事を始める。
聡子が初めて行った家は資産家で、教え子も理解が良くて奥さんの優しい。
ただ、その家には正体不明の男がいた。
初めて会ったときはぶっきら棒だったが、次に会ったときはやけに怒りっぽい性格に、そして次あったときは男に迫られることに。
混乱する聡子だったが、男のある人格に出会うことでだんだんと男に対する認識が変わってくる。

その男は多重人格者だった。
聡子はだんだんその男に惚れていく。

多重人格者に恋をした聡子は。。。


『「黄金のバンダム」を破った男』 百田尚樹

2013年07月22日 18時43分07秒 | 百田尚樹
連日のブログランクイン、ありがとうございます。



「打たれても打たれても前に出る男は、こんなにも美しい―敗戦から十余年、十九歳で世界王座についたファイティング原田。三年後、史上最強と言われていた「黄金のバンタム」エデル・ジョフレを破り、日本人初の二階級制覇。だが時代の寵児となった原田の前に、世界の強豪が立ちはだかる。一九六〇年代、日本人を熱狂させた男の戦いを描きつつ、昭和の“熱”を見事再現した傑作ノンフィクション。」(BOOKデータベースより)


珍しくノンフィクションを読んでみました。
あの百田さんがノンフィクションを書いたっていうのが興味を引きまして。

高度成長期に活躍したボクサー、ファイティング原田のお話。
百田さんの執筆力によって、まさにファイティング原田がよみがえりました。
50年も前の話なのに、こうも詳細に、そして臨場感あふれる文章に心躍りますね。
テレビがはやり始めた時代ですので、映像も少し残っております。
今ならyoutubeでみれますよー。

ノンフィクションってどう紹介していいものかよくわかりません。
まあ、タイトル通りチャンピオンを破るんですが、それだけじゃないです。
そこに至る軌跡、に熱狂する日本人。
時に視聴率が60%前後まで行ったという60年代のスターですよ。

そんなファイティング原田のお話、気になる方はぜひご一読ください。

★★★☆☆

next...「キケン」有川浩
ごく一般的な工科大学である成南電気工科大学のサークル「機械制御研究部」、略称「キケン」。部長・上野、副部長・大神の二人に率いられたこの集団は、日々繰り広げられる、人間の所行とは思えない事件、犯罪スレスレの実験や破壊的行為から、キケン=危険として周囲から忌み畏れられていた。これは、理系男子たちの爆発的熱量と共に駆け抜けた、その黄金時代を描く青春物語である。(BOOKデータベースより)

『ボックス!』 百田尚樹

2013年05月17日 18時23分49秒 | 百田尚樹
あれ、ドライアイのはずなのにこの本を読んでると目が潤むな。



「天才的なボクシングセンス、だけどお調子者の鏑矢義平と、勉強は得意、だけど運動は苦手な木樽優紀。真逆な性格の幼なじみ二人が恵美寿高校ボクシング部に入部した。一年生ながら圧倒的な強さで勝ち続ける鏑矢の目標は「高校3年間で八冠を獲ること」。だが彼の前に高校ボクシング界最強の男、稲村が現れる。」(BOOKデータベースより)

スポ根系。
高校ボクシングの話。

天才高校生ボクサー、鏑谷にかねがねボクシングに誘われていた木樽。
木樽は進学校の特進クラスで常に5位以内をキープしている秀才君。
ただ、スポーツは苦手というか不器用。

そんな木樽は同級生の女の子とデートすることになるのだが、そこで中学時代にいじめられていた男たちに遭遇し、女の子の前でぼこぼこにされてしまった。
強くなりたい木樽は、先生や親の反対を押し切ってボクシング部に入部することに。
木樽は初めこそその不器用さが手伝ってか全然形にならなかったのだが、まじめな彼は毎日朝晩自主練を繰り返し、めきめきと上達していったのだった。

対して鏑谷はその才能を発揮し、1年生からインターハイに出場する。
しかし、彼をもってしてもインターハイを制することはできなかった。

鏑谷と木樽の運命はいかに。。。


あ、いかん。
この本の魅力が伝えきれない。

「永遠の0」の百田尚樹。

そうじゃないってことを証明したような作品です。
たしかに「永遠の0」は彼の代表作といって差し支えないと思うけど、こんな作品だって書くことができるのだと思うと、とことん彼に惚れこんでしまいました。

ドライアイに優しい作品です。w

★★★★☆

next...「絶望ノート」 歌野唱午
中2の太刀川照音は、いじめられる苦しみを「絶望ノート」と名づけた日記帳に書き連ねた。彼はある日、頭部大の石を見つけ、それを「神」とし、自らの血を捧げ、いじめグループの中心人物・是永の死を祈る。結果、是永は忽然と死んだ。が、いじめは収まらない。次々、神に級友の殺人を依頼した。警察は照音本人と両親を取り調べたが、殺しは続いた。 (BOOKデータベースより)

『影法師』 百田尚樹

2012年11月30日 20時06分17秒 | 百田尚樹
仕事でよく草刈してます。



「頭脳明晰で剣の達人。将来を嘱望された男がなぜ不遇の死を遂げたのか。下級武士から筆頭家老にまで上り詰めた勘一は竹馬の友、彦四郎の行方を追っていた。二人の運命を変えた二十年前の事件。確かな腕を持つ彼が「卑怯傷」を負った理由とは。その真相が男の生き様を映し出す。『永遠の0』に連なる代表作。 」(BOOKデータベースより)

時は江戸時代(1603年から1868年)。
物語の中に40年前に一揆がおこったという記述があること、当時14歳の勘一(主人公)が50歳までは生きており、その時も江戸時代であることから、物語は1670年から1830年ごろ、僕の予想からすると、物語の時代は1700年代後半でしょうか。(根拠はありません笑)
勘一が生まれた茅島藩というのはネットで調べても出てきませんでしたが、西北五里(約20キロ)に干潟があること、江戸へ行くときに北国街道(国道18号)を南に下がったことから、茅島藩は現在の上越ジャンクションあたりではないでしょうか(根拠全くなし)。

そんなことは置いといて。
物語の主人公である戸田勘一、のちの名倉彰蔵は茅島藩の御徒組の下士の長男として生まれる。
戸田家は石高20石の吹けば飛ぶような家だが、お金がないながらも剣術を見よう見まねで練習していた。
あるとき藩校に通うことになった勘一だったが、藩校は中士以上の家柄の武士がほとんどで、下士は一人だけ。
登校初日からけんかを始めてしまうのだった。それが何日も続くと、勘一はしばらくの登校禁止になるが、禁止が明けた後はだれも勘一におびえ、声をかけようとしない。
そこに現れたのが、彦四郎だ。彦四郎は頭脳明晰、剣術優秀の中士の二男。
彦四郎と勘一(その他2名)はいつも一緒に過ごすようになる。

そんな幼少期を過ごした二人だが、のちに勘一は下士から大大大大大抜擢され筆頭国家老(家老のトップ)(中央省庁でいえば財務事務次官みたいな)になり、彦四郎は有る不祥事により藩を追われ、酒におぼれ、病で40代でなくなってしまう。
そんな二人の運命はなぜこんなに変わってしまったのか。
そこには、勘一も知らない、想像を絶する感動の裏話があるのだった。

いやー、もっと書きたいけど書けない。
読んでください。江戸時代の勉強にもなります(どうでもいい)。
友情と愛情と。
「永遠の0」に負けず劣らずいい話になりました。
まあ、背景がね、江戸時代だから現代とは違う部分が多いから読んでてむずかしところもあるけど、歴史的なところも歴史音痴な僕には気にならないし、気になるなら調べれば出てきますから。
文庫の方は袋とじも是非読んでください。
愛情にあふれてます。

★★★★☆

next...「箱の中」
痴漢の冤罪で実刑判決を受けた堂野。収監されたくせ者ばかりの雑居房で人間不信極まった堂野は、同部屋の喜多川の無垢な優しさに救われる。それは母親に請われるまま殺人犯として服役する喜多川の、生まれて初めての「愛情」だった。『箱の中』に加え、二人の出所後を描いた『檻の外』表題作を収録した決定版。 (BOOKデータベースより)

『モンスター』 百田尚樹

2012年05月21日 18時51分35秒 | 百田尚樹
ただ今、病気のデパート中。



「田舎町で瀟洒なレストランを経営する絶世の美女・未帆。彼女の顔はかつて畸形的なまでに醜かった。周囲からバケモノ扱いされる悲惨な日々。思い悩んだ末にある事件を起こし、町を追われた未帆は、整形手術に目覚め、莫大な金額をかけ完璧な美人に変身を遂げる。そのとき亡霊のように甦ってきたのは、ひとりの男への、狂おしいまでの情念だった―。」(BOOKデータベースより)

主人公は鈴原未帆こと田淵和子。
彼女は生まれながらの生粋のブス。目は離れて形はいびつ、鼻は横に広がって上向き、口は全体的に前に出ている。
そんな和子はあるときから美容整形に目覚める。目を二重にし、鼻を高くして横の広がりを縦に、口は骨を削ってひっこめるなどありとあらゆる整形術を行い、今や絶世の美女と称されることとなる。

ここでは、形式上不細工だったころを和子、美人のころを未帆と呼び分けるとする。
話は未帆が和子時代のことを回想しながら未帆の現在の物語とシンクロしながら進んでいきます。
和子はだれからも見向きもされず、孤独な日々を過ごしていく半面、未帆はありとあらゆる人から注目を浴びる。

ただ、未帆は和子であるから、心の中では和子そのもの。
そんな未帆は地元に戻ってレストランを経営することになった。レストランを経営する目的はとある人が来店するのを待つため。
その人が来店するまで待ち続ける未帆であるが、あるときついに目的の人が現れるのであった。

あんまりうまく書けないけど、そういった話。
問題作です。

ただ、美容整形に真っ向から立ち向かったあたりは百田さんならでは。
興味深く読めました。
いろいろ気になる点はあったけどね。

★★★★☆

next...「春を嫌いになった理由」 誉田哲也
フリーターの秋川瑞希は、テレビプロデューサーの叔母から、霊能力者・エステラの通訳兼世話役を押しつけられる。嫌々ながら向かったロケ現場。エステラの透視通り、廃ビルから男性のミイラ化した死体が発見された!ヤラセ?それとも…。さらに、生放送中のスタジオに殺人犯がやって来るとの透視が!?読み始めたら止まらない、迫真のホラー・ミステリー。 (BOOKデータベースより)

『風の中のマリア』 百田尚樹

2011年11月01日 19時57分49秒 | 百田尚樹
空気清浄機にカモミールのアロマ。図書館戦争ファンならカミツレの香りが心地よいです。



「命はわずか三十日。ここはオオスズメバチの帝国だ。晩夏、隆盛を極めた帝国に生まれた戦士、マリア。幼い妹たちと「偉大なる母」のため、恋もせず、子も産まず、命を燃やして戦い続ける。ある日出逢ったオスバチから告げられた自らの宿命。永遠に続くと思われた帝国に影が射し始める。著者の新たな代表作。」(BOOKデータベースより)



人間が主人公じゃない話を読んだのはいつぶりでしょう?
というか読んだ記憶がないですねw

今回のお話はスズメバチの話です。
正確に言うとオオスズメバチ(ヴェスパ・マンダリニア)です。


(フォトライブラリーよりhttp://www.photolibrary.jp/)

こわっ!

働き蜂で3~4センチ、女王蜂だとセンチにもなる巨大な蜂で、牙が5mmもあるとか。
凶暴でミツバチやキイロスズメバチの巣まで襲撃することもある恐ろしい奴です。


そんなオオスズメバチのワーカー(戦士)であるマリアの一生(30日ほど)のお話です。

小説といっても、かなりオオスズメバチの生態について詳しく書かれています。
それも無駄なく。

かといって学術的であっても面白みがないわけじゃない。
実は人間味(蜂味?)あふれる物語なんですよ。

ファイターとして生まれてきたマリアには産卵することはできなくて、でも自分の妹たち(女王蜂が産む子供は基本的にメス)を育てるために狩りに出るんです。
他の昆虫とは違って、子孫を残せない働き蜂。

若かったころにはなかった恋(交尾)への葛藤が芽生えてきたり。
私も恋がしたい、そうマリアも思うんです。


まあネタばれはこの辺にしといて。
以前紹介した「永遠の0」とは一味もふた味も違う作品です。

オオスズメバチの宿命と決意に皆さんも感動してみては?

★★★☆☆


next...「ジーン・ワルツ」海堂尊

『永遠の0』 百田尚樹

2011年01月31日 22時40分56秒 | 百田尚樹
最近雪が多いですね。鳥インフルエンザも大変です。


「「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、一つの謎が浮かんでくる―。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。涙を流さずにはいられない、男の絆、家族の絆。」(「BOOK」データベースより)


第2次世界大戦中に、当時日本が世界に誇った戦闘機「零戦」に乗っていた祖父、「宮部」がなぜ特攻により命を落とすことになったのか。祖父は祖母を愛していたのか。なぜ祖母と娘(母)をおいて死んでいったのか。それを孫である主人公が戦時中の同士の話を聞くことで解明していく話。
祖父は戦時中にありながら、臆病なほどに「死」を恐れ、「生」に執着していた。戦闘機に乗っているときは常にまわりを警戒し、自らの戦闘機を犠牲にして味方を助けることはしない。どんな過酷な作戦でも、機関銃を何発撃ち込まれようとも命をつないで帰ってきた。そこまでしてまで生きてきたのに、なぜ終戦間際になって、成功する可能性が極めて低く、無謀な作戦だった神風に参加したのか。

この作品を読んで、歴史の教科書には出てこない特攻隊員の無念、司令部の腐敗、国民の悲しみを知った。
そしてそこに絡めて明らかになる、祖父の愛、人の愛の温かさ。

驚くべきはこの作品が百田尚樹氏のデビュー作。
会話文や感情の持っていきかたに、ちょっと「ん??」となるときもありましたが、それを超えるほどの感動、構成。

また恐ろしい作家が生まれてしまいました。

★★★★☆